「原子力の日」ポスターコンクールって?

いまさら聞けない核の話(1)

記者:伊藤宏

皆さんが日頃から核や原子力について抱く素朴な疑問、なかなか聞けない質問を、どんどん編集部にお寄せください。伊藤がズバリお答えする新コーナー。
まずは「うずみ火」を代表して栗原が聞きました。

 Q)大阪環状線を利用しています。しばらく前から中吊り広告は、『原子力の日』ポスターコンクールの入選作品一色です。一般と子供の2種類。「安全」「豊か」などの言葉とともに、例えば、原子力発電所と一家団らんの図柄が同じ画用紙に収まったりしています。本人たちは、そう信じて描いているのでしょうか。それに何週間も全部の車両に広告を出すなんて、すごくお金も要るんでしょうね。

A)ご覧になったのは、第13回「原子力の日」ポスターコンクールの結果発表の中吊り広告です。「原子力の日」は10月26日。科学技術庁(現在の文部科学省)が日本初の原子力発電に成功したことを受け、1964年に制定しました。以来、原子力推進をPRする行事等が毎年この日に行われています。主に子供達向けの催しとして、日本原子力文化振興財団が作文や論文、そして文部科学省と経済産業省がポスターを、それぞれ募集しています。
 ポスターコンクールは「原子力が守るみんなの自然」「原子力が○○みんなの○○(○○を各自が埋める)」など4つのテーマから選ぶ形で、子供部門(小学生以下)と一般部門(中学生以上)とに分けて募集されました。締切は9月8日で、大賞の他に学校参加賞も設けられています。一般的な広報の傍ら、学校に直接の募集依頼がなされ、それを受けて夏休みの宿題の一つという形で取り組ませた学校もあったようです。
 おそらく子供達は、与えられたテーマに何ら疑いもなく、一生懸命にポスター製作に取り組んだことでしょう。少しでも原子力のことを知っていれば、「原子力が守るみんなの自然」などというテーマが、そもそも成り立ち得ないのは一目瞭然なのですが……。
 何も知らない子供達に、一方的な価値観に基づくテーマを与えることは、知らず知らずのうちに原子力を肯定的に受け入れる意識を植え付けることにもなりかねません。しかも、子供達の「力作」を、あたかも子供達の意見であるかのように原子力推進のPRに使うのですから、これほどグロテスクなことはないでしょう。ましてや、それを国が行っているのです。
 コンクールの優秀作は「電車で発表します」とありました。費用は確認できませんが、ちなみに私の大学が3日間、他の広告に混じる形で(一つの車両に数枚)南海電車全編成に中吊り広告を出した際の費用は約70万円。全国の全線に、長期間広告を出したら…信じられない額になるはず。もちろん全て税金です。

Comments Closed