抱きしめて琵琶湖

記者:小林稔子

 私の人生で忘れられない一ページ、「窓友会」の会員だったからこそ、成し得た感動の一日。1987年11月8日正午に、人と人の愛の手で、あの琵琶湖を抱きしめた。

当時、私はガールスカウト大阪府第128団の団委員長をしていた。窓友会で、琵琶湖一周を手でつなぐ話を聞き、早速、スカウトたちを連れて行こうと思った。

子どもたちには、「なぜ?何のために?」などの意味は理解できなかったと思うが、リーダーに、黒田さんの思いを伝えた。子どもたちは「おもしろそう」と参加した。当日、リーダーともども近江舞子駅へ向かった。駅から浜まで、人でいっぱいだった。

11時半頃から砂浜に出て、ひもを握って横に進んだと思う。上空には取材のヘリコプターが舞っている。どこかのお寺の鐘の音が聞こえてきた。
私とつないでいた子が手に力を入れる。子どもたちが緊張しているのが伝わる。

5・4・3・2…「ウォー」という歓声。つないでいた手を天に挙げる。

ラジオ大阪の原田年晴アナウンサーが興奮した声で「はっきりみえます。みなさんの手がつながっています。そのまま一分ほど手を上げてください」……。

20年前のあの日の感動は、今も私の胸に脈々と生きている。あの時のスカウトたちは社会人となり、また母親となっているだろう。そして今なら、「なぜ? 何のために」健常者も身障者も、悲しい人も嬉しい人も、共に手をつないだことが、わかってくれているだろう。

これも「黒田清」という人がいて、私が黒田さんにつながっていたからこそ、成し得たことと感謝している。

本当に誰にでも分け隔てなく優しかった人、黒田さん。ありがとうございました。

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