黒田さんに叱られたI

和歌山市に住んでいる在日2世の尹さんからのお手紙です。

<自営していた建築リフォーム業をたたみ、パートとして豆腐製造工場で働いています。中腰のまま朝8時から夕方6時まで一度の休憩もなく高速で次々と出てくるパックを箱に詰め込む作業です。息つく暇もなく、腰痛と古傷の十二指腸潰瘍に悩まされています。
派遣や最下層パート職の悲惨さは報道で聞いていましたが、本当に驚きました。和歌山県は最低賃金が680円なので、この工場の時給も同じ額に設定されています。1日働いて約6000円で、月に15万円程度。年収にすると180万円。毎日これだけきつい労働をして、年収が200万円にも満たないのです。住むところも確保できない「ネット難民」という言葉もうなずけます。人間を人間扱いせず、労働者をただ利益を生み出すための歯車のように考えて恥じない経営者の貧相な心根が見え透いてきます。これも「小泉改革」の「成果」なのでしょう>

不景気の波が尹さんを直撃したようです。

<このように人間が「モノ」扱いされる現場に身を置くと、最近の「自己探し右翼」という若者の状況も理解できるような気がします。根っからの思想的右翼ではなく、自分の中の安定感、安心感を求めて心情的に右翼になる。アイデンティティ探求の結果としての「とりあえずの右翼」。「右翼に身を置いているとホッとした」という「自己探し右翼」の若い作家(?)の言葉もうなずけます。

なぜなら、こんな職場に何年いても、自分が依って立つ人間的根拠のようなものがまったく見えてこないのですから。

ネットでむちゃくちゃな朝鮮人攻撃をして溜飲を下げる、「日の丸・君が代」に自分を重ね合わせて、束の間の陶酔感に自分を浸す。いかに、人間的な「心」を収奪されているかの裏返しです>
お手紙はさらに続きます。

<それに、「戦争でも起こってくれればいい」と紙上で言っていた若者の言葉も分かるような気がします。どうにも組み替えようのないこの「格差社会」で、もう一度自分が浮かび上るには「戦争」という大きな社会変動が起こって、ガラガラポンと社会が一からやり直しになるような状況の到来を望んだとしても、故あることのように思えます。

昭和初期の大不況がファシズムを容認する下地になったとすれば、昨今の「格差社会」「人間モノ化」の状況はいかにもその時代と似つかわしい。これらの状況を踏まえ、辺見庸さんが講演会で語っていた「日本はいまファシズムの流れにあり、正念場を迎えている」という現状認識を是とするならば、「格差社会」の是正もファシズム化阻止の大きな要素になるかも知れません>

若者の右傾化、戦争待望論が生み出される構図が垣間見えてきました。それにしても、尹さんの身体が心配です。

 

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