戦争と原発 利権で生み出す差別

記者:西谷文和

 人の片足を吹き飛ばす程度に火薬の量を調整された対人地雷の値段は、一つ300円ほどである。駅前の立ち食いうどん一杯の値段で、人々の手足が奪われていく。

 イラクやアフガンで米軍が大量に使用した劣化ウラン弾は、一発約50万円から100万円と言われている。この劣化ウラン弾は弾頭にウランが詰まっているが、それはウランが天然に存在する金属の中で最も重くて堅いからである。戦車の厚い装甲を貫くため、アメリカで開発された劣化ウラン弾が、原発と密接につながっていることについては、あまり語られてこなかった。

 原子炉では濃縮ウランが燃えているが、それは天然ウランを加工したものである。アフリカやオーストラリアの大地深くから取り出した、天然ウランを遠心分離機にかけて、濃縮していく。ウラン235の比率を10%近くまで濃縮したものが、原子炉で燃やされていく。ウランを濃縮する過程では、当然「搾りかすのウラン」、つまり劣化ウランが排出される。本来ならこれは核のゴミとして、安全に処理され、保管されるべきものだが、これを武器に利用した。それが劣化ウラン弾である。つまり、米国に104基、日本に54基もの原発がなければ、そもそもウランは掘り出されず、劣化ウラン弾は存在しなかった。戦争と原発は密接に結びついているのだ。

 今話題のオスプレイは、約56億円と言われている。米軍は、沖縄に無理やり配備させて、その後、日本の自衛隊に欠陥輸送機オスプレイを、押し売りするつもりだろう。オスプレイの部品を作る会社は、全米40州で約2000社あると言われ、「オスプレイは米国の雇用問題」でもある。日本より深刻な失業と貧困、格差の国アメリカは、大統領選挙のまっただ中である。これ以上、失業者が増えれば、オバマ大統領の再選が危うい。武器販売で、財政再建と失業解消。米国にもの言わぬ野田内閣のもとで、オスプレイでもF35でも、日本に言い値で買い取らせれば良いというわけだ。

在庫処分で大儲け

 昨年、リビアに行った。激戦地ミスラタのメーンストリートに、カダフィ軍が使用した武器の陳列場があって、クラスター爆弾やロケット弾、戦車砲などが戦争犯罪として陳列されていた。警備する兵士たちによれば、「あの緑色のロケットはフランス製、白いのがロシア製で、小さいのはスペイン製だ。黄色いのはクラスター爆弾の子爆弾だ。イスラエル製だよ」。

 リビアは石油が出る豊かな国。カダフィは、その石油収入で欧米諸国から武器を購入し、自国民の弾圧に使っていた。クラスター爆弾使用禁止条約が2008年に結ばれているので、イスラエルは、クラスター爆弾を使用しにくくなっている。(06年、ヒズボラとの戦争で大量に使用し、国際的非難を浴びた)イスラエルにとっては、「使いづらい兵器」を、在庫一層処分して、大もうけをすることができた。

 ミスラタの最前線では、カダフィ軍と反カダフィ軍がそれぞれ国道にバリアを張って撃ち合いを繰り広げていた。ダダダッダダッと、重機関砲をこちら(反カダフィ軍)が撃ちまくると、あちら(カダフィ軍)からボン、ボンとロケット弾が飛んできた。1時間ほど取材したが、無数の砲弾を狂ったように撃ち合い、互いに威嚇しながら、間合いを計っていた。8㍉弾から155㍉ロケット弾まで、大小さまざまな銃弾だが、仮に平均一つ5000円として、1時間に双方で1000発撃ったと考えれば、それだけで500万円の「浪費」である。

 戦争をすれば巨額の金が動く。ましてそこに石油やダイヤなどの地下資源があればなおさらだ。

 地雷、劣化ウラン弾、無数の銃弾、オスプレイ……。これらを製造する会社、つまり軍需産業は、世界のどこかで戦争がおこらないと儲からない。米軍の誤爆で片手を失った少女も、タリバンの自爆攻撃で若くして命を失った米兵も、戦争の犠牲者、つまり「負け組」である。「勝ち組」は、武器を作った会社、武器を売りさばいた人々、地下資源の利権にありついた企業、それらに融資した銀行、であろう。

 戦争と原発はよく似ている。①どちらも利権で動いている。②どちらも核(ウラン)を使う。③どちらも差別を生み出す。空爆で片手になったゴルジュマちゃんは、小学校に行かなくなった。いじめられるからだ。あってはならないことだが、今後、福島の子どもたちへの就職、結婚差別が心配だ。
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 9月上旬から中旬、シリア取材に旅立ちます。取材の様子は「イラクの子どもを救う会」のブログにて発信します。
 帰国したあと、9月27日(木)午後6時半から、「最新映像で見るシリア」報告集会を開きます。場所は、大阪市北区の市立いきいきエイジングセンター3F研修室。入場は無料です。ぜひ、お越しください。

 

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