無免許運転巻き添え事故

ひき逃げ犯懲役5年判決

神戸市長田区のコンビニエンスストア店長、岡田日出雄さん(享年46)が暴走車にはねられて死亡した事件で、自動車運転過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた森本勇被告(27)に対する判決公判が3月4日、神戸地裁で開かれ、懲役5年が言い渡された。

岡田さんの両親は長田神社前商店街で「岡田酒店」を経営していたが、阪神・淡路大震災で店舗兼自宅が全壊。長男の日出雄さんに支えられてプレハブの仮設店舗で商売を再開し、被災地の復興に夢を託した地酒「福倖酒(ふっこうざけ)」を売り出した。その後、店はコンビニエンスストアとして再出発。日出雄さんが20人の従業員と店を切り盛りしていた。

日出雄さんが事故に遭ったのは昨年8月5日午後10時50分ごろ。店を出て原付バイクで自宅マンションへ向かう途中、パトカーの追跡を受けて反対車線にはみ出した軽乗用車と正面衝突。跳ね飛ばされた日出雄さんは数百㍍にわたって引きずられ、ほぼ即死だった。

暴走車はガードレールに激突して止まったが、運転していた森本被告は助手席に乗せていた8歳の息子を連れて逃走。20分後にマンションの駐車場で、車の下に隠れているところを見つかり、逮捕された。森本被告は無免許だった。

罪状は、最高刑が懲役20年の危険運転致死傷罪ではなく、懲役7年以下の自動車運転過失致死傷罪。無免許であっても故意な危険運転ではなく、過失とみなされたのだ。

この日、裁判長は判決を言い渡したあと、森本被告に「あなたがパトカーから逃げ、人をひいた現実から逃げたことでこういう結果を招いたということを真摯に受け止めてください。ここで踏みとどまって一生かけて償うように」と諭した。

傍聴席で泣いていた母の育代さんから後日、お手紙をいただいた。

<ご多忙中、何度も傍聴くださいましてありがとうございます。控訴するつもりはありません。

それまで我慢していました悲しみが堰を切って流れてまいりました。私どもも加害者と同じ5年の試練でございます。相手を恨む気持ちではなく、息子の残した家族、お店を精一杯愛してまいります>

5年後、被告はこの現実とどう向き合うのか。再び逃げることがないよう、祈らずにはいられない。(矢野)

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