「ピースおおさか」 「加害」展示 大幅削減の可能性

平和博物館「大阪国際平和センター(ピースおおさか)」から、日本の加害を示す展示が、大幅に削られる可能性が高まっている。

ピースおおさかは府と市が共同出資し、1991年、大阪城公園内に開館した。かつて東洋一の兵器工場と呼ばれた大阪砲兵工廠があった場所だ。

常設展示のテーマは「大阪空襲と人々の生活」「15年戦争」「平和への希求」の三つ。《戦場となった中国をはじめアジア・太平洋地域の人々、また植民地下の朝鮮・台湾の人々にも多大の危害を与えたことを、私たちは忘れません》と設置理念にうたい、加害・被害の両面から戦争の実相を伝える。

そのピースおおさかのホームページで4月、公開されたのが「展示リニューアル」構想だ。開館以来の全面改訂。施設の目的を新たに《大阪空襲犠牲者を追悼し、平和を祈念する》などと規定、展示の構成は《「大阪空襲」を中心に取り扱い》、いまの展示は《ゼロベースから検討》するとしている。

構想は「空襲に特化」するものではないという。しかし、戦争や平和の問題に取り組む市民団体や教師、歴史研究者らからは「『加害』を消し、被害に偏った展示になるのではないか」などと懸念の声が上がる。

「加害」を展示するピースおおさかは長年、保守的な団体などに「偏向」などと批判されてきた。「大阪維新の会」の府議や市議らも一昨年視察し、展示をチェック。「ピースおおさかを『西の遊就館』に」と言う議員もいるという。

橋下市長は府知事時代、府職員出向を問題視。職員を引き上げたほか、補助金も削減、その後、事業費全額をカットした。いまの年間予算は最盛期の3分の1。職員も半減、特別展の企画も困難な状況に陥っている。

その一方で橋下市長が昨年、建設の方針を示したのが「近現代史学習施設」だ。南京大虐殺など対立する意見を両論併記するとして「新しい歴史教科書をつくる会」系の学者にも助言を求めることも明らかにした。

「リニューアル構想」はこの「近現代史学習施設」に触れ、《これとの役割分担・連携も意識しながら展示リニューアルを進める》と付記している。なお「リニューアル監修委員会」の座長は府市特別顧問の橋爪紳也氏(大阪市立大教授)である。

5月に設計業者、夏には具体案が決まり、来年度以降、本工事へと進むという。このままではピースおおさかの理念は骨抜きになりかねない。危機意識を共有する市民らは、急きょ集まり、申し入れやシンポジウムなどの準備を始めた。(栗原)

Comments Closed