泉南アスベスト訴訟 国の責任認めた大阪高裁

勝訴。国は断罪したが・・・

勝訴。国は断罪したが・・・

大阪泉南のアスベスト(石綿)訴訟第2陣の控訴審判決が、12月25日、大阪高裁であった。局所排気装置の設置や防塵マスク使用の義務化、粉塵濃度規制の義務化などが遅れたとして、従来の判決よりも厳しく国の責任を認めたものだ。高裁がアスベストに対する国の責任を認めたのはこれが初めて。しかし、1月7日、国は最高裁に上告をした。

大阪・泉南地域は、戦前から全国一のアスベスト産業の集積地だった。戦時中は軍需品として、戦後は高度経済成長を支えてきた。その一方で、そこで働く人やその家族は、国や会社が粉じん対策を行ってこなかったため、アスベストが原因となった病気で多くの人が亡くなっている。

高裁判決は大きな前進だ。金額の面でも国の責任の割合を大幅に引き上げた。この2陣判決では、1陣では救済されなかった人も対象になる人がでてくる。しかし、アスベスト工場での労働経験がない人は2陣判決でも救済されない。

「今は24時間、酸素を吸わないといけないので、酸素吸入器をいつも持って出かけます」と語るのは第1陣原告団代表の岡田陽子さん。岡田さんは元気な時は看護師をしていて、アスベスト工場で働いた経験はない。しかし、両親がアスベスト工場で働いていて、その工場近くの社宅で育った。

だから、第2陣の原告だったとしても救済されない。 子どもの頃から体調が悪いので「息苦しい」ということを知らない。子どもの頃から徐々に悪くなっていったからだ。血圧も高く、「2人分の茶碗を洗うのにも、休憩を挟まなければいけない」ほどしんどい。

肺の病気は息をする度に痛むため岡田さんは「睡眠薬を飲まなければ寝られない」という。それでも4時間寝るのがやっと。風呂に入る時でも、胸までつかるのは一瞬だけだ。

零細工場の多い泉南地域は、親族が経営者ということも多い。そのため、周りを気にして参加できない人もいる。

第1陣原告の佐藤美代子さんの夫は30年以上、工場で働いた。「お世話になった会社を訴えることはできん」と、裁判に参加しようとする佐藤さんを怒った。そのため佐藤さんは夫に内緒で裁判に参加した。09年に夫は亡くなったが、「日に日に悪くなる主人を見ているのがたまらなく辛かった」と涙ながらに話した。

泉南のアスベストを支えていたのは、社会的、経済的に弱い立場の人が多かった。彼らは、アスベストが危険ということを知らされないばかりか、何の対策もされないまま働いた結果、病気になった。

佐藤さんの夫は今回の2陣判決だと救済される。そのためには国は2陣判決に沿って救済の網を広げ、1陣原告、さらには声を出せない人も補償できる制度をつくる必要がある。被害者が生きているうちの救済が求められている。(箕面市・鈴木祐太)

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