不屈のジャーナリストむのたけじさんの精神を受け継ぎ、地域の問題を掘り下げ、民衆の声を伝える活動をしている個人、団体を顕彰する「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」の第3回受賞の集いが3月21日、東京都文京区の文京シビックセンターで開かれた。大賞を受賞した新聞うずみ火に、共同代表でルポライターの鎌田慧さんから賞状と記念の盾、「復刻版のたいまつ」の目録が贈られた

 

むのさんは戦時中、朝日新聞の従軍記者として戦地に赴きながらも、戦争の実態を伝えてこなかった責任を感じて退社。戦後、郷里の秋田県横手市に戻って「たいまつ新聞」を30年間発行した。「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」は、むのさんの精神を後世に伝えようと、地域に根差し、民衆の声を伝える活動をする個人・団体を発掘して顕彰するため、2018年に創設された。

最終選考に当たる共同代表は、鎌田さんのほか、作家の落合恵子さん、元朝日新聞記者の轡田隆史さん、評論家の佐高信さん、元「一水会」代表の鈴木邦男さん、武蔵大教授の永田浩三さん、むのさんの次男の武野大策さん。

鎌田さんは大賞に関して、「灰に埋もれたが燃え続ける『うずみ火』は、むのさんの『たいまつ』に通じるところがある。共同代表全員が高く評価した。むのさんの精神を受け継いでこれからも頑張って下さい」と挨拶。永田さんは「『大阪都構想』のでたらめさを訴えるなど、新聞うずみ火が果たした役割は大きい。愛知トリエンナーレや自主避難者など多面的に続けてこられたことを高く評価する」と激励した。

 

賞状を受け取った矢野は「恩師である黒田清さんが『いい新聞はいい読者が作る』とよく言ってました。いい新聞かどうかわかりませんが、うずみ火はいい読者に支えられています」とお礼の言葉を述べた。