編集長ブログ

【編集長のぼやき】兵庫県議会の百条委員会を傍聴しました

自殺に追い込まれた兵庫県の元西播磨県民局長が出席する予定だった7月19日の百条委員会を傍聴した。元局長が「一死を持って抗議する」とのメッセージとともに残した陳述書の内容が明らかにされた。伝聞情報が多いが、聞いたことは聞いた、覚えていないことは覚えていないと正直に書かれており、その誠実な人柄が偲ばれた

斎藤知事によるパワハラ、おねだりの数々もさることながら、気になるのは、昨年11月の阪神・オリックスの優勝パレードの件。優勝パレードに名を借りた大阪万博のPRで、維新の肝いりイベントだ。告発文書では「必要経費を補うため、信用金庫への件補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせた」とあり、事実ならば公費の違法支出であり、犯罪だ。陳述書には「百条委員会の場で究明してほしい」と書かれた。パレードを担当した課長も自殺している。何としても真相を解明してもらいたい

それにもう一つ。元局長は県の公益通報窓口に通報したにもかかわらず、県は内部調査だけで懲戒処分に踏み切った。知事は「窓口で受理する前の告発は保護の対象ではない」と説明していたが、委員の一人、庄本悦子県議は「公益通報者保護法は報道機関など外部への通報も認めている」と反論する。県の対応に違法性はなかったのか検証してもらいたい

県知事選は来年夏。それまでに斎藤知事は辞職するのか、居座るのか。「県政の私物化」を許してはいけない。正すためにも声を上げ続けよう。

 

※写真は、百条委に先立ち、県庁前で行われた斎藤知事に辞職を求める集会

【編集長のぼやき】改正地方自治法は「緊急事態条項」?

自民党の裏金事件を受けた改正政治資金規正法が成立した6月19日、国が地方自治体へ指示できるようにする改正地方自治法も成立した。緊急時を口実にして憲法で保障された自治体の権限を奪う悪法であり、自民党が改憲の一つに掲げている緊急事態条項の事実上の導入である。

政府はコロナ禍を例に必要性を強調し、「大規模な災害、感染症のまん延などの国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」で限定的だと主張する。だが、どんな事態に指示を出すのか、具体的なことは何一つ明らかにしておらず、時の政府が恣意的に乱用する危険もある。それに、改正の根拠とする大規模災害やコロナ禍については、災害対策基本法や感染症法などの個別法で国の指示権が規定されおり、思惑は別のところにあるのではないかと勘繰ってしまう。

かつて、この国は内務省の地方支配を通じて中央集権国家を築き上げ、軍国主義に国民を駆り立てた挙句、国家を破滅させた。その反省から、国と地方の関係は「上下・主従」から「対等・協力」へと改められた。今後、国の恣意的な介入を許し、対等なはずの国と地方が主従関係の時代へと逆戻りさせられるのではないか。

敵基地攻撃能力の保有、武器輸出三原則の廃止、防衛費GDP比1%越えと、「戦争する国」にまい進する岸田政権。国家権力の暴走を止める憲法という「足枷」がまた一つ外されてしまった。次の狙いは何か。徴兵制の復活かもしれない。そういえば、こんな声をよく耳にするようになった「国のために尽くすことは尊いことだ」と……  (矢)

【編集長のぼやき】頭に浮かんだ「棄民」の2文字

先月に続き、民間 ボランティアに参加 するため輪島市に入っ た。が、相変わらず 不気味な静けさに包 まれていた。能登半島地震の発生からまもなく5カ月になるのに、倒壊家屋は手つかずのまま。解体業者がいないから重機も見かけない。業者と住民との日程調整を行う職員が足りない。平日の昼間とはいえ、被災した家の中の片づけを手伝ってくれるボランティアも見当たらない。ふと、頭に浮かんできたのが「棄民」の二文字。「無駄な財政支出は避けたい」。先月、財務省での財務制度等審議会分科会で飛び出した発言だ。ネット上にも避難者に対する心ない言葉が並んでいる。「今だけ、金だけ、自分だけ」の新自由主義がここまではびこる世になってしまったのか。地震大国では、明日はわが身なのに…。▼「高齢化・過疎」とひとくくりにされる能登だが、若者たちが立ち上がっている。今月号で紹介した被災料理人たちもそう。自宅や店が全半壊となり、自分たちの生活も大変なのに、避難所で炊き出し支援。なぜ、自分のことは後回しにできるのか。被災者の一人が古くから伝わる言葉を教えてくれた。「能登はやさしや土までも」。厳しい自然と共存する中で培われた生き方なのかも。また来月も能登に入ろうと思う、知らないうちに「棄民政治」に加担させられていた、なんてことがないように。▼さて、元毎日放送アナウンサー水野晶子さんによる5月4日の能登半島地震の被災地支援ライブ「落語と朗読」。収益金14万円を、輪島市三井町を拠点に支援活動を繰り広げる「のと復耕ラボ」代表の山本亮さんに手渡しました=写真。ご協力ありがとうございました。 

頭を下げない知事

大阪 市役所前で寝そべっている大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」像が傷つけられた事件で、大阪府警は4月19日、45歳の男を器物損壊の疑いで書類送検した。▼被害が判明した3月13日、吉村知事は報道陣に「万博に対して反対の意見があったとしても、こういった暴力行為、犯罪行為は控えていただきたい」と述べ、犯人を万博反対派と決めつけた物言いだった。記者から「まだ反対した人がやったかわからない」と質されると、「強い意志がないと、なかなかあそこまでの傷を付ける行為はできない」「普通に考えたらミャクミャクは万博の象徴ですから、万博に対して良く思っていない人がやった可能性は高い」と持論を展開したという。▼書類送検された男は「終電を逃し、酔っぱらっていたことも相まって、イライラを発散させた」と供述。反対派ではなかったようだが、吉村知事からの謝罪はなし。「イソジン発言」の時もそう。大阪でコロナ死者数が全国最多になった時もお悔やみの言葉すらなかった。よほど、頭を下げるのが嫌なのだろう。▼一連の報道でもう一つ驚いたのはミャクミャク像の値段。設置費用を入れて623万円だとか。では、大阪の鉄道各社が走らせているミャクミャクラッピング列車はいくらかかっているのか。吉本興業の契約額は? 政府は、万博の宣伝など全国的な機運醸成にかかる費用を38億円から40億円にするとしたが、それではすむまい。大阪の放送局もおこぼれを狙っている。万博協会は公益社団法人ゆえ、財務諸表は出さねばならないが、情報公開請求に答える義務はない。意思決定過程の検証ができないため、闇の中になる可能性も……。  

【編集長のぼやき】志賀原発の廃炉なくして復興なし

「第二の人生は田舎で、時間に追われずにのんびりした生活がしたい」。退職後、夫婦で移り住んだ福島県の里山で田畑を耕し、自給自足生活を送っていた浅田さん夫妻。「天国のような生活」は原発事故によって奪い去られた。▼500㌔離れた金沢市で後ろ髪を引かれながらの避難生活は13年になる。避難指示は解除されたが、帰るたびに計測すると放射線量は依然として高く、「帰りたいが、帰れない」能登半島地震でトラブルが多発した志賀原発。被災地で「稼働してなくてよかった」との声をよく聞いた。北陸電力は「安全上の問題はない」というが、1999年に起こした臨界事故を8年間隠ぺいした過去がある▼北陸新幹線の延伸開業でにぎわう日に開かれた反原発集会。浅田さんの言葉が忘れられない。「自分の生業が一瞬でなくなることを想像してほしい」  

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