私の恩師である黒田清さんの月命日の23日、「新聞うずみ火」11月号を発送した。先月で創刊15周年を迎え、今月号で181号。新たな一歩を踏み出す記念号でもある。
1面は「大阪市廃止 11月1日住民投票」に向けて「重い選択 市民動く」。
政令指定都市の大阪市を廃止し四つの特別区に分割する、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う2度目の住民投票が告示され、大阪市内は11月1日の投開票に向け、激しい論戦が展開されている。僅差で反対が上回った2015年5月の住民投票から5年。再び重い選択を迫られる市民の動きを追った。
「大阪市を廃止して四つの特別区に再編する…」。投票を呼びかける選挙啓発カー
その一人、ケアマネジャーの真辺明彦さん(53)は9月中旬から東淀川区内の繁華街に立ち、「一人街宣」を続けている。
「大阪市が廃止されたら福祉行政が崩壊する」という危機感からだ。
四つの特別区に分割されると、介護保険は一部事務組合、高齢者施策は特別区などと複雑になる。財源も府に吸い上げられてしまうため、利用者に「救済制度はない」「自己責任」と言わなければならなくなる。
「高齢者や障がい者を本気で支える姿勢には思えない。協定書に賛成した会派の市議にも話をしましたが、そもそも、介護保険のことを全然わかっていませんでした」
オレンジ色のウインドブレーカーの背中には「大阪市廃止反対 地域と介護を守ろう」の文字が浮かぶ。
突然、「利権やろが!」「俺は賛成や!」と中年男性が詰め寄ってきた。真辺さんが「これを読んで」と手渡したチラシは、目の前でくしゃくしゃに握りつぶされた。
街頭に立ち、説得ではなく対話を心がける真辺さん
「1カ月も立っているといろんなことがありますよ」という真辺さん。以前、「死ねや」と怒鳴られたこともあったという。
「東淀川区は『都構想』賛成が多い。100人に1人でもいいのです。賛成している人が問題意識をもってくれれば」
大阪維新の会が推進する都にはならない「都構想」で、大阪市民は再び分断されている。