高市早苗政権の肝いり政策がまた一つ成立した。外国人の在留手続きにかかる手数料の上限を大幅に引き上げる「改正入管難民法」。現行の上限は1万円だが、在留資格変更・期間更新は10万円、永住許可は30万円に上がる。日本で暮らす外国人は400万人を超え、介護事業や飲食店など幅広い労働現場で不可欠な存在だ。参院法務委員会で参考人として意見を述べた社会教育士の金光敏(キム・グァンミン)さん(55)は「手数料の大幅な引き上げは排外主義の現れであり、共生社会の実現に逆行する」と警鐘を鳴らす。
「奈良のシカを足で蹴り上げるとんでもない人がいます。外国から観光に来て、日本人が大切にしているものをわざと痛めつけようとする人がいるんだとすれば、何か行き過ぎていると思いませんか。日本人の気持ちを踏みにじって喜ぶ外国人が来るなら何かをしなければなりません」
2025年9月の自民党総裁選で奈良公園のシカが外国人に虐待されていると発言した高市氏は、翌月の首相就任直後、外国人政策の見直しに着手。「秩序ある共生社会の実現」を掲げ、外国人の土地取得や帰化要件の厳格化、特定技能などを通した外国人労働者受け入れの上限枠を設けるなどの対策強化を打ち出した。右派の岩盤支持層を自民党に引き戻す狙いがあったとみられる。
外国人が日本で起業するための「経営・管理」の在留資格についても、必要な資本金を500万円から3000万円に引き上げたため、外国人が営む料理店などが廃業の危機に追い込まれている。
さらに追い打ちをかけるのが、今回の在留手数料の大幅引き上げだ。
外国人が日本に滞在するためには、「永住者」「留学」「特定技能1号・2号」など就労や留学などの目的に応じた在留資格が必要となる。現状では、3カ月・6カ月・1年・3年・5年と定期的に更新しなければならない。審査にかかる手数料の上限は現在一律で1万円だが、改正後、在留資格の更新・変更は10万円、永住許可は30万円に引き上げられる。
値上げされるのは手数料の上限であり、実際の徴収額は上限の範囲内で政令によって決まる。
在留資格の更新・変更は在留期間が長いほど手数料が高くなり、現行の6000円から3カ月で1万円程度、1年で3万円程度、5年の場合は7万円程度に引き上げる方針だ。永住許可だと従来の1万円が20万円程度に上がる見込みだという。
関西で外国人の子どもを支援している金さんは、外国人との共生や在留制度などの研究にも長年携わってきた。手数料が現行の5倍から20倍に達すると、「低所得の外国人世帯が手数料を負担しきれなくなる可能性がある」と指摘する。
「フィリピンやブラジルのコミュニティーでは、このまま日本で子どもと一緒に暮らせるか、戦々恐々としています」と切り出し、自身が大阪市内で支援するフィリピン人の一人親家庭の実情を紹介した。
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大阪市を廃止し、特別区を設置するいわゆる「大阪都構想」の制度案をつくる法定協議会の初会合が6月12日、大阪市役所で開かれた。大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)が目指す2027年4月の統一地方選との同日実施に向けて、今年12月に制度案をとりまとめるスケジュールを確認。吉村氏は人口規模に応じて大阪市を3~24区に分割する4案を提示した。都構想は15年と20年の住民投票で2度否決されており、「すでに民意は示されている」と公明党や自民党系の会派は参加せず、推進する大阪維新の会のメンバーだけで進められた。副首都構想が成立すれば、住民投票の対象を市民から府民へ拡大可能という副首都法案に対し、専門家から憲法違反との声が上がる。
6月12日午後1時、大阪市役所最上階の一室。法定協の委員の空席が七つあった。都構想に反対の公明党と自民系が不参加だった。吉村氏は「設計図づくりの場で正々堂々と論戦を戦わせるべきだ。ボイコットするのは違うんじゃないか」と批判した。
公明党市議団の西徳人幹事長は「参加条件を五つ示したが、市長からは法定協は反対意見を述べる場ではないとされた。反対意見は大阪市議会で述べさせていただく」とし、市議会の大都市・税財政制度特別委員会を念頭に「ボイコットとは違う」と反論した。前回は法定協と同特別委を交互に開いていた。
法定協のメンバーは20人。参加したのは吉村氏と横山英幸・大阪市長、府議6人、市議5人の13人で、全員が大阪維新の会だ。法定協への参加に条件を示したのは公明市議団、自民・市民クラブ市議団、自民・国民・市民とつながる・くらしが第一市議団の3会派。条件は▽市民が多様な選択肢を比較、検討できるよう特別区以外の都市制度に関する議論の実施▽法定協議書の策定は全会一致とすること▽会期に期限を設けない▽住民投票の範囲は廃止される大阪市の有権者に限定する▽副首都の議論と特別区設置の議論は切り離して行うこと―の五つだ。
確認されたスケジュールでは、原則として法定協を月2回開催し、特別区と府の税源の配分や財政調整、事務分担、特別区の区割りなどを協議する。国会での副首都法案の7月可決を前提に、11月に住民投票の対象や都への名称変更の是非を議論。12月上旬に特別区摂津協定書案をとりまとめ、総務相へ報告する。府市両議会で協定書が承認されれば、住民投票が実施される。
吉村氏の強い意向で来年4月の統一地方選との同日実施を目指すため、協議時間は短い。法定協の開催数は、1度目が2年1カ月間に23回、2度目が3年3カ月間に37回。今回計上された予算は10回分にすぎず、7カ月の間に10回という過密日程で副首都についても議論する。
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6月16日、何十年かぶりに国会本会議を傍聴した。77年間、全く手が付けられなかった再審制度をめぐる政府提出の刑事訴訟法改正法案が衆院本会議で可決された。
19日からは参院で審議され、野党は証拠開示のありかたや、証拠の目的外使用禁止などをめぐって修正を目指すとはいえ、衆院で政府案を指弾していた参政党が土壇場で賛成に回ったため、今回の6月国会で決まりそうだ。
採決前、参政党の和田政宗議員は討論で検察が開示した証拠の公表を一律で禁じる「目的外使用」の禁止規定の削除と検察が持つ証拠一覧表の提出命令の新設を求め、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)について「原則禁止であることを検察はしっかり受け止めなくてはならない」と訴えた。
だが、例外事項が原則のように逆転するのが世の中の常。
自民党の神田潤一・前法務政務官は「(政府案は)再審制度を大きく前進させると確信している」と評価したが「検察や裁判所の運用に委ねる部分が残る」と指摘した。
神田議員の討論には野党席からヤジが飛んだが、平林晃議員(中道)や井戸まさえ議員(国民)らの反対討論に与党側からヤジはなかった。
政府案は検察庁の利益を最優先する法務省の思惑通り「抜け道」だらけだ。袴田事件、福井女子中学生殺人事件、日野町事件など、冤罪被害者の救済を大きく遅らせたのは、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)だ。政府案はこれを原則禁止としながらも、「(有罪立証に)十分な根拠」がある場合は例外的に認めている。だが十分な根拠かどうかを判断するのは検察官の胸先三寸。さらに、「再審請求の理由と関連する証拠」について裁判所が検察官に提出命令を出すことを義務化した。しかし、関連があるかないかの判断は裁判官にはわからない。有罪立証に不利な証拠を「関連がない」と検察官が提出しないことも考えられる。
また、再審請求人や弁護人が、開示証拠を再審裁判以外の目的で使うことを罰則を設けて禁じている。こうなると袴田事件で5点の衣類の写真が開示され、弁護団とともに支援者が無実を証明した「味噌漬け実験」のようなこともできなくなる。
可決案は付則として①裁判所が任意で検察に証拠の開示勧告ができる②証拠の目的外使用禁止の必要性を法改正から5年ごとに見直す③検察が保管する証拠の一覧表開示を制度化する必要性を5年ごとに見直すことは盛り込んだ。
衆院通過の直後、静岡地裁の裁判長として2014年に死刑囚だった袴田巌さん(90)の再審開始を決定して釈放した村山浩昭弁護士と、大崎事件の弁護人で日弁連再審法改正推進室長の鴨志田裕美弁護士が東京都内で記者会見した。 ともに法務委員会で参考人として意見を述べていた。巌さんの姉ひで子さん(93)は、咳が出るなどしたため上京を断念し、浜松市からオンラインで参加した。ひで子さんは「(法務省は)抜け道ばかり作ると思っている。抜け道を作ると、また同じようなことをやる。同じことをやるなら法改正ではない。正しい法律にしていただきたい」「黙ってたんじゃダメ。だから声を上げて臨んでいる」と訴えた。
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沖縄県の県高校障害児学校教職員組合と県教職員組合、それぞれの退職教職員会の4団体が6月5日に記者会見し、文部科学省への抗議声明を公表した。同志社国際高による名護市辺野古での学びを教育基本法違反と認定したことを、「『政府の意に沿うかどうかが中立性の基準』との圧力を感じる」「教育への不当な政治介入」と批判している。
喜瀬実名子・沖縄高教組執行委員長が読みあげた声明は、3月の転覆事故で亡くなった2人への「ご冥福を心よりお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに深い哀悼の意を表します」から始まる。
4団体が沈黙を選ばなかったのは、「事故を利用して、辺野古における市民運動や平和教育を否定・抑圧しようとする動き」(日本環境法律家連盟の3月25日付緊急声明)がひどいからであり、「失われた命を単なる攻撃の材料とすることは、厳粛に受け止めるべき人の死を冒涜する」(同)ことでもあるからだ。
声明は、「政府の意向に反する題材・取り組みは許さない」という圧力が教職員にかかっていると指摘し、「学校現場が戦争や平和、人権、憲法について現状や課題を扱うことを避けることになれば、子どもたちの学ぶ機会を狭めることになりかねません」「民主主義の基盤である主権者教育が損なわれる危険性すらあります」と訴える。
沖縄の平和教育については、「社会課題に誠実に向き合い、平和な未来を担う子どもたちの思考力・判断力・表現力を育てる」ことを実践していて、「過去の悲劇を繰り返さないよう、命と人権、民主主義を大切にし、平和な社会を築いていく力を育む学び」であるから、教基法に沿う教育だと文科省に反論している。
報道陣との質疑応答では「中立」を問う発言が続いた。
声明は、教育における政治的中立を「特定の政党や政治的立場や価値観を押しつけることなく、子どもたちが多面的・多角的に学び、自ら考える機会を保障すること」と定義する。
譜久山薫・沖教組副委員長は「教育内容が教基法に沿っているかは各教育委員会が判断するもの。国が判断するのは踏み込みすぎだ」と語った。砂川歩・沖縄高教組賃金財政部長も「一部を切り取って違反だとした文科省こそ政治的で恣意的だ」と批判した。
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2025年8月6日、陸上自衛隊宮古島駐屯地の司令が、市民2人を恫喝する事件が伊良部島(沖縄県宮古島市)で起きた。被害者の清水早子さん(77)と上里清美さん(70)は「自衛隊の日本軍化だ」という危機感を抱き、国と比嘉隼人司令(当時)を相手に国家賠償請求訴訟を起こした。計220万円の支払いと、比嘉氏には地元4紙に謝罪広告を出すことも求めている。第1回口頭弁論は6月9日に那覇地裁であった。
市民団体「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水さんと上里さんは25年8月6日、陸自宮古島駐屯地の新人隊員訓練を監視するため、宮古島から橋を渡って伊良部島の「海の駅」に向かった。
2人が監視に赴いたのは、防衛省が嘘をさんざんついてきたからだ。
日本政府は19年3月、南西シフト(琉球の軍事化)の一環として陸自宮古島駐屯地を開設した。このとき防衛省は「ヘリパッドや弾薬庫はつくらない」と約束した。のちに弾薬庫をつくり、グラウンドもヘリパッドに使うことにしている。「訓練は駐屯地内や訓練場内で行う。外で行う場合は事前に住民に周知する」とも約束したが、いまでは周知もなく公道で訓練をしている。
清水さんと上里さんは8月6日早朝に「海の駅」の駐車場に着いた。そこに訓練隊がやってきた。清水さんはハンドマイクで呼びかけた。「おはようございます。すばらしいご来光ですよね。でも、戦闘服姿、迷彩服姿の向こうに朝日を見るのはとても残念です。私服でみなさんといっしょにですね……」。抗議というよりも若い隊員への語りかけと言うべき口調だった。
上里さんが撮っていた動画記録によると、比嘉氏は怒鳴りながら詰めよってきた。「許可を取ってるんですか! われわれは許可取ってるんですよ! 許可取ってからやってください! 許可取ってから! やるんだったら!」
比嘉氏が連呼している「許可」とは何か。訴状によると、市民が駐車場を使うときは、一帯を所有・管理する沖縄県と宮古島市から許可を取る必要はない。一方、この日の自衛隊は駐車場の一角を仕切って排他的に使っていたから許可を取るべきなのに利用申請すらしていなかった。つまり比嘉氏は嘘をついていた。
さらに比嘉氏は、なにごとかを答えようとする清水さんをさえぎってすごんだ。「われわれは取ってやっている。あなた許可やってるんですかって。市民のものじゃない。許可やっているのかどうか、まずそこを確認しているんだよ!」
このときのことを清水さんは第1回口頭弁論の意見陳述で「私は言葉を失った。あの怒声は『暴力』だった」と振り返った。
比嘉氏の怒声は止まらない。
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社会の仕組み全体が根本から覆った明治初期、急激な暮らしの変化に直面した農民たちが、各地で「新政反対」の一揆を起こした。その矛先は被差別部落にも向かい、1873年(明治6)年5月、岡山県北部で起きた「美作騒擾(みまさかそうじょう)」では18人が虐殺された。なぜこのような残虐な事件が起きたのか。154回忌となる5月、津山市で犠牲者の法要と「追悼の道行き」と名付けたフィールドワークが行われた。
美作騒擾は岡山県北部の美作地方、当時の北条県で起きた。殺された18人、鎮圧後、処刑された農民15人、一揆の過程で亡くなった農民側と県庁の役人を合わせると、45人の死者を出した。処罰された者だけで2万7000人にのぼる大事件だった。
「追悼の道行き」は15年目。『部落(むら)を襲った一揆』(解放出版社)の著者で、半世紀近く丹念に調査研究を続ける上杉聰さん(78)が2012年から取り組んできた。3年前からは、上杉さんの講座の受講生らが結成した「美作騒擾なにわ研究会」が「継承・追悼の道行き」として運営を引き継ぎいでいる。今年は5月30、31日の2日間。地元の岡山をはじめ中国、近畿、九州などから約30人が参加、ゆかりの地を訪ね歩いた。
30日はJR津山駅からマイクロバスに乗り込み、発生地の貞永寺村に向かった。青々とした水田が広がる農村が、騒擾の出発点だった。
153年前の5月26日、突然出現した白装束の男に村は騒然となった。「白装束の血取り(血を抜く役人)が来る」という噂を広げる者がいたからだ。明治政府が72(明治5年)11月に出した「徴兵告諭」に「血税」の表現があり、人々は「生き血を取られる」と恐れていたという。竹槍を持った約500人が血眼で男を捜すが見つからない。男の正体は、一揆計画を練った村の総代役の身内だった。
徴兵制、地租改正、斬髪、屠牛、公立学校設立。矢継ぎ早に新政策を打ち出す政府に、農民たちの不満は高まっていた。太陽暦への変更も農民を混乱させた。しかもその年は日照りで、田植えもまだできていなかった。
農民たちは県庁へ強訴すべく蜂起。複数のコースで津山を目指した。人々を強制的に動員。最終的に3万人規模に膨れ上がった。バスは一揆勢が通過した村々をたどった。
新政反対一揆は全国で52件発生。うち21件は被差別部落が直接の標的とされ、西日本に集中していた。
農民たちは71(明治4)年の解放令(賤民廃止令)に反発していた。それまで、道ですれ違えば、必ず土下座した相手が、立ったままのお辞儀で通り過ぎていく。農民たちは「増長している」「生意気だ」と受け取った。
……
週刊文春が報じた中傷メール問題で自民党内では厳しい状況に陥っていて、ポスト高市がささやかれ始めていると報じた雑誌もあるが、首相の支持率は少し下がったとはいえ依然として高水準にある。自民党の議員連中のほとんどは、誰を総裁に担げば自分の選挙に有利かしか考えない打算的人物ばかりだから、来年に選挙がある地方議員と参院議員を含め、よほどの事実が出てこない限り本格的な高市おろしが始まることはないだろう。
おまけに、いまはアメリカのトランプバブルに連動して、日本でも三十数年前のバブルのような株式相場の高騰が継続していて、ついこの間まで3万円台だったのが、7万円を突破し、あたかも好景気であるかのような状況が続いていて、高市・自民党が総選挙で掲げた「日本列島を、強く、豊かに」どおりになっているかのように錯覚させている。
さらに6月15日からフランスのエビアンで開催されたG7セブンサミットのついでにイギリス、イタリアを訪問して首脳会談を行い、改めてトランプ大統領とも会って、国民にアピールする材料は十分に手に入れたので、高市首相としては万々歳なのだろうが、前にも書いた通り日本は防衛費だけ増やしているが、衰退し始めている。GDPは世界第5位に落ち、個人GDPはイタリア、韓国に抜かれて世界38位、何も「強く、豊かに」はなっていない。
孫正義氏をはじめ日本の企業家や投資家はトランプ大統領にすり寄ってアメリカに多額の投資をしているが、日本で投資して消費者に還元しろ、と言いたくなる。
東京のマンションの最高価格が200億円、4億、5億円は当たり前、大阪でも40億円のマンションが売り出され、億ションが当たり前とも言われるが、どう考えてもバブルである。こんなものはまちがいなく破綻する。
かつてのバブル崩壊と同様、とんでもないことになると懸念するが、自民党も維新もまったく警戒心がなく、圧倒的多数バブルの与党でやりたい放題、残る国会会期で、連立合意の「定数削減、副首都」、新たに出された国旗損壊罪法と、さらに今国会で最優先としている皇室典範改正を行えば重要問題はすべて上がると考えているだろう。
しかし、簡単に考えていたら大間違い。例えば「定数削減」は世論で一番支持されていると理解している議員が多いようだが、誤解である。
いま、地方では人口が減り、地方議会が成り立たない状態になっている。東京一極集中が進んで地方はまぎれもなく衰退している。自分たちの声や要求を伝える議員がいないことに危機感を持っている。合区された上に定数削減されたら地方の声なんてまったく議会には反映されない。地方は消滅するという危機感を持っていることを忘れてはいけない。
議員定数が叫ばれるのは議員に支払われる報酬や手当に対してで、費用がかかりすぎることなのだ。だから何度も指摘しているように定数を削減しなくていいから、まず自分の議員報酬や手当を引き下げろ。とくに定数削減を叫んでいる維新は「身を切る改革」を叫んでいるのだから、真っ先に自分たち議員の報酬と手当はもちろん、首相も閣僚も、知事、市長、地方議員らの報酬も引き下げるべきだ。雀の涙ではなく、半分くらいまで下げろ。
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中東のレバノンは岐阜県くらいの面積で、多民族・多宗派が混住するモザイク国家である。人口の内訳はキリスト教徒が約3割、イスラム教スンニ派が3割、シーア派も3割とカウントされていて、常に宗派間抗争が危ぶまれる国で、実際にこの数十年、ずっと内戦に明け暮れた国でもある。この国の権力構造は微妙なバランスの上に成り立っていて、あらかじめ大統領はキリスト教徒から、首相はスンニ派から、国会議長はシーア派から選出されるというルールの下で、かろうじて平和が保たれてきた。
中東では珍しくキリスト教徒が多数住んでいるので、首都ベイルートのレストランでは普通にビールが飲めるし、ブドウの産地でもあるので上質なレバノンワインを楽しむこともできる。フランスに支配されてきたので、ベイルートは「中東のパリ」と呼ばれているし、夏はビーチでマリンスポーツ、冬はレバノン山脈でスキーを楽しめる。
私のおすすめはベイルート北部のビブルスという港町。歴史ある教会があって、石畳の商店街では、地中海で採れた焼エビにワイン、またはウゾと呼ばれるギリシャ風テキーラを楽しめる。ちなみにこのビブルスという都市名からバイブル(=聖書)の言葉が生まれている。ここは原始キリスト教の聖地でもある。ちなみにこの地ではレバノン杉を材料にした船の建造が進み、フェニキア人たちがこの港から地中海を遠征して、沿岸諸国を支配してきた。レバノン国旗に杉が描かれているのはそんな歴史があるからだ。
2025年4月、10数年ぶりにレバノンに入った。前回12〜13年の入国時は、この国はおおむね平和で、内戦から逃げてきたシリア難民であふれていた。ベイルートのモスクや教会は欧米からの観光客で混雑していた。今回、観光客は激減していた。23年10月に勃発したガザ戦争が、この国に飛び火してイスラエルが主にシーア派、つまりヒズボラの支配地域を空爆していたからだ。
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6月5日、経済産業省が廃炉を決めた原発の建て替え(リプレース)について、2040年代までに最大5基とする目標案をまとめた。23年、当時の岸田文雄内閣が脱炭素実現のための基本施策として、GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針を閣議決定し、GX推進法案が国会で可決された。その中身は、原発の再稼働の推進のみならず、福島第一原発事故以来「タブー扱い」であった原発の新増設まで踏み込むものだった。これを機に、日本政府は「原発回帰」に大きく舵を切ったのだった。
そして、昨年2月にまとめられたエネルギー基本計画では、原発への依存を「可能な限り低減する」というそれまでの文言が削除され、まさにタガが外された。目標案が示されたのは、経産省の総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会だが、福島第一原発事故の廃炉作業が見通しも立たず、巨額の費用が見込まれることを踏まえて「推進政策がもたらした惨事の後始末について議論しないまま、推進の話をしようというのか」という声もあった。だが、結果的に建て替えの数値目標がまとめられ、正式に了承されてパブリックコメント(意見公募)を経れば、今年中に正式決定されることになる。
福島第一原発事故後、政府が具体的な数値目標を示すのは初めてだが、布石は着実に打たれてきた。高市早苗内閣は3月に、原発の新設を政府が支援・後押しする内容を含む電気事業法改定案を閣議決定している。原発1基あたりの建設費は高騰を続けており、1兆~2兆円とされる。民間でその莫大な資金を負担するのは難しいため、電力会社は新設に対する新たな支援の仕組みを国に求めてきた。それに応える形で、公的資金を投入できるようにするのが改正案の骨子だ。
これまで、原発の建設や運転に関わる原資は、電気料金を通じて私たち消費者が負担してきた。だが、従来の制度では事業者が支援を受けられるのは発電開始後となっている。建設に20年程度かかるとされる原発について、その間も支援する制度を設けることで、新設を後押ししようというわけだ。
多くの被害者、犠牲者を生み出した未曽有の事故からわずか15年余りで、いつの間にか日本は「原発ありき」の社会になりつつある。AI(人工知能)の普及やリニアモーターカーの実現などで、電力需要が増大することが喧伝されている。そして、政府は脱炭素の文脈で、原発は再生エネルギーと並ぶ「クリーンなエネルギー」だと強調している。だから原発は必要だという世論が、意図的に醸成されている気がしてならない。だが、ここで冷静に考える必要がある。
発電時に二酸化炭素を出さないことで、原発が「クリーンなエネルギー」という主張が1980年代末ぐらいまではまかり通っていた。だが、事故を起こした場合の桁外れな放射能汚染や、発電による「高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)」を生み出すことから、「クリーンなエネルギー」という言葉は原発を推進する側も使わず(使えず)死語となっていた。特に「核のゴミ」をめぐっては、未だに解決の見通しが立っていないにもかかわらず、復活しているのである。
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新聞うずみ火主催の市民学習会「うずみ火講座」は6月13日、関西大法学部教授(憲法学)の高作正博さんを講師に招き、大阪市北区のPLP会館で開講した。演題は「9条は平和外交の切り札――『力による支配』と改憲論」。高作さんは「平和外交を維持していくには、私たちの不断の努力が必要だ」と訴えた。
アメリカはイスラエルとともにイランを攻撃し、「力による支配」を鮮明にした。高作さんは、日本政府の二つの対応に注目する。
一つは、米軍に自国の基地使用を認めるかどうか。
NATO諸国は、イラン攻撃のために国内の基地使用を拒否した。領空通過さえ認めない国もあり、イタリアのメローニ首相やドイツのシュタインマイヤー大統領は「国際法の範囲外」と批判した。
一方、日本はどうか。米海軍の横須賀基地を母港とするイージス艦がイランを攻撃したほか、沖縄県に駐留する海兵隊や佐世保基地(長崎県)に配備されている強襲揚陸艦も中東に派遣されている。
日米安保条約第6条で、「日本国の安全と極東における国際の平和及び安全の維持のため、米国は在日米軍基地を使用できる」と規定している。日本や極東を越えて軍事行動する場合には事前協議することになっているが、一度も行われたことはないという。
「茂木外相は4月9日の国会で『米軍の部隊をわが国から他の地域に移動させることは日米安保条約上問題なく、事前協議の対象とはならない』と答弁した。在日米軍部隊がイラン攻撃に加わっているのは、移動先で派遣命令を受けたからというのですが、詭弁です。日本政府は米軍基地の自由使用を認めているのです」
二つ目は、自国の艦船派遣の問題。ドイツやフランス、スペイン、EUは派遣しないと言っており、日本も「法律の範囲内で、現行法上できない」と断った。高作さんは「艦船派遣を否定した結論は同じだが、その理由が違う」と指摘する。「NATO諸国は『法律上できるがやらない。イラン攻撃はNATOの戦争ではないから』というのに対し、日本は『法律上できないからやらない』。高市首相はトランプ大統領の要請に応じて自衛隊を派遣する寸前だったとすれば(雑誌『選択』4月号)、憲法を変えて自衛隊を戦地へ送りたいと考えているのではないか」
憲法の拡大解釈によって平和国家のあり方が変えられている。
「違憲と言われてきた集団的自衛権、敵基地攻撃能力も反撃能力と言葉を変えて容認された。攻撃的な武器を持てないはずなのに、熊本や静岡の駐屯地に射程1000㌔を超えるミサイルが次々と配備されています」
……
大阪・泉南市の添田詩織市議にSNSでヘイトスピーチを受けたとして、在日コリアン3世の李香代(イ・ヒャンデ)さんが損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が7月29日、大阪高裁で言い渡される。一審判決は一連の投稿を「差別」と認定せず、李さんは控訴した。6月12日、大阪市中央区のエルおおさかで開かれた「支える集い」に、全国から支援者らが駆け付けた。
李さんは大阪市のイベント制作会社「Try Hard Japan」役員。添田市議は泉南市と業務委託契約を結ぶ同社を週刊誌などで中傷。一昨年2月、同社が訴訟を起こすと、添田市議はその日のうちにXで李さんの攻撃を開始、朝鮮学校の補助金復活のため、街頭行動に取り組む写真をさらすなどしたりした。
李さんは一昨年5月、添田市議を相手取り、550万円の損害賠償と投稿の削除を求め提訴。昨年10月24日の大阪地裁判決は、公人がSNS上で支持者らをあおる「犬笛型ヘイト」の構造を初めて認め、「プライバシー権、肖像権、人格権を侵害する違法行為」として55万円の賠償金支払いと投稿の削除とを認めた。
しかし、「差別」とする主張は退けられ、李さんは控訴。4月15日に大阪高裁で開かれた口頭弁論は即日結審した。
集いは控訴審判決に向けて支援する会が開催。代表の大村和子さんは「在日朝鮮人への差別を生み出しているのは私たち日本人であり、私たちの問題。ヘイトスピーチ、ヘイトクライムがまん延している日本社会の問題であり、それを容認している日本人の問題だ」と訴えた。
大阪高裁に意見書を提出した同志社大学の板垣竜太教授が基調講演。「在日コリアンといった属性一般に着目したものとは認められない」とした地裁判決について「仏作って魂入れず。ナチスのユダヤ人虐殺、アパルトヘイトのような、誰でも人種差別とわかるものでなければ認めないのか」と批判。「この判決が確定してしまったら、社会にどのような負の影響がもたされるかわからない。投稿は人種差別撤廃条約上の人種差別に他ならない」と強調した。
添田市議が李さんの会社の取締役の国籍やルーツに着目するなど「民族的、種族的出身」に関心があり、とりわけ北朝鮮とのつながりが関心事だと指摘。その認識と言動を「コリアフォビア(嫌悪)」という言葉を用いて説明した。
李さんは「在日コリアンという属性に着目したから攻撃された。根本的なところで白黒つけたい。私だけの問題ではなく、在日コリアンだけの問題でもない。外国籍、身体の不自由な方、様々な理由で攻撃され泣き寝入りさせられる人たちがいる。子どもたちに明るい未来をバトンタッチする裁判にしたい」と話した。
国の予算には、一般会計と特別会計があります。今回はあまり知られていない特別会計について触れます。なにしろ一般会計(2026年度予算、115・1兆円)の約4倍の規模ですから。
特別会計 特定の事業に使われる特別な予算で、一般会計から切り離して独立した経理処理を行います。わかりやすく言えば、決まった用途しか使えない「専用口座」かと。国債整理基金、財政投融資、外国為替資金、食料安定供給など14種類。26年度予算では、歳出総額が441・7兆円。重複部分を除けば、純計額は216・2兆円。多い順に①国債償還額(借金返済)88・8兆円②社会保障給付費81・2兆円③地方交付税交付金24・3兆円④財政融資資金への繰入(財投債の発行により調達した資金の繰入)など。
特別会計の課題 ①国会での詳細な審議が少なく、「一括審議」で通過する例が多い②剰余金(使い残し)の使途が不透明。特定の業界や団体との関係癒着が目立つ③独立行政法人や公益法人への資金流入が目立ち、官僚OBの天下りも多い。例えば「道路・港湾整備」会計はゼネコン、「エネルギー」は原子力事業者や電力会社など。改革が進まない理由は、政治家・官僚・業界などの癒着や抵抗です。03年の塩川財務大臣(当時)の比喩が、それを端的に物語っています「母屋(一般会計)では、おかゆで節約しているのに、離れ座敷(特別会計)で子どもがすき焼きを食べている」。その特別会計の中で、いま話題の「外国為替資金特別会計」に触れてみます。
外国為替資金特別会計 外国為替相場の安定を目的とし、急激な変動の際に、為替介入などに用いられます。また毎年度の剰余金の大半は、為替資金に組み込まれています。25年3月末の残高は187兆円。やや古いのですが、24年3月末のデータでは、残高が178・4兆円。外貨証券が138・4兆円を占め、うち102・5兆円が外国債(57・4%)です。大半が米国債かと(1㌦=158円の評価)。過去3年間の残高推移は、22年3月末が154・5兆円(対ドル130円)、翌23年3月末178・1兆円(同147円)、24年3月末178・4兆円。運用収益は、順に2・7兆円、3・4兆円、3・7兆円です。
現状の課題 資金循環表(25年12月末)によれば、政府の負債は1392兆円。うち国債の残高は1167兆円で、日銀は503兆円(45・7%)を保有。報道によれば、「26年3月末で、日銀の国債保有残高は530・8兆円」「国債評価損45兆円となり、前年の28兆円を大幅に上回って、過去最大」(26年5月28日付朝日)とのと。「為替への介入が、直近1カ月(4月28日~5月27日)で11兆円余り、過去最大の円買い」も「効果が薄く、円安進む」(5月30日付朝日)。世界を見渡しても、債務超過の中央銀行(日銀)が発行する通貨(円)が、果たして市場から信用されるか否か、大きな疑問が生じます。
当コラムが始まった時期(16年1月)は、アべノミクスの真最中。大きな疑念を抱き、何度か触れました。それを推進したリフレ派(浜田宏一・内閣参与、黒田日銀前総裁など)は、後に苦しい釈明をしています。今回の「責任ある積極財政」もアべノミクスの再来。「税の歪み」を正し、規律ある財政運営が望まれます。
すぐに動いた
私の取材に知花昌太朗さんは――
チビチリガマ証言音声などの資料
の存在を知ったので、他に取られな
いよう、活用したいと意思表示する
ため、すぐに東京の下嶋哲朗さんに
会いに行った。泊まるところも決め
ずにネットカフェで泊まってもいい
かなと、とにかく出かけた。
でも下嶋さんはそんなことしたら、
昌一さんに怒られると自宅に泊めて
くださったという。
一人の人間がいることに期待
2025年9月、資料の引き取り
を希望する読谷村とチビチリガマ遺
族会会長、下嶋さん、昌太朗さんが
顔を合わせ、その資料の活用につい
て話し合いが持たれることになった。
村史編集室での話し合いの前、沖
縄テレビのインタビュー(25年10月
1日放送)に下嶋さんは――
こういう青年(昌太朗さん)がい
るところであれば大丈夫じゃないか。
村という行政よりもね、一人の人間
がいるということに、まぁ、一種期
待をしてね、そんな思
いを抱えてきょうは来
たんですよ。
村史編集室での話し
合いの様子はインタビ
ューに続いて沖縄テレ
ビで放送された。
下嶋さん――
僕が一番気にしてい
るのは活用法という面
なんですよね。
保存と並行して資料をいつでも
利用できればと昌太朗さん――
僕は直接的な話はもちろん、生の
声は聞けてない世代で、ガイドはし
ながらもどちらかというと「証言で
はこういう風に言っていたよ」とい
うのをしゃべっている世代ではある
ので、やっぱり音源(証言音声)と
かが聞けたときの、活字では分から
ない部分、おばあたちがどういうト
ーンで、どういう言い方をしていた
よというのが分かるだけでも、ガイ
ドするときに生きると思います。
活用方法として、もし可能であれ
ば理想だなと思います。
下嶋さん――
現場の声です。
資料を積極的に活用していく
ことで協議はまとまる
それで読谷村は今後、資料の引き
渡しに向け作業を進める。
昌太朗さんは――
戦後80年というのもあって、この
下嶋さんの情報が出てきたことによ
ってのタイミングかなと思いますし、
ここまですぐ形になるとは思ってい
なかったので、すごく個人的にはう
れしいです。
私の取材に昌太朗さんは、証言音
声などの資料の保存については自分
はできないので読谷村でお願いした
いと思います。そしていつでも利用
できるようにしてほしいです。
沖縄テレビは結びに――
42年前、波平の人々が重い口を開
いたチビチリガマの記憶。新たな形
でこれからの世代につないでいく取
り組みが進められます。
小津安二郎に『お茶漬の味』(1952年)という映画がある。この2年前に勃発した朝鮮戦争によって軍需産業などの特需で、敗戦国日本の経済は回復、翌51年には対日講和条約が調印され、独立国として世界に認可された。そのような時代での作品である。
一流企業の部長、佐竹茂吉(佐分利信)とその妻・妙子(小暮美千代)は、結婚して7、8年というから、佐竹が外地から復員してすぐ結婚したのだろう。地方出身の佐竹と、上流階級の洗練された環境で育った妙子とは生活も趣味も合わない。妙子は友人の夫人たちや長兄の娘(めい)などと、夫に内緒で温泉に遊びにいったりして鬱憤を紛らせていた。佐竹はそんな妻の遊びに無関心な顔をして、妻の嫌いな煙草「朝日」を吸い、ごはんに味噌汁をかけて食べる習慣をやめようとしない。 そんな時、妙子が進めるめいの見合いの席を、めい本人がすっぽかしたことを叱ると、聞いていた佐竹は「無理に結婚させても、君と僕みたいな夫婦が、もう一組できるだけじゃないか」とポツリという。妙子はその言葉に傷つき、2人は口も聞かなくなる。そして妙子は、神戸にいる同級生のもとに遊びに行ってしまう。留守中、急に海外出張が決まった佐竹は、あちこちに電話し、電報も打つが、妙子とは連絡がつかないまま立つことになる。その後、妙子は帰宅したが、茂吉が居ない家で、彼女は初めて虚しく思う、という物語だ。
実はこの映画は39(昭和14)年、中国戦線から復員した小津が復帰第1作のつもりで同題の脚本を書いた。物語は時代背景以外は似通っている。
……
5月の初めに、エアコンを1台買い替えました。工事担当者にオイルショックの影響を聞くと、「配管の購入に個数制限がかけられて、一般向けのホームセンターで仕方なく買い足していますが、それでも足りない」とのことでした。
現場は「足りない」というのに国は「足りている」という状態が長く続いています。TOTOが受注制限を発表すると、政府から圧力がかかり、すぐに受注再開と変更したものの、実際は制限がかかったままだったようです。
カルビーの白黒印刷に対しても、政府関係者が「カルビーの売名行為」と語るなど、異常なほど「危機ではない」に固執しています。
石油の約9割を中東から輸入していたのですから危機ではないはずがありません。そもそも中東への過度な依存を放置したまま今に至っているのですから、長年できなかった供給源の多様化が一気に進むわけもありません。
ただ2度の石油危機を経て、備蓄を約10年かけ官民合わせて約8カ月分を実現させたことで、今は助けられています。とはいえ、その放出には方針がなく、備蓄を効果的に使えているのかは疑問です。
ナフサも、米国は廉価なエタンによる代替が定着。欧州もエタン、プロパン、LPGなど多様化が進み、中国も現在進行中。韓国やタイも計画が進んでいる中、日本だけがほぼ未対応でした。また燃料への補助金の恒常化は、産業界や消費者の省エネ行動が進まない要因にもなってきました。
ちなみに欧州は石油価格の上昇に対する一時的支援は行うものの、無理に抑え込まず、省エネに向かう設計をしているといいます。ニュージーランドではガソリン価格が今、1㍑300円を超えているそうですが、国民はこの状況なら仕方がないと受け入れているとか。賃金が物価に見合っていることも背景にはあると思います。
ニュージーランド政府は「今後もっとエネルギー問題にお金が必要な時が来る。今は補助金を出す時ではない」という方針で、日本とえらい違いだと、エコノミストの加藤出さんが経済番組で話していました。
オーストラリアは石油危機に直面し、今年3月、緊急に『国家燃料安全保障プラン』を策定しました。四つの段階を設け、どのような状態になれば何をするかを決めています。現在はレベル2で、一部で品不足が発生しているが、まだ規制はしないという段階です。政府は、各家庭に節約を呼び掛ける「小さな努力が力になる」キャンペーンの実施を発表。国民には必要な分だけを購入し、自発的に使用料を減らすよう求めます。
レベルの移行には、ナショナル・キャビネット(連邦・州・準州の首脳会議)の承認が必要で、省庁や首長が単独で決めることはできないこともポイントです。
こうして見ていくと、日本の場当たり的な政策が目立ちます。国民の生活を重視した政策が行われるためには、私たちがもっと政府の動きに敏感になる必要があります。「政治は生活」であり、その生活を良くするのは私たち自身なのだと、改めて思います。
興味深いタイトルです。「もしかして……」だから、確信が無いのかと考えながら表紙を見ると、妹のローズと兄のオスカーが階段に座り、パパに「オオカミ」というタイトルの絵本を読んでもらいます。階段の両棚にはオモチャとオオカミが登場する絵本が並んでおり、表紙だけでワクワクします。兄妹の子ヤギはパパの読んでくれるオオカミの絵本が気になって仕方ありません。
水曜日はパパがチョコレートケーキを作ってくれる日。ページいっぱいに手際よくケーキを作るパパとそれを見守る子ヤギたちが描かれています。俯瞰で描かれた台所はとても素敵です。洗濯物も干して、ケーキをオーブンに入れて準備完了! 立派な本棚の有る書斎で子ヤギたちは本を選んで待っています。もちろん、オオカミのお話です。
パパは心配そうに言いました。「こういうお話を読むと、後でこわくなっちゃうぞ」。すると、ローズが「ドキドキするのは大好き」。パパは子ヤギたちを両脇に座らせ、絵本の話が始まります。
「寒い冬に腹ペコのオオカミが森をウロウロ……。寒すぎて歯がカチカチと鳴ってしまうほどで……」
そこまで話が進んだ時、家の外から「カチカチ カチカチ!」と音が聞こえます。何だろうとパパが首をかしげると、子ヤギたちが「もしかしてオオカミ!」。パパが、「この森にはオオカミなんていないからね。これは……」と家の中を見回すと、鎧戸が外れている事が判明します。ホッとして絵本の話が続きます。
「オオカミがやって来る村の人々は、鍵を二つカチッ カシャン!と掛けるようになった」と進んだ時、家の中で「カチッ カシャン」と不思議な音! 今度はパパが、いったいなんだと不安気です。その音は、ローズがオオカミに入られないようにと鍵を掛けた音でした。パパは「これは本の中の話だからね。この森にはオオカミなんていないんだからね」と再び念を押します。
この辺から、どんどんと話が不思議な方向へ進んでいきます。なんとパパが読む本の内容と同じ現象が次々と実際の家の周りで起こるのです。パパは、ドアの「コンコン」という音に玄関へ行き……、屋根の「バンバン」という大きな音で家の屋根の確認に行きます。そして、絵本の話と同じように物が焦げる臭いがしてきて、「オオカミが火を付けた!」とパニックになる子ヤギたち。本当はケーキが焦げただけなのに、パパの精神状態も普通でなくなります。
ここまでのパニック状態での三人の描写の数々に読み手も彼らと同じ気持ちになっていきます。絵本の話では、オオカミが火をつけたが最後は雨が降って終わり。ちょうどその時、実際に雨が降り始め、パパは慌てて外へ飛び出し、洗濯物を取り込み始めますが……。
ページをめくったところには、驚愕の顔で森の奥を見つめるパパが描かれています。この後のエンディングまでの2ページは読んで見てください。
フランス語の原題に近い日本のことわざが、「噂をすれば影」です。見えないものに翻弄される心理描写に、何度読んでも新しい発見がある絵本です。
忘れてはならない
やまゆり園事件
大阪府 大槻政宏
2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の「津久井やまゆり園」で入所者19人の命が元職員によって奪われ、27人が重軽傷を負った障がい者殺傷事件が起きて10年になろうとしています。社会を震撼させ、大きな衝撃を与えた事件でした。
亡くなった19名の多くは今も名前は明らかにされず、人としての尊厳は損なわれたままです。亡くなった方たちの「無念の思い」は語られることはありません。また、傷ついた27名は大きなトラウマを抱えたまま、今をどんな思いで、どのように生きているのか。これもまた沈黙を強いられています。
この社会には、戦争や差別や虐待により、まったく理不尽な死を強いられた人たちが、「自分の声」を発することができない現実があります。相模原で被害を被った人たちの思いも怒りも、私たちは受け取ることができないまま10年経とうとしています。
私が暮らす高槻市で、この10年、「この事件を風化させてはならない」という思いを込めて、学習会を開催してきました。「TJO」(高槻自閉症児親の会)ケアネットが毎年、映画や講演、意見交流を重ねる中で、この事件とその持つ意味を多面的に考えてきました。
ところが、この事件をめぐる裁判は、事件の本質に迫ることはありませんでした。「一人の特異な人間が行った特異な事件」という扱いでした。私たちの生活や生き方にどうかかわるのか、また政治、福祉、教育との関係が深く問われることはありませんでした。
とりわけ、政治の責任と教育の責任について追及がなされていません。そして事件を起こした元職員の優生思想が、私たちの意識や考え方にも潜んでいるのではないかという重要な問いかけも十分にされていません。
私たちはこの事件を通して、今の社会と時代、何より自分自身を見つめていきたいと思います。
8月8日(土)午後1時半~高槻市立障がい者福祉センター4階研修室で学習の場を持ちます。映画監督の澤則雄さんを迎え、「事件と裁判、その後」をまとめた映画の上映と講演してもらいます。
参加者同士で思いを出し合い、事件の本質に迫るとともに、今後の方向性を考えていきます。連絡先は岩﨑さん(080・5445・1656)まで。多くの方の参加を呼びかけます。
ともに考え、思いを語り、交流しましょう。
(「やまゆり事件」からもう10年。一人ひとりがかけがえのない個人として尊重され、お互いの人権を認め合う共生社会の実現に向かっているのか、あらためて私自身にも問いかけたいと思います)
高市陣営の中傷動画疑惑
公職選挙法違反の疑いも
大阪府 小倉雄二
今これを書いている時点で事態はまだ進行中であるが、高市首相陣営の先の自民党総裁選と総選挙での対立候補への誹謗中傷動画のSNS上での拡散について、メディアではあまり報道されていない点を指摘したい。
まず、週刊文春の報道が事実であれば、両選挙について道義的責任はもちろんのこと、後者については公選法違反の疑いがあるはずである。特に現在、政府内で選挙戦におけるSNS上での虚偽情報の拡散を問題にしているときに首相にそういう疑義があるというのは論外である。
このことは翻ってみると一昨年の兵庫県知事選での立花孝志氏による、斉藤知事に批判的であった元県民局長や一部の県議へのSNS上での誹謗中傷の拡散を思い出させる。この場合、攻撃対象者は対立候補ではないが、結果的に斉藤氏を利する結果を招いている。
また、高市氏は文春報道について、国会答弁では当初、週刊誌報道の信頼性を軽んじるような「印象操作」をしながら完全否定していたが、こ
のことは彼女が「政治の師」と仰ぐ安倍元首相が森友問題に関して、「自分や妻が関係していたら首相も国会議員も辞める」と啖呵を切ったことを思い起こさせる。
以上のことから考えられることは、高市氏は一昨年の兵庫県知事選や安倍元首相の国会答弁での「成功体験」から学んでの言動を取っているのではないかということである。彼女の、現在の首相という地位や衆院における自民党の議席数には大きな疑問符が付く。
(高市陣営の中傷動画疑惑で、公設秘書が関与していた可能性を問われ、高市首相は丁寧な説明をするどころか、うそ、ブチ切れ答弁を連発。こんな人に首相としての資質はありません。即刻退場していただきたいですね)
車イスドライバーになってから出て歩くことがおっくうになることが多い。とにかく段差が苦手で、路面の凹凸で疲れることが原因の一つだろう。今までは何も考えることがなかったのに、行きたい場所よりも行ける所にしか行かないので、選択肢が狭くなる。
数年前には、セレブな芸能人が利用するはやりものだと思っていた宅配サービスの業者も増えてきた。サービス向上もされて身近になってきた。恐る恐ると利用してみると、結構なストレスになることがわかった。
まず、インターホンが鳴ってから玄関に出るまでに時間がかかるので待たせてしまって、悪いなと思う。その逆でインターホンを鳴らした上に「コンコン」と扉を叩く、これには腹が立つ。仕方がないので注文時にコメントを入れておく。「ギックリ腰のために出るまで時間がかかります」。それからは扉を叩かれることがなくなった。食べ物は直接受け取るようにした。日用品などは玄関に置き配OKにしてある。
ところが、予想外の事態が起きた。まさかの手が届かない事件。商品は大きめの封筒に入っている。玄関前であればどうにかして取り上げられるのだが、何を思ったのか、雨どいの下に入れてある。玄関前でギリギリ手が届くのだが、それよりも20㌢ほど低い。さてどうしましょう。明日来てくれる訪問看護師さんに頼むことにした。
ここで、やはり気になるのは配送料だ。スーパーマーケットで330円の食品を買うと、配達サービスを入れると400円くらいになる。驚くほど高額ではないが、積み重なるとやはり負担になる。
そのうえ手数料、サービス料、割増のかかる商品もある。いろいろとハプニングはあるが、配送や宅配サービスは必要なものになる。割高さと外出の負担を比べると必要経費となる。
このサービスは便利さを知ってしまうと止められない。単なるぜいたくではなく、誰でも使える便利なサービスであることを願っている。
■平和学習・大阪市立西中学
・日時 3日(金)午後1時
・演題 「大阪大空襲」
■平和学習・大阪市立東我孫子中学1年生
・日時 10日(金)午前10時35分~
・演題 「パンプキン爆弾」
■第7回辺野古支援者学習会
・日時 18日(土)午後6時
・会場 大阪市立淀川区民センター(阪急「十三駅」から徒歩5分)
・演題 「南西諸島や九州で進む軍事要塞化」
・資料代 500円
・連絡先 水原和行さん(090・8212・0867)
■子どもたちと考える戦争と平和展in高槻・島本
・日時 25日(土)午後2時
・会場 クロスパル高槻5階
・演題 「軍都大阪都大空襲、そして今、戦争を語り継ぐ」
・資料代 500円
・連絡先 同実行委員会(090・6062・3764)
■北河内平和人権センター平和学習会
・日時 29日(水)午後6時
・会場 門真市のルミエールホール
・演題 「大阪空襲の記憶を語り継ぐこと」
・参加費 無料
・連絡先 門真市教職員組合(072・883・1345)
なぜこんな残虐な事件が起きたのか。長年、その問いと向き合ってきた上杉聰さんは『部落(むら)を襲った一揆 新装版』(解放出版社)のあとがきで、美作騒擾の7年前に起きた「改正一揆」を紹介している。年貢減免を勝ち取った一揆勢の中に多数の部落の人たちがおり、一緒に食事もしていたのだという。全く同じ地域で、それも差別が色濃く残る幕末に。「差別を嫌うものもいれば大好きなものもいよう。ただ、どちらも少数派であろう。圧倒的多数は両者の間を左右に揺れ動いている中間派である。もし差別を嫌う派が中間派を味方に取り入れれば、改正一揆のような形が実現する」。一方、7年後は差別的な意識を持つ農民が主導権を取った。新政府から矢継ぎ早の新政が打ち出される中、不安に陥った中間派は差別を維持する方向にぶれたのではないか、と。上杉さんが指摘するように、圧倒的な中間派が重要な事態を左右しているのは今も同じだ。(栗)
高市政権が数に物を言わせ、「国論を二分する政策」をまた一つ動かした。国旗損壊罪法案は自民と維新の与党に国民と参政が加わって共同提出、今国会での成立する公算が大きくなった。「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法で公然と損壊、除去、汚損した者は2年以下の拘禁刑、または20万円以下の罰金が科せられる」が、損壊行為が問題にもなっておらず、立法事実がわからない。高市首相は「外国の国旗に対する損壊罪はあるのに、日本の国旗にはないのはおかしい」と訴えていた。だが、外国の国旗を損壊して関係が悪化すれば、外交上の利益を害するが、日本の場合は当てはまらない。国家が国旗を大事にするよう強制することは、憲法19条が保障する「内心の自由」に関わる問題であり、「表現の自由」にも密接にかかわる。そこまでして、取り締まる必要性があるのか。国旗は見えない国家を可視化するために用いられるという。結局は、市民の表現活動を監視、委縮させるためなのか……。憲法がまた壊される。(矢)
5月13日(水)
矢野 滋賀県湖南市での「びわこ南部地域人権啓発連続講座」に向かうため、午前の新快速でJR草津駅へ向かっているつもりが尼崎駅着。「え、逆やんか」。あわてて上り電車に乗り換え、15分遅れで草津駅に到着。三雲駅に向かう電車は出ており、草津線は1時間に1本。タクシーで会場に滑り込んだのは開演5分前。「戦争を語り継ぐこと」と題して講演。
5月14日(木)
矢野 午後、大阪暁光高校看護専攻科の社会学講義で「パンプキン爆弾」について解説した後、学校法人駿河学院の3校での修学旅行事前授業で静岡入り。理事長の杉下俊雄さんと打ち合わせ。
5月15日(金)
矢野 朝から清水、駿河、藤枝学院と立て続けに講演。演題は「沖縄戦を通して平和を考える」。夜、帰阪。
栗原 午後、関空からソウルへ。18日まで「韓国草の根塾」のフィールドワーク。
5月16日(土)
栗原 韓国南西部の珍島へ。セウォル号沈没事故の犠牲者を悼むモニュメントがあるペンモク港などを訪ねる。
5月17日(日)
栗原 光州へ。5・18民主墓地や旧道庁前での前夜祭。
……
■8月1日(土)黒田清さんを偲ぶ会
いよいよ近づいてきました。コント集団「ザ・ニュースペーパー」結成時のメンバー松崎菊也さんと石倉直樹さんを招いての「黒田清さんを偲び、平和を考える集い」は8月1日(土)、大阪府豊中市の市立とよなか男女共同参画推進センター「すてっぷホール」で開催します。
チョッキさんからイラスト=写真=とメッセージが届きました。
〈日本国憲法の最後の99条は権力者の暴走を止める足枷のようなもの。「その国の理想の姿を物語るものが憲法です」ならイジるな。「その時々で変わっていくのも憲法です」って中華屋のメニューか、冷やし中華始めましたか。中華とのここまで冷え切った関係にしたのは一体誰よ? 沈黙は金? いや沈黙は禁だ! また皆さんとお会い出来るのが楽しみです〉
会場は阪急宝塚線「豊中駅」南口改札から右手、エトレ豊中5階。
資料代は2200円(読者2000円)です。
なお、当日会場で配布するパンフレットの「一声広告」(1マス3000円~)、カンパを募集しています。無理のない範囲でお力添えをよろしくお願いします。
■8月15日(土)桂花団治さんが伝戦落語
うずみ火講座は敗戦の日の8月15日(土)午後2時半~大阪市此花区のクレオ大阪西で開催します。次世代に戦争を伝える落語「伝戦落語」を手がける三代目桂花団治さんに新作「みがきにしん〜樺太真岡の記憶」を披露してもらいます。
花団治さんの母は樺太(現サハリン)真岡町の出身。無条件降伏後に旧ソ連軍が上陸。真岡郵便電信局では電話交換手9人が集団自決に追い込まれたり、北海道に向かう引き揚げ船も国籍不明の潜水艦の魚雷攻撃を受け、撃沈されたりしたそうです。
資料代2000円(当日2500円)。お早めにうずみ火事務所まで。