新聞うずみ火 最新号

2020年2月号(NO.172)

  • 1面~3面 阪神・淡路大震災25年 動き出した「心の時計」(矢野宏)

    凍てついた朝だった。あちこちで街が壊れていた。押しつぶされた家、傾いたビル、高速道路までもが横倒しになっていた。そして悲しい別れがあった……。再び「あの日」が巡ってきた。6434人が亡くなった阪神・淡路大震災の発生から1月17日で25年。被災地では、地震が起きた午前5時46分を中心に追悼行事が営まれ、終日、鎮魂の祈りに包まれた。

    戦後に大都市を襲った初めての直下型地震だった。神戸市をはじめ県内4市と淡路島で、震度7が史上初めて観測された。地震による「直接死」は約5500人。その8割近くが倒壊家屋や家具などの下敷きとなっての圧死や窒息死で、そのほとんどが即死だった。
    あの日、神戸市東灘区森南町の加賀翠(みどり)さん(64)は一人娘の桜子ちゃん(当時6歳)を亡くした。木造2階建ての自宅が倒壊し、1階で祖父の幸夫さん(享年75)と一緒に寝ていた桜子ちゃんが生き埋めとなった。「桜子、大丈夫か」。柱や壁、家財道具などに挟まれて身動きが取れないなか、幸夫さんは懸命に叫んだが、返事がない。
    ただ一言、「おじいちゃん、苦しい……」といううめき声が桜子ちゃんの最期の言葉となった。
    学校や公民館などの避難所はどこも一杯だった。加賀さん一家は近所の1階ガレージにテントを張り、避難生活を始める。
    幸夫さんは「俺が桜子を殺した」と自身を責め、酒量も増えていった。気丈に振る舞っていた翠さんも「感情があふれ出す時があった」という。
    「テントの中で『お父さん、思い切り泣かせて』と言って、父親の膝で子どものように声を出して泣いたことが2度ほどありました」
    震災からわずか1カ月後、市は「震災復興都市計画」を発表、区画整理や再開発、地区計画でまちづくりを進める方針を打ち出した。森南地区も区画整理事業の対象となった。
    市側の説明は一方的だった。「減歩率10%。土地を無償でいただきます。土地の出せない人は清算金をいただきます。区画整理をやると資産価値が上がりますから」ーー。
    住民たちの怒りは爆発した。だが、受け入れざるを得ないのならば、「桜子に誇れる街をつくりたい」。幸夫さんはまちづくり協議会の会長として地域の再建に奔走した。住民集会、市との協議の場を何度も持ち、翠さんも同席して意見を出した。市は一度決めた道路計画を見直し、減歩率も最大で2・5%まで譲歩した。2005年3月に事業完了。それを見届けるかのように幸夫さんは4年後に逝った。…
     

  • 4面~5面 阪神・淡路大震災「被災者生活再建支援法」「神戸朝鮮初中級学校」(矢野宏)

    阪神・淡路大震災がきっかけとなって見直された人と人とのつながり。生活再建に苦しむ人に公的資金を、と市民たちが声を上げて生まれた「被災者生活再建支援法」。朝鮮学校では在日コリアンと日本人が助け合う姿が印象的だった。あれから25年……。

    阪神・淡路大震災では、約25万棟もの住宅が全半壊した。被災者が受け取ったのは1世帯あたり40万円の義援金で、国からの補償は一切なかった。
    自らも被災し、日本弁護士連合会災害復興支援委員会の初代委員長も務めた永井幸寿弁護士は「自由主義社会では個人の資産形成は自由競争に委ねられ、公費の支給はしないというのが政府の主張でした。どんなに家が壊れようとも自分のものなのだから、国は関与しないというのが原則です」と説明する。
    この方針に対し、批判の声を上げたのが兵庫県西宮市で被災した作家の小田実さん(2007年死去)。1960年代のベトナム戦争で反戦運動を繰り広げた市民運動家でもある。
    小田さんは、公的資金で被災者の生活再建を支援する市民立法を作ろうと訴えた。
    97年1月、MBSラジオの番組で、小田さんはこう話していた。
    「天災は政治の責任ではないにしても、天災が引き起こした被災に対しては責任がありますよ。天災を人災に変えないように政治が責任を持つ。そのために我々も税金を払っているわけです。それに、このまま放置していたら莫大な社会保障を必要とするようになり、膨大な金が必要になる。そこで、被災者支援に何百万円か入れば生活基盤が回復できる、自力で立ち上がることができるのです」
    当初、国民による共済制度を目指した兵庫県や日本生協連、全労済協会が「自然災害に対する国民的保障制度を求める国民会議」を結成し、署名運動を展開した。市民たちも公的支援を求める声が高まり、集まった署名は2400万人分。国民の5人に1人にあたる。
    小田さんは全国会議員に手紙を送って賛同者を募り、超党派の議員連が発足。「国が災害で家が全壊した世帯に500万円、一部損壊でも50万円を支給する」という内容の法案を起草。議員立法として国会に提出された。
    ところが…

  • 6面~7面 石垣島・陸自配備 住民自治をも押しつぶし(栗原佳子)

    住民参画をうたい、「わがまちの憲法」とも称される「自治基本条例」。全国約400自治体が定めるこの条例が、昨年末、沖縄・石垣島(石垣市)で存亡の危機に立たされた。自民党を中心にした市議会与党が昨年12月議会で条例廃止を提案したからだ。かろうじて1差で否決されたが、多くの市民は「陸自配備計画の賛否を問う住民投票つぶし」と見た。そのミサイル基地は昨年3月、市平得大俣に着工、造成工事が進む。

    「住民同意を得ないまま、上から一方的にミサイル基地建設が進められている。大きな社会情勢の変化があるいまだからこそ自治基本条例は必要なのではないか」
    1月17日夜、石垣市の大浜公民館で開かれた集会「知って活かそうバガー(我)島の憲法『自治基本条例』」。実行委員長の川平成雄・元琉球大教授が口火を切った。昨年末、廃止の危機にさらされた市自治基本条例の意義を再確認する趣旨の集会で、約150人が参加した。
    市自治基本条例は2009年、2年半の熟議を経て制定された。だが昨年3月、「条例に不備がある」として与党市議10人が特別調査委員会を設置。5時間の審議で廃止と結論付けた。まさに「廃止ありき」。背景にあるとされたのがミサイル基地問題だった。
    防衛力強化の一環として防衛省が地対艦・地対空ミサイル部隊など600人の部隊配備を市に伝達したのは15年11月。反対の声が高まるが、中山義隆市長は18年7月、正式に受け入れを表明した。
    「安全保障は国の専権事項」だと市長。これに対し「島の未来は自分たちで決めよう」と、若者たちを中心に「住民投票を求める会」(金城龍太郎代表)が発足。「平得大俣への陸自配備の賛否を問う」住民投票実現のため署名運動を始めた。1カ月間で集めた署名は有権者の4割。地方自治法が必要とする「有権者の50分の1」の約20倍に達した。
    住民投票実施を直接請求するも市議会で否決。だが、市自治基本条例は「有権者の4分の1以上の署名で市長に住民投票を請求することができ、市長は実施しなければならない」と規定している。求める会は昨年9月、住民投票の実施義務の履行を求め市を提訴、係争中だ。
    集会では…  

  • 8面~9面 時短営業のセブン―イレブン店 「反乱」オーナーを契約解除(粟野仁雄)

    セブンーイレブンのオーナーが「本能寺の変」を起こしている。東大阪市のセブンーイレブン南小阪店の松本実敏オーナー(58)は、昨年12月31日付で本部からオーナー契約を解除された。
    1月7日、近鉄長瀬駅から20分ほど歩いて店を訪れると、ほとんどの棚はガラガラだった。「なんや、パンもあれへんの」と驚く女性客に2人の男性店員は「契約を打ち切られてしまって品が入ってこないんです」と説明して詫びていた。残った品は見切り価格で販売していた。
    昨年末に渡された契約解除の通知書の理由は「顧客のクレームが日本一多い」だった。
    松本氏は他のコンビニが実施しない三つを敢行してきた。①トイレを貸さない②駐車場の有料化③ごみ箱を外に出さずに店内にだけ置く。理由は簡単。「あまりにも客のモラルがない」(松本氏)ことに業を煮やしたからだ。
    「トイレでは鍵かけて充電器をつないでゲームをしている。トイレットペーパーや芳香剤を持ち去る。駐車場は何時間も置かれるので20分以上は有料としたが守られない。外に置いたゴミ箱には犬の糞やじゅうたんまで捨てに来る。うちはごみ屋敷かといった状態でしたよ」
    注意すると、逆にネットなどで中傷された。「私は口が悪いのでネットではいろいろ悪く書かれました。レジにちゃんと並ばないお客さんに注意すると『なんで並ばんとあかんねん』と相手が食ってかかる。『お前出ていけ』と怒鳴りましたよ」。
    「言い過ぎたことなど反省すべきところは反省し、基本的に解決しています。解除は前年、私が打ち出した時短とか元日休業を求めるオーナーが出てきて、本部は私を見せしめ。オーナーたちを脅すためです」と松本さん。
    松本氏は昨年2月、午前1時から6時は閉店した。妻が前年にがんで亡くなり、人繰りがつかなくなっていた。
    「最大18人いた従業員も次々と辞めた。人手不足で引く手あまたなんでしょう。『明日から来ません』と簡単に言われます」
    近畿大学や多くの町工場があるが、駅からは遠い。繁華街でもなく深夜の客はわずか。「そもそも、深夜から未明は完全に赤字。昼間の売り上げで穴埋めしている」という。そうしたコンビニは多いはずだ。
    24時間が当たり前だったコンビニ業界にあって、松本さんは無駄な「営業慣習」を打ち破ろうとした。だが、本部は「契約違反」として365日の終日営業を強要し、1000万円以上の違約金を求めた。
    2012年2月、松本さんは工務店を畳んで開店した。「少ない自己資金でオーナーになれるとの触れ込みにひかれた」という。「休みが取れるのか」と聞いたら「海外旅行に行く人もいます」と言われた。土地を自己所有するAタイプではなく、セブン側から場所も借りるCタイプ。なぜかBはない。「自己資金250万円を払えばオーナーになれるとのことでした」。
    ところが…

  • 10面~11面 ヤマケンのどないなっとんねん サウジの補給拠点の危うさ(山本健治)

    俳句がブームである。伊藤園が俳句募集したり、正岡子規の故郷の愛媛県松山青年会議所が「松山は俳句の聖地」として「俳句甲子園」を開催したり、民放で有名タレントが俳句をつくり、女性講師から辛口添削されて喜ぶ番組が放映されるようになり、それが高視聴率で、いまや俳句人口は1000万人と言われるようになっている。
    昭和戦争の時代、俳句も治安維持法で弾圧された。「京大俳句事件」「きりしま事件」などが知られているが、戦争や状況を批判的に句にした新興俳句運動の人たちだけではなく、赤い鶏頭の花を句にしただけで共産主義を賛美していると逮捕された。そんな時代と比べると、いまは平和で自由だと言う人もいるが、政治や経済のおかしさ、格差や貧困、状況閉塞に知らないふりして花鳥風月を愛でている分には、またサラリーマン川柳のように自虐的作品はともあれ、状況を突き、異議申し立てしようとすると、日本はすでに明らかに「不自由な時代」に入っている。
    俳句ファンもこのことは自覚していて、弾圧された新興俳句運動の人たちの句を集めた『新興俳句アンソロジー』が出版され、話題となっている。その新興俳句運動の一人で、京大俳句に投稿していて逮捕された渡辺白泉の句の一つに、「戦争が廊下の奥に立っていた」というのがある。あれよあれよと思う間に戦争に突入し、日常に入り込んでにっちもさっちもいかなくなってしまった、そんな状況を五七五にしたものである。戦争は遠い話だと思っていたら、いつの間にか、家の奥にまで入り込んでいた。が、これは昔の話ではなく、今の話でもある。
    1月3日、アメリカはイラン革命防衛隊ソレイマニ司令官と、イラクの親イラン派シーア派人民動員隊副司令官ムハンディスをドローンを使って殺害した。イランはもちろん、イラクの民兵組織も、復讐すると宣言した。このニュースは新年祝賀気分を一気に吹き飛ばし、世界を緊張に陥れた。イラン革命防衛隊は形ばかりのミサイル報復を行い、シーア派民兵らしき組織もゲリラ的反撃をした。いくらトランプ大統領が世界最大最強の軍事力、イランくらいいつでも潰せると威張ったところで、本格的な戦争をやりたいわけではなく、大統領選挙に勝つためのパフォーマンスであることは明白で、実際、イラン軍や民兵組織の反撃に対して大げさな対応をせず鷹揚に構えたが、このような状況下では何が起きるかわからない。
    周知のとおり、8日、ウクライナ航空旅客機がイランの首都テヘラン上空で墜落し、乗員乗客176人全員が死亡した。当初、イランはウクライナ航空機の技術的不具合であるかのように述べていたが、11日になって革命防衛軍航空宇宙隊が誤って撃墜したことを認めた。悲劇としか言いようがない。
    トランプ大統領は…

  • 12面~13面 ゴジラと憲法 米ソに貫く非核三原則(高橋宏)

    2020年、国際社会は米軍によるイランのイスラム革命防衛隊の司令官殺害という、国家がふるう暴力で幕を明けた。アメリカにとっていかなる正当な理由があったにせよ、主権国家の要人を爆撃によって殺害するという国連憲章に違反した軍事力行使に対して、日本政府は「緊張の強まりを懸念する」「外交的解決を求める」とするのみで、全く批判をしていない。イランの報復も含めて、その是非を問おうとはしない。安倍首相は「今こそ日本として役割を果たしたい」と意気込んで、二転三転の末に中東歴訪に赴いたが、そもそも「日本としての役割」とは何なのか。
    アメリカの同盟国であり、イランと友好関係を維持していることから、両国の橋渡し役を豪語していた安倍首相だったが、これまで何もできなかったことは明らかだ。その上で、自衛隊を中東に派遣するという。「調査・研究」のためという理由だが、それならば防衛大臣の命令のみで実施可能なところを、お得意の「閣議決定」に持ち込んだ。本当に派遣が必要ならば、特別措置法案を国会に提出するべきではなかったか。結局のところ、イランとの関係を壊さず、トランプ大統領の顔を立てるための中途半端な派遣であることがみえみえだ。
    昨年11月、安倍首相の在任期間が憲政史上最長となった。12年から7年余り続く安倍内閣の特徴は、「原則の破壊」だったと私は思う。日本国憲法に定める国民主権の原則、三権分立の原則、平和主義の原則を、次から次へと破壊してきたのが安倍内閣であった。その破壊と同時になされてきたことが政治の私物化である。自らを「立法府の長」という発言は、単なる言い間違いの域を超えている。憲法改正を「私の手で成し遂げる」と繰り返していることは、明確な憲法第99条違反だ。
    99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とある。ここに定められた「憲法を尊重し擁護する義務」をあからさまに放棄した代表者が、自身と「お友達」とに都合の良いように憲法を変えようとしている今の日本に、私たちはもっと危機感を抱かなければならないはずだ。
    また、安倍首相に限らず私たちの代表者、つまり政治家の「劣化」も目を覆うばかりである。そもそも、首相は、あるいは政治家はどうあるべきなのか。今の日本ではそれすらも見失われてしまっている。そのような中で、見直しておきたいゴジラ映画がある。1984年に公開された第16作『ゴジラ』(以下『新ゴジラ』)だ。
    興行成績の不振などから…

  • 14面~15面 世界で平和を考える「石垣陸自基地」「吉本と安倍官邸」(西谷文和)

    「クールジャパン機構」という名前を聞いたことがあるだろうか。クールは英語で「カッコイイ」。日本の文化、伝統芸能、観光地や名産品などを外国に宣伝してインバウンドを増やそうという名目で作られた官民組織。JTやNTTなど公的機関を民営化してその株式を政府が運用して得た利益が投入されている。最大株主は麻生財務相。問題はここから。我々の税金を原資にした組織が、吉本興業に多額の出資をしているのだ。
    まず、大阪城公園の木々を伐採して三つの劇場が建てられた。MBS、ABC、関テレ、読売テレビ、電通、吉本などの子会社「クールジャパンパーク大阪」が12億円の融資を受けて建てたもので、やっていることは「吉本お笑い劇場」。インバウンド観光客の増加とは関係ない。
    次に吉本と電通がYDクリエイションという子会社を作り、50億円が出資されている。海外で映像コンテンツを作る人たちに出資しようというもの。アニメや映画などを外国で作る人や団体に出資するのであれば、直接「クールジャパン機構」がやればいい。なぜ吉本と電通を介するのか。吉本にとっては公金を使って「負けても損しない投資」になる。そして教育コンテンツを配信する「ラフ&ピースマザー、パワードバイNTT」。吉本とNTTが沖縄に設立。この新会社に100億円が出資され、スマホで勉強ができるソフトを作る。セミやトンボにスマホを近づけると、画面に名前や特徴が出てくるというもの。なぜ必要なのか、なぜ沖縄に作ったのか、なぜ公金が融資されるのか。
    答えは安倍首相と吉本の関係性だ。2019年4月、安倍首相が吉本新喜劇に登場。お返しに6月、吉本の芸人が首相官邸を訪問。こうしたことはあっという間に報道され、SNSなどネットで拡散し、結局は安倍首相の人気が上がる。吉本の芸人さんたちは「安倍政権の広告塔」になっているのだ。
    吉本の大崎会長は、基地跡地利用懇談会のメンバー。世界一危険な普天間基地が移転されると、そこにカジノを含むIR施設を作ろうという目論見があったようだ。IRの収益の70%以上はカジノだが、会議場やホテル、劇場が建てられる。その運営が吉本に?
    なぜ吉本はこんなに安倍官邸と維新の会に肩入れするのか。それはカジノと万博。吉本にとっても電通にとっても、オリンピックと万博は金のなる木。そして夢洲にカジノが来れば、半永久的に劇場の売上収入が保証される。カジノのCMに芸人さんも大挙して出場するだろう。
    さらに問題なのは憲法改悪。安倍首相が改憲発議を行えば、60日から180日以内に国民投票だ。官邸側は人気芸人を使って改憲キャンペーン。吉本側は自民党の金(原資は政党助成金)で作ったCMで大儲け。今秋実施される大阪都構想の是非を問う住民投票にも芸人たちが駆り出され、テレビで「いっぺんやってみたらええねん」「大阪を元気にするのは都構想や」などとヨイショ発言を繰り返すだろう。
    安倍官邸、維新の会、吉本興業は憲法改悪、カジノ、都構想でつながっている。この3者は「今だけ、金だけ、自分だけ」の自己中心型トリオだ。騙されないように。

  • 16面~17面 玉本英子さん講演「イラクとシリアの現状」 ISは終わっていない(栗原佳子)

    今年最初のうずみ火講座が1月10日、大阪市此花区のクレオ大阪西で開かれ、アジアプレスの玉本英子さんが「取材映像から見るイラクとシリアの現状」と題して講演した。玉本さんは25年にわたって中東を取材。現地で撮影した最新映像と写真を紹介しながら、大国のエゴに翻弄される現地の人々の生活を報告した。

    昨年10月7日、アメリカのトランプ大統領がツイッターに「シリアのバカげた戦争から手を引くべきだ」とつぶやいた。そのとき玉本さんはシリア北部のカミシュリに滞在中だった。トルコ国境の、クルド人の多く住む町だ。2日後、カミシュリに砲弾がさく裂、住民の死者も出た。トルコ軍が「平和の泉作戦」と称し、クルド勢力地域への越境攻撃を開始したのだった。シリア北東部を実効統治するクルド・人民防衛隊(YPG)主導のシリア民主軍(SDF)勢力を排除することが狙い。トルコのエルドアン大統領はシリア・クルド勢力を「テロ組織」とみなし、国境を挟んで対峙してきたのだという。
    しかしSDFは過激派組織イスラム国(IS)と最前線で戦い、米軍も武器供与などで連携した。トルコとの国境地帯では米軍がSDFとトルコとの間に入る形で衝突を抑制していたという。双方は国境に沿った安全地帯構築で合意し、米軍・トルコ軍の合同パトロールも始まったばかりだった。
    「トランプ大統領のツイッター翌日に米軍の監視ポイントがあった建物に行くと、もぬけの殻だった。発電機や食糧もそのまま。慌てて引き上げたのだろう。翌日、トルコの軍事侵攻がはじまった。なぜ撤退かといえばトランプ大統領が大統領選を優位に進めたいから。しかし、それで現地の人たちはどうなったのか。300人以上の民間人が命が落とし、20万人以上が家を失った」
    2011年に始まったシリア内戦は、アサド政権と反体制派が対峙、そこにISが台頭し、三つ巴の戦いになった。17年10月にはクルド勢力の民兵組織YPGが主体のSDFが、ISが首都と称してきた北部ラッカを奪還した。その戦いのなかでも民間人が多数巻き込まれたという。
    「米軍はラッカをピンポイント爆撃をしたというが、1000人以上の一般人が空爆などで殺された。ラッカでは、『周りにIS関係者が住んでいないのにやられた』という声をたくさん聞いた」
    IS掃討作戦は終了した。だが、ISは終わったのか。…  

  • 18面 伊方原発 差し止め仮処分 活断層の可能性指摘(矢野宏)

    広島高裁は1月17日、愛媛県伊方町の四国電力伊方原発3号機の運転を差し止める仮処分を決定。山口県内の住民の申し立てを却下して運転を認めた山口地裁岩国支部の決定を取り消した。大阪府熊取町の京都大複合原子力科学研究所(旧・京都大原子炉実験所)で反原発を訴えてきた研究者グループ「熊取6人組」唯一の現職、今中哲二さんは「予想外だったが、それでも画期的な決定だ」と評価する。

    伊方3号機は現在、定期検査で停止中。四電は4月からの運転再開を計画していたが、仮処分は即時効力が生じるため、山口地裁岩国支部で係争中の運転差し止め訴訟の判決が出るまで再稼働できない。
    今中さんは、1973年に始まった日本初の原発裁判「伊方原発の設計許可取り消し訴訟」に先輩研究者5人とかかわり、専門知識を生かして原告の住民を支援し、法廷でも証言した。裁判では原発事故の危険性を立証したが、最高裁まで19年間争って敗訴が確定した。以来、「原発裁判に期待しない」として距離を置いてきた今中さんだが、今回の決定については「福島原発事故以降、時代の流れが少し変わったのかもしれない」と話す。
    今回の決定について、ポイントは二つだと指摘する。
    一つは、伊方原発の近くに活断層が存在するかどうか。
    高裁は、中央構造線に関連する活断層が存在する可能性を否定できないと判断。「活断層は存在しない」と結論付けた四電の調査は不十分だと指摘し、それを認めた原子力規制委員会の安全審査についても「過誤か欠落があった」と批判した。
    今中さんは…   

  • 19面 経済ニュースの裏側「基礎研究の危機」(羽世田鉱四郎)

    昨年、吉野彰さんがノーベル賞を受賞し、2001年~19年の自然科学部門(物理、医学、生化学)では18名を数え、米国の72人に次いで2位となりました。ただ受賞者は、異口同音に、日本の基礎研究の危機を切実に訴えています。なぜでしょうか。その背景を探ってみます。
    19年度の国家予算は101兆4564億円。国債の償還利払いを除いた政策経費は77兆9483億円。うち文部科学省には配分され配分され、「私学助成金を除いた大学への教育研究予算は18年度が1兆5300億円」(19年10月28日付朝日新聞)です。04年から毎年1%ずつ削減されています。
    新自由主義を真似た「小泉・竹中改革」の流れで、企業経営の手法を科学技術の分野に持ち込みました。しかも「選択と集中」と称し、「競争的資金」の割合を増やして。文系は軽視です。その典型は04年の国立大学の法人化です。骨子は、運営交付金(教員の人件費、研究費)を減らし、国の意向に沿った研究開発を重視し、細かな数値目標を設定して、研究成果の報告を執拗に求めています。その結果、大学は予算難となり、教員の正規ポストを抑制し、高齢化が進みました。大学教員は、研究室の維持に四苦八苦、予算獲得に血眼となり、研究時間も減少しました。短期的な成果を求められ、いきおい実用的な研究にシフトしがちで、息の長い基礎的な研究テーマは敬遠されています。研究資金の不足や支援不足(事務・技術)も大きな課題。また「競争的資金」は期間限定であり、非常勤や任期付き研究者が増加し、ポスドク(博士号は得たけれど就職難)に象徴されるように、人材も育っていません。また、学術雑誌への掲載論文数が大学の世界ランキングの指標の一つとなり、科学研究助成金(科研費)や運営交付金の配布基準にされるため、論文数の水増しや、粗雑な論文が増えるなどの弊害も目立ちます。近い将来、科学技術の分野では、ノーベル賞の受賞者は急減するだろうと危惧されています。…

  • 20面 会えてよかった 屋宜光徳さん「米軍統治下、新聞記者に」(上田康平)

    私は屋宜さんと白梅協力会で出会った。協力会は白梅同窓会の慰霊祭や戦争体験証言活動に協力しようと2009年に設立され、屋宜さんは近年、白梅看護隊関係資料のデータベース化などに取り組んでおられた。その協力会に私が18年から参加、出会ったのである。
    しばらくして屋宜さんが沖縄タイムスにおられたことがわかったので、「筑紫哲也さん、朝日新聞の沖縄特派員時代、(沖縄タイムスの)先輩記者に沖縄戦体験を聞いたと話して
    おられましたが…」とお聞きすると、屋宜さんは「筑紫さんに戦争体験、話しましたよ」
    実は私、現役の頃、仕事で仲間と筑紫哲也さんを2回、大阪での講演会にお招きしている。「沖縄多事争論」と題した講演のとき、沖縄特派員をしたことで新聞記者を続けようと気持ちが固まったこと、先輩記者から沖縄戦の体験を話してもらった ことなどを話された。
    それでひょっとした らと思ったら、その先
    輩記者が屋宜さんだっ たのである。
    そんなわけで、その後、たびたびお話しす
    るようになって、屋宜さんの戦前、戦中、戦
    後をもっとお聞きしたいと思うようになった。それで19年6月23日の慰霊祭の後、取材を依頼。
    戦前、なぜ軍国少年になったのかと戦争体験。
    戦後、どのように価値観を転換し、新聞記者になったのか。…

  • 21面 落語でラララ「上方の立川流」(さとう裕)

    落語で立川流と言えば談志一門。立川志らくは今や朝のテレビ番組の顔だし、兄弟子の志の輔はNHKの「ためしてガッテン」などでおなじみ。『赤めだか』で一躍名を上げた談春も立川流。今や東京の落語界では一大勢力だ。で、立川流と聞けば東京の亭号と思うだろう。が、あまり知られていないが、上方にも立川の亭号があったのだ。
    『古今東西落語家事典』に、立川三光の名前が出てくる。ただ、この人、本名未詳。生没年も未詳とあり、よく分からない。だが、前著に「天保11年(1840)の『浪花諸芸玉づくし』に、〈咄・即席の三光〉とあり、即席頓智の才に秀でた咄家であったかと思われる。嘉永6年(1853)の見立番付には、三光のほか、光柳・一・木寿・歌柳・南光と名乗る咄家が認められ、一派を形成していたこともわかる」と出てくる。
    また、前著にも出てくるが、月亭春松著の『落語系図』には、「(上方落語の)立川の先祖は俳優立川伴五郎と云ふ歌舞伎役者なり、其子に三五郎と云ふひとあり、立川家の家元で芝居噺の上手の家元なり、四ツ谷怪談、かさね怪談、幽霊物の元祖なり、其頃大井に(原文のママ)流行し、其後道具入にて角芝居、中芝居にて興行なす」と出てくるのだが、『落語家事典』によると、『落語系図』の説明は、「歌舞伎資料の面からみると非常に疑問点が多く、この説はにわかには信じられない」と書かれている。それはともかく、幕末、上方落語界で立川流は大いに隆盛を誇ったのは間違いない。だが、その上方立川の一派も明治10年代に消えてしまったと言われる。
    ちなみに…

  • 22面 100年の歌びと「LOVE WARS」(三谷俊之)

    今夜 とび出すのよ/光るテレビジョンの窓を開けて暗い部屋から/早く 涙ふいて

    「ユーミンの歌とは女の業(ごう)の肯定である」と言ったのはエッセイストの酒井順子だ。これは故・立川談志の「落語とは人間の業の肯定である」という言葉の言い換えだが、彼女の歌の核心をついているように思える。どちらかといえば、私は中島みゆき派でユーミン=松任谷由美のメタリックで平べったい声は苦手だった。のちに『魔女の宅急便』オープニングテーマソングで広く知られた『ルージュの伝言』(1975年)の歌詞を読んで驚いた。当初気がつかなかったが、内実は若い夫婦のけんかで、夫の浮気を知った主人公が、夫のママに駆け込み訴え、電話で叱ってもらうという戦略的女性の歌だった。普通なら修羅場になるような状況に、弾んだような明るいメロディーを乗せる。歌われていることと、見る目の距離感。その独特のシニシズム(さめた目)。失恋の歌でも中島はウェットに泣くがユーミンは違う。哲学者の竹田青嗣は「チェーホフのように微苦笑しながら眺めている」と評した。
    翌76年の『中央フリーウェイ』は疾走感にあふれている。調布基地や競馬場、ビール工場などの殺風景な風景が、まるでイリュージョンのように美しく変貌し、その中を「流星になったみたい」に疾走していく。70年の大阪万博を最後にして、60年代高度経済成長の時代は終わり、ポスト・モダンな時代が始まろうとしていた。新しい都市的エロスに満ちた世界。そこにユーミンの歌はよく似合っていた。 
    『LOVE WARS』は…

  • 23面 坂崎優子がつぶやく「『少し不便』でリスク管理」

    以前「キャッシュレスが進む理由」について書きました。読者の方から「その裏に潜む危険性を考えると使う気になれない」といったご意見をいただきました。キャッシュレスはもちろん使わないのも一つの選択です。また使う人も使わない人も共存できる社会であるべきだとも思います。
    ただ安くサービスを提供できるなら企業はそちらにシフトしていきますし、世界はその方向で動いています。使わないとしても、アンテナを張っておくことは大事だと思います。ある日突然生活が不便になって困る、ということも起こりうるからです。
    新しく始まったスマホ決済で注意すべきは、不正利用と個人情報です。ただしこの二つは分けて考える必要があります。
    今回は不正利用についてです。スマホで支払いができるようになると勝手に使われたりしないか心配になります。セブンペイや初期のペイペイでもそうした問題が起こったため、不信感を抱く人は多いと思いますが、現在はシステムも強化されています。ただしトラブル時の補償は各社で分かれるので、利用する際は規約をチェックする必要があります。
    またスマホの紛失にも…

  • 24面~27面 読者からのお手紙&メール(文責・矢野宏)

    チラシに啓発され
    望月さんの講演に

    大阪市 樽井政恵
    毎月の「新聞うずみ火」を興味深く拝読するとともに、MBSラジオ「ニュースなラヂオ」も拝聴しています。
    新聞に同封されたチラシに啓発されて、東京新聞記者の望月衣塑子さんの講演会へ行ってきました。望月さんは以前に比べて「望月衣塑子」というキャラクターを意識して演じておられるように思いました。が、伊藤詩織さんをめぐる事件についての話を聞き、認識を新たにすることができました。特に印象に残ったのは次の3点です。
    伊藤さんが被害届を出したとき、高輪警察署は「TBSの山口敬之氏はワシントン支局長だから逮捕なんか無理」と言って受理しなかったこと。山口氏が左遷された途端、「逮捕できるかもしれません」と連絡してきたこと。逮捕中止を指示した当時の警視庁刑事部長が「ジャーナリストを逮捕すれば記者たちを萎縮させることになるだろ? 俺は表現の自由を守ったんだ」とコメントした、ということです。
    もし、私が同じことをしたら即座に逮捕、起訴され、有罪となるでしょう。何と不思議な警察の論理でしょうか。
    さらに、桜を見る会を追及している最中でさえ、毎日新聞以外のマスコミ関係者は、安倍首相の飲み会に出席していたと知り、ホントがっかりしました。
    これからも新聞うずみ火とラジオを楽しみにしています。
    (安倍首相と仲のいい山口敬之氏を高輪署員が逮捕する寸前で「待った」をかけたのが、当時の警視庁刑事部長だった中村格氏。かつて菅官房長官の秘書を務め、先日の警察人事で警察庁ナンバー2の次長に栄転した警察官僚。ここでも論功行賞人事が…)

  • 26面 車イスから思う事「『主治医』との別れ」(佐藤京子)

    新しい年になり、成人式も終わると、気になり始める。3月末の人事異動だ。自分は脱サラしたので直接は関係ない。通院先の主治医が異動するかどうかである。総合病院の担当医はほぼ2年に1回、交代する。口の悪い自分は、担当医師を「主治医」とは呼ばない。自分が選んでかかっているわけではないから「担当医」と表現してきた。だが、今回は少し事情が違っていた。
    ここ2、3年、精神的にも体力的にも絶不調だった。そんな時に「担当医」になった医師は、ジョン・レノンを弱々しくしたような風貌で、口調が柔らかい青年であった。「軟弱なジョン・レノン」と命名して本人を苦笑させたこともある。受診を重ねるうちに、疲弊していた自分にとっていつしか「主治医」となっていた。この医師であれば、自分の苦しい時にゴチヤゴチャと指図をせずに待ってくれると感じることができた。
    処方箋も…

  • 28面~29面 年賀状から(文責・矢野宏)

    今年も年賀状をありがとうございます。添えていただいた一筆をご紹介します。

    東大阪市 大矢和枝
    応援団として着々と号を重ねていることをうれしく思います。お身体は大事にしてください。

    大阪市生野区 雨田信幸
    2020年は更に忙しくなること必至。「明るく・楽しく・元気に」をモットーに前を向いていこうと思います。必ず年に1回は、うずみ火講座に行きたいと思っています。

    大阪府寝屋川市 小林佐知子
    毎月の発行、ありがとうございます。ますます自分の住む国は目を覆うばかりのひどさです。でも、希望はあるし、できることから少しずつやっていこうと思います。

    大阪市平野区 菊野健一
    新聞うずみ火のニュースが楽しい記事でいっぱいの一年になりますように努力したいですね。今年も一生懸命に頑張りたいと思います。

    大阪市西成区 川嶋繁夫
    お酒を飲んで頑張りましょうね、反戦・平和!

    岡山県倉敷市 金光泰弘
    平和な社会を作るため、職場で闘っていきます。

    兵庫県西宮市 木村章一
    この12月20日に定年退職しました。これからはPMノウハウを活かし、ナレッジハンターとしてシステムサポートを行ってまいります。

    沖縄県うるま市 久高政治(石川・宮森630会)
    ジェット機墜落事故から60年の節目にあたった昨年は、多くの参加者のもと、盛大に慰霊祭を執り行うことができました。次世代へ平和な沖縄を引き渡すべく引き続き前進していく所存です。

    大阪府高槻市 工藤孝志
    身体に気を付けて、新聞うずみ火を守りましょう。

    島根県出雲市 梶谷和恵
    毎回楽しみに拝読しています。うずみ火の灯を、どうぞ未来まで輝かせてくださいね。

    大阪府高槻市 正路怜子
    昨年の賀状を見ました。「小さな全国紙」は今の時代に大切な新聞ですね。読むものが多過ぎてやめようかなと思ったりしますが、応援します。頑張ってください。

    大阪市北区 定岡由紀子(ソフィオ法律事務所)
    今年もたっぷりとよろしくお願いします。お酒のおいしい1年になりますように。

    熊本県八代市 遠山まつ子
    新聞うずみ火、拝見しています。ご活躍されていること、うれしく夫と話しています。また一度、八代にもお越しください。

    東京都港区 土屋淳子
    例年のごとく、日本は問題が山積みですね。安倍首相の国民をバカにした言動は為政者にあるまじきことで、やがて日本は大きな災害とともに、米国とともに滅びるような予感がします。

    東京都渋谷区 福島尚文
    忘年会でお会いできず、残念でした。皆さまのご活躍がますます日本社会、東アジアで。またの機会にぜひ、語り合いたいです。

    東京都大田区 原田信宏
    昨年末は忘年会で楽しい時間を過ごせてありがたかったです。今後も「知ること」をテーマにいろんな勉強をしていけたらと思います。

    奈良県橿原市 藤井雅樹
    真実を発信し続けて下さい。

  • 30面 うずみ火掲示板(矢野宏)

    寒中お見舞い申し上げます。今年もよろしくお願いします。
    いつも「新聞うずみ火」を応援してくださり、ありがとうございます。毎年、ご継続いただくことが私たちの大きなエネルギーとなっています。 おかげさまで、今年は創刊から15年目の節目の年。大阪忘年会の席でも宣言しましたが、この秋には皆さんと一緒にこの15年を祝いたいと考えています。近いうちに紙面でご案内申し上げますので、ぜひ、ご参加ください。
    さて、ご継続の際、郵便の振込用紙を同封させていただいていますが、振込金額を書き込んで安心されるのか、「おところ」と「おなまえ」を記入する欄にお気づきにならないのか、昨年せっかく振り込んでいただいたのに、どなたかわからない「名無しの権兵衛さん」が2人いらっしゃいます。
    お一人は10月7日に年会費3600円を振り込んでいただいた方で、取扱店は「大阪福島駅前」となっています。もう一人は大晦日の12月31日に同じく3600円を振り込んでいただいています。取扱店は「吹田泉」です。
    振り込んだのに、振込用紙と催促の手紙が同封されていたという方はいらっしゃいませんか。心当たりのある方、または転居された方はお手数ですが、うずみ火事務所までご一報ください。
    また、うずみ火新聞を発送する際の折り込みしチラシにご協力くださり、ありがとうございます。このところ、10種類を超えることもあり、単純計算すると1万4000枚をセットすることになります。そこでお願いですが、発送日の23日よりも3日ほど前には届くようにしていただけると助かります。ご協力、よろしくお願いします。

  • 30面 編集後記(栗原佳子・矢野宏)

    真冬の大阪から空路で2時間。石垣島はサトウキビの刈り入れがはじまり、キビがてんこ盛りになった大型トラックが走り回っていた。だが、島内で目にしたのはそんな牧歌的な積載物ばかりではなかった。昨年3月、陸自ミサイル基地建設のための造成工事がはじまったが、訪れるたびに、工事車両の数が増えていると感じる。集落をあげて建設に反対している農村地帯を土ぼこりを上げて行きかう大型トラック。朝から夕方まで重機がうなる音を聞かされながら、日々、山が切り裂かれていくのを目の当たりにしながら、土と向き合う人たち……。ある農家は予定地と隣り合わせ。今回お邪魔すると、境界線に測量のペンキの跡があった。ここにフェンスが築かれそのすぐ横にミサイル弾薬庫ができる。人の尊厳を切り裂く境界線に見えてしまう。正当な住民投票要求も無視し、せっかく制定した「自治体の憲法」とも呼ばれる自治基本条例を葬り去ろうと策動する動きは、島内だけで成立するものではない。ある人は「自治体の憲法」つぶしを地ならしとして、次の狙いは「憲法」だろうと話していた。(栗)

    年明け早々、海上自衛隊の第1陣が中東派遣へ派遣された。アメリカが呼びかけた「有志連合」に参加するのではなく、日本独自に護衛艦1隻とP3C哨戒機2機派遣するというもの。活動範囲は、ホルムズ海峡やペルシャ湾ではなく、遠く離れたアラビア半島南部のオマーン湾やイエメン沖である。トランプ大統領の機嫌を損ねたくない。かといってイランとの友好関係も壊したくない。両国のはざまに立っての苦肉の策だが、派遣される自衛隊員はたまったものではない。不測の事態に巻き込まれる可能性は極めて大きい。しかも問題は法的根拠だ。これまで自衛隊を海外派遣する場合、特別措置法を国会で審議してきたが、今回は「防衛省設置法」を根拠としている。防衛省の組織の在り方などを定めた法律で、4条にある「調査・研究」に基づいて実施される。防衛相の判断で実施でき、国会承認の必要ない。法の拡大解釈で、ますます海外派遣に道を開くことにならないか。また憲法が骨抜きにされた…。(矢)

  • 31面 うもれ火日誌(矢野宏)

    12月2日(月)
     矢野 夜、MBSラジオ「ニュースなラヂオ」に出演。「不透明さを増す東アジア どうする? 日本と韓国」と題して大阪市立大教授の朴一(パク・イル)さんに話を聞く。
    12月4日(水)
     矢野 午後、ラジオ関西「時間です! 林編集長」にコメンテーターとして出演。
    12月6日(金)
     矢野 朝、滋賀県豊郷町の地域総合センターへ。県人権センター主催の職員研修会で「広報誌作成のための取材方法」について講演。午後は「広報用原稿作成演習」。夜、高速バスで上京。
     高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
     西谷 夜、西成民主診療所で「戦争と報道の現場から」と題して講演。
    12月7日(土)
     矢野、栗原 夕方、新宿2丁目の隨園別館で忘年会。ライターの神田憲行さんら10人が参加。幹事の鷲尾峻一さんの発声で乾杯。二次会から謝花直美さんらが合流。
    12月8日(日)
     矢野 朝、埼玉県東松山市へ。野沢栄一さんの案内で「原爆の図 丸木美術館」などを見学し忘年会。夜、帰阪。
    12月9日(月)
     矢野 夜、MBS「ニュースなラヂオ」に出演。日米貿易協定について「アジア太平洋資料センター」共同代表の内田聖子さんに話を聞く。
     栗原 午後、京都・龍谷大で松島泰勝教授が主催した「前川喜平元文科事務次官と語る会」へ。
    12月10日(火)
     西谷 夜、立命館大で講演「戦争はウソで始まる」
    12月11日(水)
     西谷 昼過ぎ、ラジオ関西「ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!」出演。
    12月12日(木)
     矢野、栗原 夜、フェスティバルホールでスタッフの吉水が所属する「新音フロイデ」による合唱「第九」を聴く。
    12月13日(金)
     矢野 午後、関西電力金品受領問題で、市民ら3272人が大阪地検に告発した報告集会を取材。
     高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    12月14日(土)
     午後、「コリアNGOセンター」代表理事の郭辰雄さんの案内で生野コリアタウンフィールドワーク。夜、淀川区の韓国料理店「セント」で忘年会。
    12月16日(月)
     矢野 夜、MBS「ニュースなラヂオ」。「自衛隊は中東で何をするのか」と題して、東京新聞論説委員の半田滋さんに電話で話を聞く。
    12月17日(火)
     矢野 午前、大阪市立御幸森小学校の6年生に空襲被災者について話す。
    12月20日(金)
     高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    12月21日(土)
     西谷 午後、エルおおさかで「路上のラジオ」主催の「第1回アベ政権打倒講座」。神戸学院大教授の上脇博之さんの講演の後、「自衛隊派遣と戦争法」について話す。
    12月23日(月)
     夕方、新聞うずみ火1月号が届き、発送作業。小泉雄一さん、工藤孝志さん、鈴木祐太さんが助っ人に。矢野はMBS「ニュースなラヂオ」へ。「トランプ大統領弾劾の背景」と題して、ジャーナリストの立岩陽一郎さんに話を聞く。
    12月25日(水)
     午後、椎野昇次さんが缶ビール1ケースを抱えて来社。「矢野さん、還暦祝いや」
     西谷 昼過ぎ、ラジオ関西。今年のニュースを振り返る。
    12月26日(木)
     矢野 昼過ぎ、ラジオ大阪「里見まさとの早起き情報スタジオ」収録(29日放送)。
    12月30日(月)
     矢野 夜、MBS「ニュースなラヂオ 2019年末スペシャル」。時事通信社解説委員の山田恵資さんとこの1年を振り返る。台風19号の被災地から千葉猛アナと福本晋悟アナが、反政府デモが続く香港からは上田崇順アナが報告。亘和佐子記者が「子どもの権利」をテーマに世界各国のラジオ局が制作したキャンペーンスポットを紹介。

  • 32面 うずみ火講座とお花見集い(矢野宏)

    2月の「うずみ火講座」は7日(金)午後6時半から大阪市立クレオ大阪西で開講します。講師は朝日新聞ソウル特派員として日韓対立の最前線で取材した武田肇さん。タイトルは「元ソウル特派員が見た日韓関係の現在地」
    一昨年10月の元徴用工判決がきっかけとなり、日本の韓国への輸出規制強化措置などでこじれた結果、民間レベルでも様々な悪影響が出ています。韓国で何が起きているのか。改善に向けてどうすればいいのか。一緒に考えたいと思います。
    【日時】2月7日(金)午後6時半~8時半
    【会場】大阪市此花区西九条のクレオ大阪西3階の多目的室(環状線、阪神の「西九条駅」から徒歩4分)
    【資料代】読者1000円、一般1200円、学生・障害者700円

    3月の「うずみ火講座」は14日(土)午後2時から大阪市立西区民センターで開講します。
    東京電力福島第一原発事故から9年。大きな課題となっているのが「汚染水」です。くみ上げられた汚染水は専用の設備で放射性物質を取り除く処理が進められていますが、トリチウムという放射性物質は取り除くことができません。敷地内のタンクも満杯近くになってきました。どんな処理方法が考えられるのか。
    講師は京大複合原子力科学研究所(旧・京大原子炉実験所)研究員で「熊取6人組」の一人、今中哲二さんです。
    【日時】3月14日(土)午後2時~4時半
    【会場】大阪市西区北堀江の西区民センター(地下鉄千日前線「西長堀」駅⑦出口から北へ100㍍、鶴見緑地線「西長堀」駅③出口から南へ100㍍)
    【資料代】読者1000円、一般1200円、学生・障害者700円

    お花見集いは4月11日(土)正午から大阪城公園西の丸庭園で行います。お弁当や飲み物は各自でご用意ください。初めて参加される方も大歓迎です。最寄り駅は地下鉄谷町線「谷町4丁目駅」です。入園料は350円。

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