新聞うずみ火 最新号

2019年3月号(NO.173)

  • 1面~5面 「元徴用工」原告女性の訴え 戦後も偏見の苦しみ(矢野宏、栗原佳子)

    日韓対立は改善の兆しが見られない。一昨年10月の元徴用工判決が発端となり、日本政府は輸出管理を強化し優遇対象国から韓国を除外、韓国は日韓軍事情報包括保護協定(Gsomia)の破棄を決定した。失効は回避されたが、韓国内にある日本企業の資産は差し押さえられ、日韓関係は国交正常化以降、最悪ともいわれている。そもそも原告たちは何を訴えてきたのか、彼らを支える市民運動家はどんな解決策を描いているのか。韓国へ行き、話を聞いた。

    ソウル中心部から地下鉄で40分。漢江を越えた終点の馬川(マチョン)駅近くに、機械メーカー「不二越」に損害賠償を求めた訴訟の原告、金正珠(キム・ジョンジュ)さん(88)が暮らすアパートがある。
    迎え入れてくれた金さんは身長145㌢と小柄だ。部屋は片付けられ、居間の壁にキリストの肖像画がある。食卓の上には山のように薬袋があった。
    「私はまもなく90歳。残っている時間はもうない。今日死ぬか、明日死ぬか」
    神経症を患っているといい、手渡した名刺を持つ手が小刻みに震えている。
    元徴用工判決をめぐる安倍政権の主張に対する感想を求めると、金さんの口調が激しくなった。
    「安倍(首相)に話がしたい。解決済みだというが、私たちが強制労働を体験したことを知っているのか」「私は不二越で働かされ、賃金も受け取っていない。補償を求めているのは不二越。なぜ、口をはさむのか」
    立命館大大学院に留学中の金眞煕(キム・ジニ)さん(25)が同時通訳をしてくれているが、あふれんばかりの怒りを受け止めかねている。

  • 6面~7面 元ソウル特派員が見た日韓関係 救済されない元徴用工(矢野宏)

    2月の「うずみ火講座」が7日、大阪市此花区のクレオ大阪西で開講し、朝日新聞記者の武田肇さんが「元ソウル特派員が見た日韓関係の現在地」と題して講演した。武田さんは2017年3月下旬から今年1月9日までの2年9カ月、朝日新聞ソウル支局に勤務した。激動の朝鮮半島情勢、国交正常化以来最悪と言われる日韓関係について語った。

    武田さんは「特派員には、任地の政府や国民が何を考えているのか、なぜそう考えるのか、相手を知る姿勢が何より求められます。日本と任地国との関係が悪い場合は、なおのこと。相手の姿を客観的に知り、議論のたたき台として伝えることが、回りまわって日本の読者の利益になると考えています」と切り出し、特派員時代を写真とともに振り返った。
    武田さんが最初に書いた記事は「朴槿恵(パク・クネ)大統領逮捕でした」。のべ1600万人もの市民が退陣を求めた「ロウソク革命」を背景に、朴前大統領は韓国史上初めて弾劾・罷免され、17年3月31日に財閥のサムスンからの巨額収賄容疑などで逮捕された。
    「朴前大統領は2審で懲役25年・罰金200億ウォンの実刑判決を言い渡されましたが、大法院がその判決を破棄。『賄賂の認定の幅が狭すぎる』として高裁に審理を差し戻したため、もっと重い刑が下されると思います」
    大統領選が始まり、進歩系の元弁護士、文在寅(ムン・ジェイン)氏が同年5月10日、大統領に就任。「就任1カ月後の支持率は78・9%あり、韓国の多くの人たちが新しい政治が始まると期待していました」

  • 8面~9面 奄美大島・陸自配備間もなく1年 生活圏に入り込む「基地」(栗原佳子)

    豊かな自然に恵まれ、「東洋のガラパゴス」とも称される鹿児島県の奄美大島。世界自然遺産候補地のこの島に昨年3月26日、陸上自衛隊の基地が開設された。奄美市名瀬大熊の奄美駐屯地と、瀬戸内町節子の瀬戸内分屯地の2カ所である。それからまもなく1年。島にいま何が起きているのか。

    広々とした敷地に真新しい建物が立ち並ぶ。外壁は独特の緑色。陸上自衛隊奄美駐屯地だ。2月半ばの午後、市民団体「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」代表の城村典文さんらの申し入れ行動に同行した。駐屯地の警備部隊が実施した行軍訓練への抗議だった。
    「1、今後、徒歩訓練は駐屯地内で行うこと 2、世界自然遺産候補地で希少生物の棲息する森を軍靴で踏み荒らさないこと」。正門前で城村さんが要望書を読み上げる。迷彩服の隊員が、神妙な顔つきで書面を受け取った。
    問題の「行軍」は1月24日、金曜日の午前中に行われた。奄美市に隣接する龍郷町の集落を起点に海沿いの県道からから山間の林道を経て駐屯地に戻るという30㌔、約10時間のルート。迷彩服にヘルメット、背のう。そして弾の入っていない小銃を手に、100人の隊員が隊列を組んで行軍した。有事に備え、道路や地形を把握することが目的で、同部隊が敷地外で訓練をするのは初めてだった。
    奄美大島は駐屯地開設前から毎年、陸自西部方面隊の実動演習「鎮西」の舞台になってきた。14年には大島海峡に浮かぶ江仁屋離島で離島奪還を想定した陸海空の統合訓練が行われた。一昨年の「鎮西」では、観光地の真横でミサイル部隊が物々しい展開訓練。駐屯が始まれば、様々な訓練が生活圏を脅かすのは必至と懸念されていた。


  • 10面~11面 有本嘉代子さん死去 拉致実行犯に見せた慈悲(粟野仁雄)

    北朝鮮に拉致された有本恵子さん(60)の母、嘉代子さんが2月3日、神戸市の病院で亡くなった。享年94。愛娘との再会は果たせなかった。

    恵子さんの拉致事件は、新潟県の海岸で暴力的に拉致された横田めぐみさんや蓮池薫・祐木子夫妻などと違う。推理小説をも思わせる欧州を舞台にした誘拐だった。英国へ1年間留学した恵子さんは1983年6月、欧州に残りたくて仕事を得ようと画策する。そんな折、八尾恵が接触してきた。八尾は70年に赤軍派が起こした「よど号事件」で北朝鮮に残ったハイジャック犯の妻だった。
    「市場リサーチの仕事がある。いろんな外国に行けるよ」と恵子さんに持ち掛けた。ホームステイ先の英国人夫妻は「そんなうまい話があるはずない」と忠告したが、彼女を信用した恵子さんは帰国便をキャンセルしてしまう。恵子さんをコペンハーゲン空港に送った八尾は姿を消し、恵子さんの消息は絶えた。
    両親には帰国便を知らせてきたが、8月の予定だった伊丹空港への帰国便に乗っていなかった。不安になる中「仕事が見つかる。帰国遅れる。恵子」の電報が届く。10月には日付もない手紙がデンマークから送られてきた。これが最後の音信だった。
    夫婦は懸命に消息を求めたが外務省は「旅券が切れても帰らない若者は多いですよ。向こうで好きな男でもできたのでしょう」。警察では身体の特徴を詳しく問われた。「海外での死亡者確認とわかり建物を飛び出しました」と嘉代子さんは振り返った。その頃「うちの娘も留学しましたが、ちゃんと帰ってきましたよ。どうせ遊んでるんでしょ」などと無神経な電話までかかってきた。
    88年9月、札幌市の石岡という女性から手紙が届く。「お宅のお嬢さんと息子がピョンヤンで暮らしているらしい」との内容だ。欧州で不明になった石岡亨さんと結婚して平壌で暮らしているというのだ。北朝鮮の監視下、密かにポーランド人に母への手紙を託したようだ。
    「えっ、北朝鮮」。困惑しながらも有本夫婦は必死に尋ね回る。しかし、外務省は「外交関係がないからどうしようもない」。政治家も取り合ってくれない。「手紙を公表しないよう求めてくる社会党系などの関係者もいました」と嘉代子さん。
    だが、朝日放送の石高健次記者、産経新聞の阿部雅美記者らの報道で拉致が浮かび上がる。97年に横田滋・早紀江夫妻ら拉致被害の7家族で「家族会」が結成される。有本夫妻は署名簿をぶら下げ、街頭に立った。「週刊文春」は何度も欧州に足を運び、恵子さん拉致事件のルポを連載した。

  • 12面~13面 ヤマケンのどないなっとんねん 新型肺炎こじつけ改憲論

    新型コロナウイルス肺炎に対する日本政府の初動対応は完全に失敗した。1月初頭に中国で感染が報道され、ただごとではないことが読み取れたにもかかわらず、安倍首相ら政権中枢は正月気分のまま対岸の火事と見て、対応しようとしなかったからである。
    感染者が日本国内で初めて確認されたのは1月15日であったが、武漢滞在歴のある神奈川県在住の中国人男性だったこともあってか、安倍首相はその夜、麻布十番の日本料理店「幸村」で俳優の奥田瑛二、中井貴一氏らと会食し、翌17日の夜も、平河町の日本料理店「下関春帆楼東京店」でジャーナリストの櫻井よしこ氏らと会食していた。
    20日には通常国会が始まり、中国での感染は日を追うにつれて増え、何人もの死者が出ていることが伝わって、ようやく21日に新型コロナウイルス関連感染症対策関係閣僚会議を開催したものの、緊迫感はなく、23日夜はホテルオークラ内の鉄板焼き店「さざんか」で、自民党二階幹事長、森山国対委員長、稲田朋美幹事長代行らと会食していた。
    この日、中国政府は武漢封鎖を始め、翌24日から始まる春節(旧正月)の旅行を禁止する措置を取り、日本ではホテルなどのキャンセルが相次いで大騒動になっていたのだから、もっと緊張感を持っていいはずであったが、24日に関係閣僚会議を開催したものの、この夜も銀座の日本料理店「新ばし松山」で橋本五輪担当相、世耕自民党参院幹事長らと会食していた。

  • 14面~15面 ゴジラと憲法 政治が主役シンゴジラ(高橋宏)

    前回、1984年に公開された第16作『ゴジラ』で、総理の三田村清輝が主役とも言える重要な役割を演じたことに触れた。実は、昭和・平成・ミレニアムと続いたゴジラ映画シリーズにおいて、しばしば政治家が登場したものの、主役級の役割を演じることはほとんどなかった。しかし、2016年に公開された『シン・ゴジラ』は、内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)が主役で、登場人物のほとんどが政治家、官僚、そして自衛隊となっているのだ。
    『シン・ゴジラ』のキャッチコピーは「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」で、文字通り架空の怪獣であるゴジラ以外は、組織や兵器、国際関係など全て実在のもので構成されている。ゴジラとの闘いで自衛隊のリアルな活動が中心に描かれているため、自衛隊礼賛ではないかとの批判もあった。実際に、映画公開時に自衛隊員募集のポスターにゴジラが使われていた。
    製作にあたっての取材協力には、自衛隊はもちろん、加藤健二郎、青木理、石井暁らジャーナリスト、小池百合子、枝野幸男、上野賢一郎という現職の政治家も名前を連ねている。したがって、ゴジラ出現の危機に際した政府対応や官僚の動き、自衛隊の作戦行動などは、日本の現実を忠実に再現していると言える。特に危機管理という点では、自衛隊の運用をはじめとして、仮にゴジラが出現したとしたら、このような対応になるであろうというシミュレーションにもなっていて興味深い。

  • 16面 検事長の定年延長問題の背景「検察人事に禁じ手」(矢野宏)

    黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長を決めた閣議決定に対し、疑念が広がっている。不可解な検察人事はなぜ行われたのか、背景には何があるのか。時事通信解説委員の山田恵資さんは「官邸、特に菅官房長官の意向による法務官僚人事への介入」と指摘する。

    検察官は法律に違反した犯罪や事件を調べ、容疑者を裁判にかけるかどうか判断する「法の番人」。独立性を保たねばならないため一般の国家公務員より手厚い身分保障が与えられ、定年も検察庁法で「検事総長は年齢が65年、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する」と定められている。
    黒川氏は誕生日前日の2月7日に退官予定だったが、安倍政権は1月31日、定年延長の規定がある国家公務員法に基づき、半年延長を閣議決定した。黒川氏の任期は8月7日までとなる。
    1981年の国会で定年制を盛り込んだ国家公務員改正案が審議された際、人事院は「検察官に今回の定年制は適用されない」と答弁。検事長の定年延長は前例がない。 
    今国会で「恣意的な人事介入だ」という野党の追及に対し、安倍首相は13日の衆院本会議で「規定が適用されると解釈することとした」と答弁。内閣の一存で立法時の解釈を変更できると明言したのだ。
    定年延長の背景について、山田さんは「稲田伸夫検事総長の後任は黒川氏ではなく、7月30日で63歳になる同期で名古屋高検の林真琴検事長を就任させる案が有力でしたが、官邸サイドが黒川氏を次期検事総長に就任させる布石を打った。稲田検事総長は8月、慣例に従って2年の任期で退任すれば、黒川氏が後任に就く可能性が高い」と説明する。
    黒川氏は法務省の官房長や事務次官を務め、安倍政権に近いと言われている。
    「黒川氏は清濁あわせのむタイプです。官房長時代から国会議員の根回しに奔走し、菅官房長官とのパイプも太くなった。一方で林氏は対照的な質実剛健タイプで検察のエースと目された人です」

  • 17面 プリズンサークル坂上監督に聞く「暴力の連鎖止めるため」(矢野宏)

    取材許可まで6年、撮影2年ーー。島根県にある刑務所に初めてカメラが入り、対話を重ねて罪と向き合う更生プログラムに取り組む受刑者たちの姿を追ったドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」が注目を集めている。どんなプログラムなのか、罪を犯す背景には何があるのか、監督の坂上香さんに映画に込めた思いを聞いた。

  • 18面 安保法違憲訴訟大阪 原告敗訴、憲法判断避ける(矢野宏)

    「司法は憲法擁護義務を果たせ」と書かれたプラカードを掲げ、大阪地裁前で抗議の声が響いた。「不当判決を許さないぞ」「戦争法は憲法違反、無効だ」ーー。集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法違反だとして大阪在住の戦争体験者ら992人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(三輪方大裁判長)は1月28日、請求を退けた。

    大阪地裁に提起された主な裁判は二つ。安保保障関連法に基づく自衛隊への出動命令などを差し止める行政訴訟と、「戦争ができる法を施行したことで国民が平和に生きる権利(平和的生存権)や人格権が侵害されて精神的苦痛を受けた」として1人当たり1万円の慰謝料を求めた国家賠償訴訟。
    午後3時、2201号法廷は満席。三輪裁判長は自衛隊の出動差し止めの訴えに対し、「自衛隊派遣を差し止めるような事態が起きていない中での請求は、内容を判断するまでもない。行政訴訟の対象となる『公権力の行使』に当たらない」などとして不適法と判断、却下した。
    平和的生存権の侵害について、三輪裁判長は「平和とは抽象的な概念で、個人の思想や信条で多様な捉え方が可能」と指摘。「平和的生存権は国民に保障された具体的な権利とはいえない」などと切り捨てた。
    また、人格権の侵害に対しては、原告側に「不安と憂慮があるのは認めるが」と配慮
    を示しながらも、「(安保保障関連法が施行されて)4年たっても武力攻撃の危険性はない。不安や苦痛については具体的な侵害ではなく、受忍限度の範囲内のものであり、法律上保護されるにはいたらない」などと述べ、国家賠償請求を棄却した。

  • 19面 読者近況(矢野宏)

    梶谷和恵さん初詩集

    【島根】出雲市の梶谷和恵さんが初の詩集『朝やけ』を刊行した。小学生の頃から書きためてきた37篇を収録。「これまで、たくさんの人との出会いの中で完成させることができました。感謝の思いでいっぱいです」と話す。
    詩集は四つの章で構成され、3章の「車窓の夕暮れ」では家族を描いている。ほのぼのとした詩が多い中で、「ほんとうのこと」は「私のおじいちゃんは人を殺しました」という衝撃的な一文で始まる。「長い、固い、重い銃を人に向けて引き金をひきました。いくつかの命の最後を、おじいちゃんが 決めました。……好きだから。よけい怖いです。戦争をした人がもっといやな人なら、良かった」
    大好きな祖父を殺人者にした国家の戦争犯罪の恐ろしさを静かな怒りとともに紹介している。

  • 20面 経済ニュースの裏側「アメリカの財政」(羽世田鉱四郎)

    「米主導の国際秩序 自ら破壊/同盟国へ、カネ、カネ、カネ」。1月22日付の朝日新聞の見出しです。米国の「双子の赤字」が背景にあると推察されるでしょう。双子の赤字とは、財政赤字と貿易赤字のこと。では、現在の水準と、今後の動向や構造的な要因を探ってみます。

    2019会計年度(18年10月~19年9月)は9840億㌦の赤字(約107兆円。1㌦108円換算)と7年ぶりの悪化。歳出は、国防費の増大などで8%増。財政赤字は前年比26%増です。歳入は低迷し、半分を占める個人所得税は約2%増と、消費の低迷を物語っています。
    もう一つの大きな要因は大型減税。17年末に、向こう10年間で1・5兆㌦(162兆円)を決定。経済界に配慮し、連邦法人税率は35%から21%とし、実効税率が27・98%(地方法人税率等を含め)になりました。減税の幅は、対GDP(国内総生産)比で1・18。レーガン時代の1・91に次ぐ大幅水準で、18年度は1357億㌦(14兆6千億円)、19年度は2800億㌦(30兆円)となり、その結果、20年度の財政赤字はさらに膨らみ、「赤字1兆㌦」が見込まれています。CBO(米議会予算局)の予想では、20年度から1兆㌦の赤字が定着し、28年度には5割増しの1兆4787億㌦(160兆円)に拡大すると見込んでいます。

  • 21面 会えてよかった 屋宜光徳さん「戦争の時代に育つ」(上田康平)

    屋宜さんは久米三十六姓の中の鄭
    氏の末裔。三十六姓は、13922年、
    明国の洪武帝から琉球王国に下賜さ
    れた職能集団で、交易や通訳、王国
    の歴史の編集などを指導した。
    久米出身で初の三仕官になった謝
    名親方(じゃなうぇーかた)は16年、薩摩の琉球併合に反対して今年は子年。ネズミの出てくる噺をと探していたら、なんとネコの噺の多いこと。それでも幾つかあるネズミの噺の中から、ずばり「ねずみ」というお噺を。

    左甚五郎が奥州を旅していると、小さな子供がうちに泊まってくれと袖を引く。ちっぽけな宿屋で、甚五郎から預かった20文で客用の布団を借りてくるという貧乏ぶり。聞くと、元は向かいの虎屋という大きな旅館の主だった父親が腰が抜けて動けなくなったのをいいことに、番頭に乗っ取られたのだと。親子は生駒屋の世話になっていたが、心苦しいので生駒屋の物置を借りて、鼠屋という宿屋を始めた。甚五郎は一匹のネズミを彫り、盥に入れ、上から竹網をかぶせ、福鼠と名付け、「このネズミをご覧になった方は鼠屋にお泊りのほどを」と書き添えた。ネズミが動くと大評判になり、鼠屋は大繁盛。…処刑された人である。
    久米村(くにんだ)、今の那覇市
    久米から読谷に来たのは祖父の代で、
    明治政府が武力で琉球を併合した琉
    球処分、廃藩置県が行われたとき。
    開墾すれば自分の土地になるとの
    ことでやって来た。以来、農業に従
    事。その土地は読谷の親志。国道58
    号線の東側で現在も米軍用地に接収
    されていて、入ることはできない。
     屋宜さんが生まれたのは1932
    年、日本の15年戦争が始まった翌年
    である。
    10歳のとき、父が大阪での出稼ぎ
    から帰ってくるまで、「祖父から帝
    王学を受けた」とのこと。久米三十
    六姓の末裔だからと思
    い、「三線、空手も」
    とお聞きするとうなず
    かれた。12歳まで親志
    で育ち、読谷小学校に
    6年まで通った。
     読谷飛行場の
    滑走路づくりに
    41年に太平洋戦争が
    始まり、43年、小学校
    5年のとき、屋宜さん
    も読谷飛行場の滑走路づくりに動員
    された。石のローラーを3人で引っ
    ぱる作業だった。

  • 22面 落語でラララ「桂福車」(さとう裕)

    今年は子年。ネズミの出てくる噺をと探していたら、なんとネコの噺の多いこと。それでも幾つかあるネズミの噺の中から、ずばり「ねずみ」というお噺を。
    左甚五郎が奥州を旅していると、小さな子供がうちに泊まってくれと袖を引く。ちっぽけな宿屋で、甚五郎から預かった20文で客用の布団を借りてくるという貧乏ぶり。聞くと、元は向かいの虎屋という大きな旅館の主だった父親が腰が抜けて動けなくなったのをいいことに、番頭に乗っ取られたのだと。親子は生駒屋の世話になっていたが、心苦しいので生駒屋の物置を借りて、鼠屋という宿屋を始めた。甚五郎は一匹のネズミを彫り、盥に入れ、上から竹網をかぶせ、福鼠と名付け、「このネズミをご覧になった方は鼠屋にお泊りのほどを」と書き添えた。ネズミが動くと大評判になり、鼠屋は大繁盛。裏の空き地に建て増しをして大きな宿屋に。一方、虎屋は乗っ取り話が広まって閑古鳥。困った虎屋は大きなトラを彫ってもらい、ネズミを見下ろす屋根に上げた。と、ネズミはぴたりと動かなくなった。
    鼠屋の主人は立腹して、「チクショウ!」と言った途端に腰が立った。そこで、甚五郎に「あたしの腰が立ちました。ネズミの腰が抜けました」と手紙を書いた。 心配した甚五郎がやって来て、ネズミに「おれはお前を彫る時、魂を打ち込んで彫り上げたつもりだが、…

  • 23面 100年の歌びと「真夏の果実」(三谷俊之)

    マイナス100度の太陽みたいに/身体を湿らす恋をして

    桑田佳祐のサザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』(1978年)でデビュー以来40年を超えて発してきたおびただしい楽曲は、私たちの耳朶深くに残る。桑田が偏愛する戦後歌謡から洋楽ナンバーまで。あるいはパロディめいた曲から、オリジナルの名曲まで幅広い多様な広がりを持っている。サザンのことを「日本に初めて現れたポップバンドだと思う」と評したのは村上龍だった。彼が定義するポップとはなにか?
    「そもそも、強くてきれいで金持のアメリカの大衆が求め、作り出したものだ。移民たちがヨーロッパの伝統芸術に反逆して、作り出したものだ。ジャズ、ブロードウェイミュージカル、ポップアート、ロックンロール、そしてハリウッドの映画。僕は、ルイ・アームストロングから『スター・ウォーズ』まで、アンディ・ウォーホルを含めて、みんなポップスと呼びたい」(『無敵のサザンオールスターズ』より)。
    どうして今まで日本にポップスがなかったのか?村上龍がいう。「貧乏だったからだ。あしたの米がない、ひえを食いつくした。娘を身売りしなければ……という百姓は、『ラブ・ミー・テンダー』や『ア・ディ・イン・ザ・ライフ』を絶対に聞けないし、聞こうとしないだろう(略)ポップスは、人間の苦悩とか思想よりも、つまり『生きる目的は?』とか『私は誰?ここはどこ?』よりも、大切な感覚について表現されるものだ。だからポップスは強い。ポップスは売れる。すべての表現はポップスとなっていくだろう」(同上)
    サザンに関して語りたいことは多いが、…

  • 24面 坂崎優子がつぶやく「ご存じですか「信用スコア」

    大学でネット分野の講義を担当して6年になります。今年度は日本でも動き出した信用スコアを取り上げました。最も影響を受ける若い世代にこそ、この事業について知り、考えてほしかったのです。
    信用スコアとは個人のデータをスコア化し、点数に合った特典を提供するものです。米国の金融スコアから始まり、中国では「ジーマ信用」など、スマホアプリの利用データを使った信用スコアが広まっています。
    米国で有名なのが「FICOスコア」です。返済履歴や借入残高、クレジットヒストリーの長さなどがスコアに反映されます。日本でもお金を借りる時やクレジットカードを持つ時に審査が行われますが、知らされるのは結果だけで、開示請求をしない限り自分の信用情報はわかりません。
    一方、信用スコアは点数が本人に知らされ、自分にどのくらいの信用度があるかがわかるのが特徴です。「FICOスコア」は各種ローン金利や賃貸契約の入居審査、就職にまで利用されています。
    ただクレジット履歴がない人はスコアを作ることができません。スコアがないと不当に高い金利でしかお金を借りることができなくなるため、米国の金融スコアは格差を広げる要因になりました。
    そこで「FICOスコアXD」という下部スコアが新たに作られます。公共料金や携帯電話の支払い履歴、持ち家状況など、クレジット情報以外のデータを使ってスコアを算出。「FICOスコアXD」で高いスコアとなった人の中には、本来の「FICOスコア」を求めて、新たにクレジットカードを作った人も多いといいます。
    日本では昨年から「ヤフースコア」「LINEスコア」「メルカリスコア」など10社以上がこの事業に参入。「〇〇ペイ」のキャッシュレス事業は、買い物情報を収集し、スコアに利用する目的もあることがわかります。「ヤフースコア」は当初、本人の意思確認をせず勝手に作る仕様で炎上しましたが、今はどのスコアも本人の同意があって初めて作られます。
    日本のサービスは総合型スコア(本来の信用スコア)と特化型スコアとにわかれます。前者は金融系スコアで、後者はレストラン予約など一つのサービスに特化したスコアです。
    総合型スコアで先行しているのが、ソフトバンクとみずほ銀行の合弁会社「ジェイスコア」が行っている個人向け融資サービス「AIスコア・レンディング」です。150の質問に対する回答に連携先から得た情報を加えて、AIスコアが算出されます。そして600点を超えた20歳~70歳未満の人にだけ本審査が行われ、融資金利が決まります。事業が始まって3年。新しい顧客の掘り起こしに成功したとも報じられています。
    信用スコア事業が増えてきたのは多くの個人データが各社に蓄積されてきたこともありますが、社会の変化も影響しています。日本型雇用が崩れ、これまでのような尺度で信用度合がはかれなくなってきたからです。新しい尺度の開発が個人データを使って動き出したわけですが、危うさもはらんでいます。続きは次回。

  • 25面~29面 読者からのお手紙&メール(文責・矢野宏)

    頼みもしないのに
    「感動与える」とは

    大阪市淀川区 小泉雄一
    2月2日付の朝日新聞で、「『音楽の力』は恥ずべき言葉」という見出しとともにミュージシャンの坂本龍一さんへのインタビュー記事が紹介されていた。
    災害が多発するこの国で、被災者と被災した地域へのボランティア活動としての支援が定着した。その行為を「絆」と称して、人民の力を結集するための雰囲気作りに利用されている。坂本さんは音楽には「癒す力がある」ことを認めながら、「音楽を政治のプロパガンダに利用され、暗黒の力に戒めが必要」と主張している。子供の時から好きだったから一人でピアノを弾いていた、それを一緒に聞いてくれて楽しんでくれるだけでいい。音楽は多くの人が癒しの力を感じなければならないものではない。感動するかしないかは個人の勝手で音楽を作る側の力ではなく、感じる側の感覚の大切さを強調している。
    また、坂本さんは「スポーツのプレイヤーで子どもたちが、勇気を与えたいなどの発言を恥ずべきこと」とも明言している。
    オリンピック出場を目指すアスリートが「感動を与える」と平気で発言するが、「感動していただける」との発言になぜならないのか。少なくとも私は「感動を与えてほしい」と願ったことは一度もない。アスリートの希望により当初予定にない競技施設の建設がどれ程増加したか。五輪経費は誘致決定時の予算から何倍にも膨れ上がった。ほくそ笑んだのは建設業界だろうが、多くの企業が協賛で参加し利益をもくろんでいる。
    安倍首相が通常国会の所信表明演説で、1964年の東京五輪記録映画の最後の言葉を引用し「人類は4年ごとに夢を見る」と語ったが、夢の後の現実の責任は誰が取るのだろうか。財政難からオリンピックに特化した宝くじの発売までいたっている。国と企業に利用されている自覚のないアスリートから真の感動を与えられることはない。
    (「世界一カネのかからない」とうたった東京五輪。当初7000億円の予算額は暴騰し、3兆円を上回るとも言われています。そんな現実を覆い隠すような「感動を与える」という言葉。だまされてはいけませんね)

    果たす意思なし
    首相の説明責任

    兵庫県姫路市 谷野勉
    森友学園問題では国有地が8億円も値引きされて払い下げられ、決裁文書も改ざんされた。加計学園問題では獣医学部を新設する「国家戦略特区」の事業者に選定された加計孝太郎理事長が首相の長年の友であったが、それらに対する説明はなし。
    首相主催の「桜を見る会」でも「地元で募ってはいるが募集していない」というわけのわからない発言が飛び出し、会場の飲食業者の選定も安倍昭恵夫人の知り合いだとか。その昭恵夫人は私人のはずなのに「推薦枠」もある……。安倍首相の国会答弁を聞いても、どれ一つ納得できるものではありません。官僚の殺生与奪の権利を握り、自分に都合の悪いことは一切説明しない。
    先日の衆院予算委で、国民民主党の江田憲司氏が「何度、李下に冠を正せば気が済むのか」と追及していたが、まさにその通り。私たちはこのような安倍首相の姿にあきあきしている。
    「国会で『桜を見る会』の話ばかりしていていいのか」という声もあるが、このまま桜を散らしていいのか。森友も加計も桜も、私は納得していない。
    このような情けない国会状況を作ったのは安倍首相だ。憲法改正を言う前に現行の法律を守れと言いたい。
    (安倍政権を支える力は「えこひいき」。官邸に近いジャーナリストの逮捕をもみ消した警察官僚に続いて、東京高検検事長の定年を半年延長するなど、やりたい放題。すり寄るのは官僚だけでなく、財界人やメディアのお偉いさんも…)

    国会よりも不倫報道
    「さよならマスコミ」

    大津市 樽井弘志
    毎月、興味深く拝読しています。
    さて、先日、「さよならテレビ」というドキュメンタリー映画を鑑賞しました。東海テレビの、報道とは名のみの視聴率第一主義の現場を映し出した作品です。2017年に撮影されたものでしたが、今はもっとひどいありさまに思えます。民放は俳優の不倫スキャンダルと新型肺炎に関する話題で時間を埋め、NHKは、さすがに不倫は扱いませんが、その代わり大相撲初場所優勝力士を大きく取り上げていました。国会でデタラメなやりとりが横行しているにもかかわらずに、です。まさしく「さよならテレビ」というタイトルがぴったりですね。
    でも、これはテレビ局だけの責任ではありません。このまま「さよならマスメディア」とならないよう、みんなで行動していこうではありませんか(安倍首相の得意フレーズだから、使うのは気が引けますが)。これからも楽しみにしています。
    (桜を見る会で追及を受け、募ると募集は違うなどと素っ頓狂な答弁をしながら話題にもならない。安倍政権は、新型肺炎に救われましたね)

  • 27面 車イスから思う事「なぜ、私に話さないの」(佐藤京子)

    現在、介助犬のニコル君と離れて暮らしている。長く一緒に暮らしていると、ニコル君への接し方が自己流になる。これを長らく続けると必要な介助動作、例えば落としたものを拾うはずが、おもちゃで遊ぶようにかんだり、指示に従わなくなったりする。つまり、介助犬としての仕事をサボろうとすることがあるのだ。
    そのため、自分自身のユーザーとしての再教育とニコル君の訓練で、千葉の訓練所に泊まりこんでいる。今では1泊2日や2泊3日で帰宅している。家に戻っている時は、ニコル君への給水、給餌、トイレなどの基礎訓練や落とした物の拾い上げやドアを閉じる練習をする。合間には、外出訓練で街歩き、スーパーやコンビニで買い物をする。 
    先日、以前行ったことがあるコーヒー店へ、トレーナーさんと出かけた。入る前に外から座席のあることを確認したのだが、店員さんにさえぎられた。「混んでいるので席がありません」。目の前には10席近く空いている。すると、「犬は困ります」と言われた。なぜ、トレーナーさんに話しているのだ?介助犬を連れているのは自分なのに会話の外にはじき出されている。「店の奥は混んでいるように見えるけど、ここは空いているではないですか。そもそも、入店を拒めないはずです」と言うと、ようやく入口脇のテーブル席に座るよう指示された。
    なぜ、自分には話しかけず、トレーナーさんにばかり話しかけるのか。自分は簡易型電動車イスを使用しているが、意思疎通ができないわけではない。仮に発語に不自由があったとしても客ではないか。それに何と言っても、相棒のニコル君を拒否されるのは自分自身を否定された気分になる。パッと見て、27㌔の犬が入って来たことに驚いたとしても、モヤモヤ感が残る。
    世の中は、東京五輪・パラリンピックだと騒いでいるが、障害を持っている当人に会話もできないような大手チェーン店の従業員教育の低さを感じた。外資系のホスピタリティを掲げながら恥ずかしい限りである。

  • 30面 編集後記(栗原佳子、矢野宏)

    金正珠さんがドアを開けて迎え入れてくれた時、その小柄さにまず驚いた。リンゴ箱を二つ重ねてやっと機械に届く身長で男性行員の「補充」要員を強いられた証。裁判資料などを読むと、日本の勤労学徒よりもさらに過酷な状況だったことがわかる。そもそも海の向こうから年端も行かぬ少女を騙して重労働に充てたのだ。しかもただ働き。現在まで放置。許されることだろうか。かつて日本のメディアが元「慰安婦」について「朝鮮人女性を挺身隊の名で連行した」などと記したように、韓国内でも勤労挺身隊と「慰安婦」が混同された時代があった。どちらの被害者もどんなに辛い戦後だったか。不幸すぎる混乱も、加害国とその社会の無視・無知・無恥に端を発している。「国際法違反」の思考停止に与してはならないと思う。(栗)
    ▼連日、新型肺炎のニュースに押され、他の大事なニュースがはじき出されている。今月号はそちらにシフトした。なお、西谷さんは中東取材のため、今月号の「世界で平和を考える」は休載。来月号で最新の中東情勢を伝えてくれるはず。ご期待ください。さて、春は別れの季節。本格的な春の訪れを待つことなく、奈良市の水野繁さんが2月15日、心筋梗塞のため旅立たれた。98歳だった。水野さんは先の大戦で多くの学友を亡くし、自身も右腕を失った。戦後、民放ラジオ局「文化放送」に入社。1956年4月には、仮出所した旧陸軍の荒木貞夫大将や鈴木貞一中将、橋本欣五郎大佐らA級戦犯をインタビューしたドキュメンタリー番組「マイクの広場『A級戦犯』」を放送。大きな波紋を呼んだが、労組活動が問題視され現場を追われる。半世紀後の2013年7月のうずみ火講座で、当時の音源を披露してくれ、対談させていただいた。改憲と教育勅語を柱にと訴えるA級戦犯たち。水野さんは「今の右傾化の源流はA級戦犯」と訴えた。16日の通夜は無宗教で営まれ、読経の代わりに水野さんが好きだった曲、忌野清志郎の『サマータイムブルース』が流れた。「人気のない所で泳いだら 原子力発電所が建っていた さっぱりわかんねえ何のため?…」。反戦・反原発、憲法護れと訴えた水野さん、安らかにお眠りください。(矢)

  • 31面 うもれ火日誌(矢野宏)

    1月6日(月)
    仕事始め。矢野は夜、MBSラジオ「ニュースなラヂオ」。特集はIR汚職事件を受け、「カジノで豊かになれるのか」。阪南大教授の桜田照雄さんにスタジオで話を聞く。「10分で現代を解説」では上田崇順アナが「抗議デモが続く香港の年末年始」を報告。
    1月7日(火)
    矢野 午後、ラジオ関西「時間です!林編集長」に出演。夜、長田神社前商店街の岡田育代さんと孫の亘起君に話を聞く。
    1月8日(水)
    西谷 昼過ぎ、ラジオ関西「ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!」。
    1月10日(金)
    午後、今年初の「うずみ火講座」。25年にわたって中東を取材している「アジアプレス」の玉本英子さんを講師に迎え、大阪市此花区のクレオ大阪西で講演「取材映像から見るイラクとシリアの現状」。
    西谷 「路上のラジオー吉井英勝さんによる原子力政策の深い闇」をネットでアップ。
    高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    1月11日(土)
    矢野 午後、大阪市北区のPLP会館で開かれたJR西日本労働組合の「新春旗開き」に参加、あいさつ。
    1月13日(祝、月)
    矢野 午後、JR東海労働組合新幹線関西地方本部の「新春旗開き」が大阪市淀川区の西町甲東会館で開かれ、あいさつ。夜のMBSラジオ「ニュースなラヂオ」は、千葉猛アナの「ネットワーク1・17」との共同企画「阪神・淡路大震災25年」。ゲストは、兵庫県立大教授の室崎益輝さん、災害支援団体「チーム神戸」代表の金田真須美さん。避難所や仮設住宅、ボランティア、被災者生活支援法などが変わったかどうか話を聞く。
    1月14日(火)
    矢野 午後、谷町6丁目で劇団「息吹」の坂手日登美さん、『我が家に来た脱走兵』著者の小山帥人さんらと打ち合わせ。
    1月16日(木)
    矢野 午後、神戸市中央区のアンサー法律事務所で、永井幸寿弁護士に「被災者生活再建支援法」などについて話を聞く。
    1月17日(金)
    矢野 朝、神戸市中央区の東遊園で営まれた「阪神淡路大震災1・17のつどい」を取材。NPO「よろず相談室」理事長の牧秀一さんと歓談した後、神戸朝鮮初中級学校で金相訓(キム・サンフン)校長に話を聞く。夜、東灘区の加賀翠さん宅へ。震災で亡くなった一人娘の桜子ちゃん、2009年に他界した父の幸夫さんに手を合わせる。
    高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    栗原 早朝の便で石垣島へ。陸自駐屯地の造成工事が進む現場や周辺で取材。翌18日、夜、帰阪。
    1月20日(月)
    矢野 夕方、伊方原発差し止め仮処分について今中哲二さんに話を聞く。MBSラジオ「ニュースなラヂオ」。この日、通常国会開幕を受け、「首相の施政方針演説を読み解く」と題して、時事通信解説委員の山田恵資さんに話を聞く。
    1月22日(水)
    西谷 昼過ぎ、ラジオ関西「ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!」出演。
    1月23日(木)
    矢野 午後、ラジオ大阪「里見まさとの朝起き情報スタジオ」収録(26日放送)。
    1月24日(金)
    西谷 「路上のラジオー清水ただしさんのカジノ疑惑」をネットでアップ。
    高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    1月26日(日)
    矢野 午後、大阪府吹田市に在住のJR西日本労働組合の現役・OB・家族の新年会で今年初の講演「それでも安倍政権、それでも大阪維新」。
    1月27日(月)
    矢野 夜、MBSラジオ「ニュースなラヂオ」。トランプ米大統領の弾劾の行方と大統領選について、元共同通信記者でニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子さんに電話で話を聞く。
    1月28日(火)
    矢野 午後、安保保障関連法違憲訴訟の判決が大阪地裁で言い渡され、原告敗訴。原告説明会を取材。
    1月29日(水)
    午後、お茶を飲みながら交流を深める「茶話会」。奈良から竹内和雄さん、吉松郁美さんらが近況報告。
    1月31日(金)
    矢野 栗原、空路ソウルへ。植民地歴史博物館で金英丸さん、李煕子さんに話を聞く。

  • 32面 うずみ火講座、3月の茶話会・酒話会予定(矢野宏)

    3月14日(土)午後2時
    西区民センター第4会議室

    東京電力福島第一原発事故の発生からまもなく9年。3月の「うずみ火講座」は14日(土)、今年も原発の安全神話に警鐘を鳴らし続けた「熊取6人組」の1人、京都大原子炉実験所(現・京都大複合原子力科学研究所)の今中哲二さんを講師に迎え、「福島第1原発と放射能汚染のいま」と題してわかりやすく語っていただきます。会場は、大阪市立西区民センターです。
    福島原発で大きな課題となっているのが、たまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含んだ「汚染水」。すでに1000基近くのタンクにおよそ120万㌧がたまり、さらに日々増えています。処分方法について、国の小委員会は海か大気中に放出する方針を打ち出しました。果たして安全なのでしょうか。
    【日時】3月14日(土)午後2時~4時半
    【会場】大阪市立西区民センターの第4会議室(地下鉄千日前線「西長堀駅」⑦出口から北へ100㍍、鶴見緑地線「西長堀駅」③出口から南へ100㍍)
    【資料代】読者1000円、一般1200円、学生・障害者700円

    4月25日(土)午後2時
    「大阪市解体構想」考える

    「2度目はない」と言いながら、大阪維新の会は11月上旬に「大阪市解体構想」の是非を問う住民投票を目指しています。この構想は、大阪市を解体し財源も権限も大阪府に吸い上げ、「1人の指揮官(知事)」のもとでやりたい放題できる体制をつくるのが狙い。うずみ火では、だまされないための連続講座を開講します。
    1回目は4月25日(土)午後2時~大阪市中央区谷町2丁目の「ターネンビルNo.2」2階。講師は立命館大教授の森裕之さんです。詳細は次号で。

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