新聞うずみ火 最新号

2022年10月号(No.204)

  • 1面~3面 「群馬の森」朝鮮人追悼碑 「記憶と反省」撤去の危機(栗原佳子)

    群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」に、戦時中、強制動員された朝鮮人労働者の苦難の歴史を刻んだ追悼碑がある。2004年に県が設置を許可して建立された。しかし、右派の抗議が相次ぐ中、県は「政治性」を理由に設置許可を更新しない方針に転じた。碑を管理する市民団体が県の処分取り消しを求めた訴訟も、今年6月の最高裁判決で市民団体の敗訴が確定した。撤去の危機に瀕したモニュメントは何を問いかけるのか。

  • 4面~5面 戒厳令下700人超犠牲 中国人労働者はなぜ殺された(栗原佳子)

    1923年9月1日に発生した関東大震災で、流言によって6000人ともいわれる朝鮮人が虐殺された。時を同じくして東京や神奈川で、700人を超える中国人が軍や警察、市民によって虐殺されたことはあまり知られていない。関東大震災から99年。「中国人受難者を追悼するつどい」が9月4日、東京都江東区で開かれ、市民約200人が参列した。江東区で中国人労働者300人以上が虐殺された「大島町事件」について、在日中国人2世の林伯耀さん(神戸市)が講演し、中国人がなゼ殺されたのか、当時の資料などを用いて詳細に解説した。 

  • 6面~7面 旧統一教会 不信に拍車 広がる「安倍国葬」反対(矢野宏)

    9月27日に迫った安倍元首相の国葬に反対する集会やデモ、署名活動などが各地で広がっている。岸田首相は「丁寧に説明する」と臨んだ閉会中審査で、これまでの説明をただ繰り返すのみ。納得のいく説明が得られないいらだちと旧統一教会との癒着を含めた「安倍政治」への積もり積もった不信感が国葬反対に拍車をかけている。 (矢野宏)

     9月18日、大阪府豊中市の千里中央駅前。「安倍元首相の国葬 絶対やめて」と書かれた横断幕、「国葬に税金を使うな」「私は自分の心を動員されたくない」などと手書きされたプラカードやゼッケンが目を引く。
     主催は「森友問題を考える会」。森友学園への国有地売却問題追及の先駆けとなった豊中市議の木村真さん(58)が呼びかけた。毎週第2、4木曜日に「森友問題の幕引きを許すな」などと街頭宣伝しているが、安倍元首相の国葬が閣議決定されてからは国葬反対を訴えている。
     森友問題を追及された安倍氏が国会で「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したのは2017年2月のこと。この発言をきっかけに、財務省は国有地売却に関する決裁文書を改ざん。加担させられた近畿財務局職員が自ら命を絶った。真実を知りたいという妻の訴えは、岸田政権下で国が請求を認める「認諾」で終結した。
     この日参加した立憲、共産、社民からの訴えに続き、木村さんがマイクを握った。
     「気の毒な亡くなり方をしたとは思いますが、これで数々の疑惑が免責されるものではありません」と切り出し、「森友問題をはじめ、加計問題や桜を見る会などの疑惑について検証が必要なのに、国葬にすることで『偉大な政治家だった』という雰囲気がつくられ、安倍政治への批判を封殺されてしまうのではないか。そんな幕引きを断じて許してはいけません」と語った。
    ……

  • 8面~9面 「うずみ火講座」野村さん講演 「統一選 カジノが争点」(矢野宏)

    カジノを中核とする統合型リゾート(IR)をめぐり、誘致の是非を問う住民投票を求める大阪府民の直接請求は府議会で否決された。21万筆を超える民意がわずか半日の議論で退けられたが、カジノ誘致を止める次の一手は何か。新聞うずみ火主催の「うずみ火講座」が9月3日、大阪市中央区のターネンビルで開かれ、「NO!大阪IRカジノ」呼びかけ人で前堺市議の野村友昭さんは「統一地方選の争点をカジノに」と訴えた。 (矢野宏)

    野村さんは「来春に統一地方選挙があります」と切り出し、「その争点はカジノです。カジノに賛成するのか反対するのかを問う選挙にすべきです」と訴えた。
     さらに、「夢洲開発にこれ以上、お金をつぎ込むべきではない」と主張し、夢洲と大阪市内を結ぶ阪神高速道路「淀川左岸線」の2期工事区間の完成が最大で8年遅くなり、事業費も当初の1162億円が約2900億円に膨れ上がることに触れた。
     「原因は軟弱地盤です。特に夢洲のある大阪港周辺は埋め立て部分が緩いだけでなく、海底深くに存在する固い『洪積層』が沈下する地盤です。そんなところに大きな建造物を建てること自体、もともと不可能なのです」
     府・市、MGMとオリックスが4月に国へ提出した区域整備計画書をもう一度読み直したという野村さんは「数字一つ拾うのも一苦労でした」と振り返る。
    ……

  • 10面~11面 鳴門海峡「住吉丸の悲劇」 米軍機銃で82人犠牲(粟野仁雄)

    敗戦の2週間前、鳴門海峡で少年兵らが乘る民間船が米軍機の襲撃で82人が死亡した「住吉丸の悲劇」はあまり知られていない。
     兵庫県南あわじ市阿那賀の「鎧﨑桜ケ丘英霊墓地」。南に大鳴門橋を望む丘で慈母観音が82基の墓石を見守る。観音の横には杉本静少佐(享年43)と松本秀一中尉(同26)2人の墓。その他は階級別に年齢順に整然と並び「上等飛行兵」の多くは十代で最年少は14歳だ。氏名、階級、死亡時の年齢の他、出身地が刻まれる。少年兵は当時の樺太(現サハリン)、満州(同中国東北部)、台湾などからも集められた。
     熊本市に住む永光頼光さん(93)は鹿児島県の甑(こしき)島に生まれ、13歳で軍属として中国大陸にいた。「同級生の兄だった剣道の先生が引率し、村の8人で行ったのです。15歳の時、上海で予科練(海軍飛行予科練習生 )に志願して合格しました。練習生たちは陸路、釜山に集まり船で下関に渡りました」
     海軍の純白の軍服とゼロ戦は少年の憧れだった。
     5月末、少年兵たち約200人が集められたのは軍が接収した宝塚歌劇場。「宝塚海軍航空隊」の拠点だったが飛行機もない。軍は本土決戦に備えて淡路島南端の鳴門要塞に砲台を造る計画を立てた。
    ……

  • 12面~13面 ヤマケンのどないなっとんねん「安易な民営化が奪う幼い命」(山本健治)

    岸田首相も茂木自民党幹事長も、今は何をやっても批判を受けるが、時がたてば国民も忘れて支持率も回復するとタカをくくっているようだが、批判を甘く見るな。
     問題は指摘されている通りだが、あえて再確認しておきたい。第1は法的根拠も誰もが納得できる理由がないのに安倍元首相を国葬にしようとし、それも「国葬儀」だから内閣で勝手にやれると開き直っているからだ。
     首相は在任期間が長ければいいというものではない。日本経済を回復させ、外交でも成果を上げたというが、多額の税金を使って外国訪問して金をばらまいただけだ。トランプ大統領には武器を買わされ、プーチン大統領には弄ばれて北方領土は完全に返還されない状態になり、経済も長期混迷から脱出できず、衰退が明確になった。安倍元首相は民主党政権の円高対応はダメだと円安誘導したが、とんでもない円安が進行して大混乱だ。森友・加計・桜などの疑惑は何一つ晴れていない。屍にむち打つなと言われるが、公人は亡くなっても責任は問われる。元首相の罪と疑惑だけが残っているから国民は国葬にノーと思っているの……

  • 14面~15面 世界で平和を考える「アフガニスタン最新報告」(西谷文和)

    アフガンへの支援と取材は今回で13回目になる。最初は2001年、9・11事件直後にアフガンの北、タジキスタンからアムダリア川を越えて入った。その後、イラク戦争が勃発したので数年間はバグダッドへ。大統領がブッシュからオバマに変わり、戦争がイラクからアフガンへシフトしたので、09年からまたカブール中心に、ほぼ毎年アフガンに入った。過去のアフガンと比べても今年は最悪。タリバン政権になって国際人道支援がほぼストップし、米軍の撤退に合わせて建設業者も逃げてしまった。食料も仕事もない中で、女性は働くことはもちろん、外出することさえ制限が加わった。タリバン政権になって1年、アフガニスタンの今をリポートする。



     8月12日、ドバイで早朝の飛行機に乗り込む。タリバン政権になっても飛行機は毎日飛んでいるし、タリバン政府はコロナでの入国制限を全く課していない。ビザさえあれば誰でもカブールに行ける。約3時間半のフライトでカブール着。国道を走るが人通りはまばら。「みんな失業しているから外へ出る用事がない。女性も基本的には外出しない」。通訳のアブドラが最近の状況を説明してくれる。確かに通行人は男性ばかり。たまに民族衣装ブルカを被った女性が子どもの手を引っ張って歩いているが、感覚的には50対1くらいでほぼみんな男性だ。
     カブール郊外の赤新月社本部へ。ここの講堂に100人以上の子どもたちが集まっている。戦争や貧困で傷ついた子どもたちを、ドイツ国際平和村が応急的な診断をして、アフガンでは治らない子どもを援助飛行でドイツに連れて行く、その選定作業が今から始まるのだ。
    ……

  • 16面~17面 フクシマ後の原子力「危機に乗じた原発増設」(高橋宏)

    安倍晋三元首相の国葬が強行されようとしている。選挙の最中に、暴力によって人命を奪った行為は断じて許されるものではない。民主主義社会において、あってはならない凶行であった。だが、法的根拠もなく国会での議論もないまま、閣議決定のみで国葬を行うこともまた、民主主義社会における蛮行であろう。
     岸田文雄首相は、安倍元首相が死去したわずか6日後に、国葬にすることを表明した。これまで、なかなか物事を決められない印象が強かった岸田首相とは思えない、即断即決である。国葬に反対や疑問を呈する世論の高まりの中、様々な理由を並べたててきたが、いずれも後付けの感が否めない。そもそも、安倍元首相がなぜ国葬に値する人物なのか、納得のいく説明がない。
    連日ニュースとなっている旧統一教会問題と五輪汚職問題にも深く関わってきたのが安倍元首相だ。森友学園問題、加計学園問題、桜を見る会問題などの疑惑について、全く説明責任を果たしてこなかったのも安倍元首相だ。
    ……

  • 18面 ウトロ事件判決 実刑確定 「人種差別」踏み込まず(矢野宏)

    在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区の家屋に火をつけたとして非現住建造物放火などの罪に問われた奈良県桜井市の無職、有本匠吾被告(23)に対し、京都地裁(増田啓祐裁判長)は8月30日、「偏見や嫌悪感による犯行で、民主主義社会において到底、許容できない」として求刑どおり懲役4年を言い渡した。控訴期限の9月13日までに弁護側、検察側双方が控訴せず、判決が確定した。 
    ……

  • 19面 ヘイトハラスメント訴訟 フジ住宅敗訴が確定(栗原佳子)

    社内で民族差別をあおる文書を繰り返し配布されるなどして精神的苦痛を受けたとして在日コリアン3世の50代女性が「フジ住宅」(大阪府岸和田市)と今井光郎会長を相手に3300万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は9月8日付で会社と会長側の上告を退ける決定をした。同社側に差別文書の配布差し止めと計132万円の賠償を命じた大阪高裁判決が確定した。同月11日の報告集会にオンラインで参加・取材した。 

  • 20面 琉球以降返還訴訟控訴審「元の墓に遺骨を返して」(栗原佳子)

    戦前、旧京都帝国大学医学部の人類学者らが研究目的で琉球諸島の墓から多数の遺骨を持ち出した問題で、子孫らが京大を相手取り遺骨の返還を求めた「琉球遺骨返還請求訴訟」の控訴審が9月14日、大阪高裁(大島真一裁判長)で始まった。4月の京都地裁判決は遺骨返還請求の権利がないとして原告の訴えを棄却。原告側は「国家による琉球・沖縄への植民地支配と戦後も続く植民地主義、研究・学問という名の『学知の植民地主義』の本質を問う訴訟」と位置づけ「遺骨を元の場所に返すのは世界の潮流」と訴える。

  • 21面 読者近況(矢野宏、栗原佳子)

    ■日独語で被爆体験記

    【大阪】本紙にコラム「ヤマケンのどないなっとんねん」を連載している山本健治さん(78)が、被爆体験を語り続ける米澤鉄志さん(88)=京都府宇治市=の半生を日本語とドイツ語で記した冊子を作成した。
     タイトルは「米澤鉄志さんの被爆体験と生き残った者の責務としての生涯かけての叫びと活動」。日独平和フォーラム大阪・世話人の山本さんがドイツの若者に米澤さんの被爆体験と知ってもらいたいと証言を聞き取り、米澤さんの著書も参考にして編集した。ドイツ語は、現地在住の田口理穂さんらが翻訳した。
     米澤さんは小学5年の時、広島市の祖父母の家に向かう路面電車内で母親と妹とともに被爆した。爆心地から約750㍍。翌月、母親と妹は亡くなったが、米澤さんは生死の境をさまよった後、奇跡的に回復する。
     山本さんは「米澤さんは火炎地獄や放射能地獄を越え、人の屍を踏み越え、遺体で埋まった川面を乗り越え、黒い雨を浴びながらも奇跡的に生き延びました。生き残った者の責務として、米澤さんは自らの体験を語り、核廃絶、原発廃棄を訴えています」と語る。
     冊子はA4判、97㌻。希望される方は、発行協力金1000円(郵送料は別に320円)で。名前、住所、電話番号を書き、FAXで日独平和フォーラム大阪(06・6327・7986)まで。      (矢野)

    ■哲学学びませんか

    【大阪】大阪経済法科大法学部元教授の金泰明(キム・テミョン)さんが「人権と共生の哲学」をテーマにした12回の連続セミナーをスタートさせた。
     名付けて「哲学塾 OWLs」。大阪(Osaka)にある、働く人びと(Workers)が、ともに学び語り合う(Learning)ための学び舎(Space)で、「森の哲学者」の異名を持つOwl(フクロウ)をもじったネーミング。さまざまなジャンルの講師による講義のあと、参加者を交えて対話する。
     「哲学は堅苦しいイメージがありますが、『私』を中心に人生や社会、世界が存在する意味を深くとことん考える営みで、よりよく生きるための方法を教えてくれます」(金さん)
     10月8日(土)講師 平野織(日本ディープラーニング協会)「AIと人権を哲学する」▼16日(日)午前10時 講師 竹田青嗣(至善館大学大学院教授)「現代哲学の最前線―『欲望論』を語る」▼ 11月12日(土)講師 友永健三(部落解放・人権研究所名誉理事)「水平社宣言から学ぶ―全国水平社創立100年に寄せて」▼11月26日(土)講師 森本元祥(橿原市立畝傍夜間中学校教頭、橿原に夜間学をつくり育てる会)「夜間中学校と学ぶ権利」など。土曜日はすべて午後4時から。
     会場は多目的スペースHANA(JR鶴橋下車徒歩10分、近鉄鶴橋東口下車徒歩6分)生野区鶴橋▽受講料(資料代)は1回につき500円(当日会場で支払い)申し込みは希望日と講師名を①メール: tkim@tt.rim.or.jpか電話090・9304・5241へ(栗原)

  • 22面 経済ニュースの裏側 円安で「貧しい日本」加速(羽世田鉱四郎)

    円安と物価高の関係が取り沙汰されています。まず、為替の基本知識から。
     仕組み 自国の通貨と外国の通貨を交換するのが「外国為替」です。固有の取引所はなく、銀行のディーラーや専門業者(為替ディーラーなど)などが、お互いに取引しています。
     相場を動かす要因 各国経済の基礎的な条件(ファンダメンタルズ)、貿易取引、資本取引などが要因です。これに国際政治や経済、有事への対応が絡みます。日本と米国ですが、日米の金利差が主因といわれ、10年物の国債利回りの差が注目されています。直近では、円とドルが、2014年から円安となり、円とユーロも、13年から円安に転じています。アベノミクスによる金融緩和が要因です。
     ドルとユーロはほぼ等価です。以前は、金利差が4%あると為替変動が生じるとされましたが、最近は2%と指摘されています。参考までに、9月2日時点で、対ドルは140円。日本の10年国債(367債)は0・235%、米国債は3・195%で、差は2・96%です。

  • 23面 会えてよかった 島袋艶子さん④

    取材の最後に、「愛楽園には交流
    会館ができていて、歴史や証言が展
    示されているんです」と話すと、艶
    子さんは自治会の社会学習で機会が
    あれば訪ねたいとのこと。鈴木陽子
    さんからの問い合わせもいいですよ
    とOKをいただいた。
     沖縄民謡の方の慰問が多かった
     翌日、19日、鈴木さんに電話ーー
     園の記録には1966年1月8日、
    「でいご3人娘」慰問と出ていたと
    のこと。民謡の方の慰問が多く、民
    謡のレコードの作詞家として園の方
    の名前が出ていることもある。「愛
    楽音頭」も作詞は園の方で、作曲は
    喜屋武繁雄さん、歌は砂辺民謡クラ
    ブ。50~60年代の曲ではないかと思
    うという。     

  • 24面 日本映画興亡史「関東大震災が映画界直撃」(三谷俊之)

    関東大震災は映画界にも大きな影響を与えた。日活向島撮影所や松竹蒲田撮影所も被災。どちらも京都に本拠を移した。松竹や日活の新作提供ができなくなったため、京都の撮影所は活況となった。だが資本がなく配給網が弱いマキノは依然苦しい。合併話が次々に持ち込まれる。その一つが帝国キネマ(帝キネ)だ。
     戦前の東大阪に「東洋のハリウッド」と呼ばれた日本最大の撮影所があった。帝キネの長瀬撮影所だ。1920(大正9)年、大阪の興行師・山川吉太郎が設立。小唄映画『籠の鳥』が大当たりして得た資金で28(昭和3)年、現在の東大阪市・長瀬駅近くに敷地(1万坪)に、二つのかまぼこ形の屋根が並ぶ広大な撮影所を建てた。この撮影所でつくられた映画に『何が彼女をそうさせたか』(鈴木重吉監督)があった。
    ……

  • 25面 坂崎優子がつぶやく「コロナ新薬に承認圧力」

    塩野義製薬(以下シオノギ)の軽症者用の新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」の承認をめぐって驚くことが起っています。
     簡単に説明すると、審査会議でシオノギ側が「症状改善に関する主要項目では効果があるとはいえなかったが、呼吸器症状に限定して調べたら効果があったので認めて」と主張したのに対し、審査する側は「本来の研究で効果が示せていないから今回は認められない」と承認せず、継続審議になった。それを受け感染症学会と化学療法学会の両理事長が連名で「認めるべきだ」とする提言を厚労省あてに提出した、というもの。
    ……

  • 26面~30面 読者からのお手紙&メール(文責・矢野宏)

    多方面から切り込む
    新聞うずみ火に期待

      名古屋市 落合静香
     うずみ火の周辺でのコロナ感染、大変でしたね。私も7月中旬にかかり、10日間の外出禁止でした。のどが痛いので病院へ行くと、PCR検査で陽性が判明。幸いにして平熱の範囲で、のどの痛み止めの薬のみで治まりました。ワクチン接種を3回受けていたのですが、人同士が密にならないように気をつけるしかないですね。
     毎月届く新聞うずみ火は、現在起こっている出来事を多方面から切り込んでおり、とても勉強になります。連載の中では、高橋宏さんの「フクシマ後の原子力」と羽世田鉱四郎さんの「経済ニュースの裏側」を欠かさず読んでいます。原発廃止は20代より願ってきましたが、未だに原発は稼働しています。命よりお金の世の中かもしれませんが、残念です。
     旧統一教会と自民党との密の関係には腹立たしい限りです。同性婚反対などの旧統一教会の教義が自民党の政策に影響を与えた可能性があるのではないでしょうか。保守寄りと言われているドイツでさえ、1993年に夫婦別姓が可能になったと知り、ショックでした。日本で生まれて良かったという男女平等、お互いに尊重し合う国にしたいものです。
    ……

  • 27面 車イスから思う事(佐藤京子)

    何だかおかしい、ワイン色の尿が続いている。月1回の泌尿器科受診のたび、担当医に訴えたが、なかなか検査してくれない。数カ月後、医師が根負けして「本人が納得するなら」と検査を受けることになった。尿検査をはじめ血液検査、CTへと進み、内視鏡検査で医師が「ありました」。腫瘍が膀胱にあったのだ。組織検査の結果は良性だったが、念のため、全身麻酔で内視鏡を使って切除することになった。

  • 28面 絵本の扉「あな」(遠田博美)

    谷川俊太郎さんは1931年生まれ、90歳を超えた今も創作活動に余念のない詩人です。絵本との関わりも数多くあり、今回はイラストレーターの和田誠さんと組んだ『あな』を紹介します。絵本の綴じ方は縦綴じ右開きなのですが、絵本を横に持ち、縦に2㌻見開きで読み進めていきます。
     日曜日の朝、ひろしは何もすることもなかったので穴を掘り始める。
     父母、妹、友達が声をかけるが、「さあね」「まあね」などと短く答えるだけ。汗をかき、手にまめができても黙々と穴を掘り続ける。

  • 30面 編集後記(矢野宏)

    台風14号は各地を暴風域に巻き込みましたが、被害はありませんでしたか。何事もなかったことを願っておりますが、万が一被害に遭われた方がいらっしゃいましたら、心よりお見舞いを申し上げます。▼今年は関東大震災から99年。新聞うずみ火10月号でも関東一円で起きた朝鮮人や中国人虐殺を取り上げました。いくつかの言葉を思い出しました。1985年5月、西ドイツ大統領だったワイツゼッカー氏が第2次世界大戦終戦40年を記念する演説で「過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目になる」と述べたことは有名ですが、その後、「非人間的な行為を刻もうとしない者は、またそうした危機に陥りやすい」と続き、若者たちにこう呼びかけています。「互いに敵対するのではなく、互いに手を取り合って生きていくことを学んでいただきたい」と。▼一方で、2015年8月、安倍首相は戦後70年談話の中で「未来の子孫に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と述べました。その言葉は歴史修正主義者たちを勢いづかせ、ヘイトスピーチが横行する世の中に…。そんな人物を国葬に?冗談じゃない。最後まで反対の声を上げたいと思います。▼事務所からのご連絡です。この夏、アイスコーヒーのセットと缶チューハイの詰め合わせを贈っていただいた方がいらっしゃいます。ただ、いずれもアマゾンから送っていただき、送り先の名前と住所が書かれていませんでした。アマゾンさんに礼状を出すわけにもいかず、はて、どうしたものか。心当たりのある方はご連絡いただけませんか。▼記入漏れといえば、郵便局で新聞継続の手続きをされる際、振込用紙に何も記入せずにお金だけ振り込まれる方も見受けられます。入金したのにまた振込用紙が入っていたと不快な思いをされている方、ぜひご連絡ください。台風一過、朝夕涼しくなりました。くれぐれもご自愛ください。(矢)

  • 31面 うもれ火日誌(文責・矢野宏)

    8月13日(土)
     矢野 栗原、午前、新型コロナ感染で10日間の療養解除。午後、大阪市北区のPLP会館で「うずみ火講座」。『個のひろしま~被爆者 岡田恵美子の生涯』(西日本出版社)を出版した元朝日新聞記者でジャーナリストの宮崎園子さんが、被爆体験を受け継ぐことの意味と責任ついて語る。
     栗原 講座終了後、大阪・中之島美術館へ。ドキュメンタリー映画「岡本太郎の沖縄」(完全版)の葛山喜久監督にインタビュー。
    8月14日(日)
     敗戦前日に米軍による空爆で500人以上が亡くなったとされる「京橋駅空襲」から77年。矢野は午前、JR京橋駅南改札口側で営まれた慰霊祭を取材。読売テレビの取材を受けていた落語家の桂花団治さんと再会。

  • 32面 うずみ火講座(矢野宏)

    10月29日(土)有田芳生さん

    次回のうずみ火講座は旧統一教会を40年にわたって取材しているジャーナリストで前参院議員の有田芳生さんを講師に迎え「旧統一教会とは何か~安倍元首相暗殺事件の背景」と題して10月29日(土)午後6時半~大阪市立住まい情報センター・ホールで開講します。
     「巨額献金」や「霊感商法」などで公安警察の捜査対象になっていたというのに、突然ストップをかけた「政治の力」とは何だったのか。その後、反社会的カルト宗教が自民党や維新などの右派政治家を取り込んでいったのかなど、わかりやすく解説していただきます。
     当日、YouTubeでも配信します。講演時間でなくても好きな時間に視聴できます。希望される方は「うずみ火ニュース」のホームページを検索して下さい。
    【日時】10月29日(土)午後6時半~8時半
    【場所】大阪市北区天神橋6丁目の市立住まい情報センター(地下鉄谷町線・堺筋線、阪急「天神橋六丁目駅」③出口から連絡
    【資料代】読者1000円、オンライン600円


    11月12日(土)ウトロ平和祈念館

     11月12日(土)午後2時~在日コリアンが多く住む京都府宇治市にオープンした「ウトロ平和祈念館」の見学ツアーを行います。
     参加を希望される方は午後2時に近鉄京都線「伊勢田駅」改札口に集合。歩いてウトロに向かいます。
     入館料は大人300円。

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