新聞うずみ火 最新号

2019年11月号(NO.169)

  • 1面~3面 愛知芸術祭に補助金不交付 「お上の意向」ちらつかせ(矢野宏)

    愛知県で開催されていた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」が10月14日、75日間の会期を終え、閉幕した。企画展「表現の不自由展・その後」が慰安婦を象徴する少女像を展示したことに抗議が殺到、8月1日の開幕から3日で中止になったことで注目を集めた。展示会再開に向けて動き出した直後には、文化庁が補助金を全額交付しないと発表。萩生田文科相は「手続き上の理由」を強調したが、検閲ではないのか。文化庁の補助金制度に詳しい元文科官僚で京都造形芸術大教授の寺脇研さんに話を聞いた。

  • 4面~6面 関電幹部金品受領問題 「フィクサー」通した元助役(粟野仁雄)

    福井県高浜町の海岸線は美しく、海水浴場が多い。10月3日、海際へ取材に行く時は必ず水着を持参する筆者は、海に入って泳いだが、あいにく台風が近づいて波が高く早々に切り上げた。
    美白ブームのせいか昨今はめっきり減ったが、昭和30、40年代は京都や大阪から海水浴客が押し寄せた。彼ら目当ての観光・宿泊業は大きな産業だった。激減した海水浴客に代わり宿泊してくれるようになったのが原発関連の業者たちだ。原発は工事関係者にとって建設時だけ仕事があるのではない。始終、運転停止して行う定期点検が一大産業なのだ。
    JR小浜線西三松駅の近くに3月に90歳で死去した高浜町元助役の森山栄治氏の邸宅がある。関西電力幹部20人に3憶2000万円の金品を送っていた男だ。高浜原発へ続く道から少し入った位置にある広大な敷地には和風の屋敷と洋館が立つ。表札には養子と聞く息子の名があるが、近所の女性は「今は誰も住んではりませんよ」。…

  • 7面 関電幹部金品受領問題 「原発マネー」解明訴えデモ(矢野宏)

    関西電力幹部が原発立地自治体である福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題を受け、原発をめぐる多額の「原発マネー」の情報公開と原子力からの撤退を求める市民ら70人が10月8日、高浜原発周辺でデモ行進を行い、関電に説明責任を果たすよう訴えた。 

  • 8面~9面 「ヤマケンのどないなっとんねん」役立たずの国土強靭化対策(山本健治)

    安倍一強体制のおごりとたるみは、これだけ台風で国民が大変な目に遭っていても、相変わらずである。
    台風15号が千葉県を中心に甚大な被害をもたらし、復旧などほど遠い中で、10月12日から13日には台風19号が襲い、関東・甲信越・東北の59河川、90カ所で決壊、150カ所を超える山崩れが起き、16日時点で78人が亡くなり、16人が行方不明、346人が負傷された。道路・橋梁などの損壊、電気・通信・水道・ガスの途絶、住宅・工場・店舗・公共建築物などの被害全貌は把握できておらず、いつになれば元の生活に戻れるのか、まったくメドが立たない人たちが多数おられる。
    その最中の13日、自民党本部で開催された緊急役員会で、二階博幹事長は「予測されたことから考えると、まずまずに収まった感じ」と述べ、記者に真意を問われ、「日本がひっくり返るような災害に比べると軽いという意味であって、一人でも亡くなられたら大変だ」と付け足したが、他人事のようにしか見ていなかったことをさらけ出した。二階幹事長は国土強靱化対策を一番熱心に進めていると自負するにもかかわらず、こんな発言をするのは、人命や物的損害、インフラや国土の崩壊を単なる数字としてしか見ておらず、さまざまな事業も結局は利権のカタマリで、それを振り分け、甘い汁を吸っているにすぎないという現実をあからさまにした。…

  • 10面~11面 「世界で平和を考える」沖縄・辺野古ルポ(西谷文和)

    10月10日、8年ぶりに沖縄の土を踏んだ。レンタカーを借りて名護市へ。地元の中学校で教鞭をとっていた喜屋武(きゃん)氏の案内で辺野古を取材。キャンプシュワーブ、ゲート前の座り込みは2000日に迫っている。到着が夕方4時を過ぎていたので、座り込む人々はいなかった。翌日の沖縄タイムスによれば、約70名が座り込んだが、機動隊によって「排除」された。私はその排除後のゲートを通りかかったのだが、「帝国警備」の警備員がぎっしりと並んで、通行する車両を睨んでいる。以前はアルソックの警備員だったが、会社が変わったようだ。喜屋武さんによると「彼らは5万円の日当が出ている」とのこと。…

  • 12面~13面 「ゴジラと憲法」自衛隊のあり方(高橋宏)

    過去最大級とされた台風15号の襲来からわずか1カ月の12日、それをさらに上回る勢力の19号が日本を襲った。東日本を直撃した台風は、猛烈な風雨を伴い13都県に大雨特別警報が発令され、47河川が決壊する未曾有の大水害をもたらした。その結果、死者78人、行方不明16人、そして多くの人々が甚大な被害を受けることになったのである。しかも、被害の全容はまだ不明だ(10月17日現在)。
    台風被害は、その進路ばかりが注目されがちだ。だが、15号の傷跡も生々しい千葉県など関東地方だけではなく、直撃を免れた西日本でも、台風は追い打ちをかけていたはずである。ほんの一例であるが、昨年の大阪府北部地震や台風21号によって、被害を受けた家屋のうち、まだ屋根にブルーシートが張られたものが残されている。台風接近のたびに、そこに住む被災者がどのような思いで過ごしているのか、私たちは忘れてはいけない。
    台風や地震、噴火などの巨大自然災害は、今に始まったことではない。しかし近年、その規模や頻度が増しているとは言えないだろうか。もともと、災害が多い日本であるが、特に巨大災害に対する備えについては非常に心許ない。それは、毎回「想定外」の被害に見舞われ、多くの被災者が十分なケアも受けられないまま、次の災害におびえねばならない現状からも明らかだ。…

  • 14面~15面 台風19号 各地のうずみ火読者は…(栗原佳子)

    記録的な大雨をもたらした台風19号。被害は12都県と広範囲にわたり、いまも日ごと深刻さが増している。被災が伝えられている地域の読者の皆さんに見舞いの電話やメールをさせていただいた。 

  • 16面 「こちらうずみ火編集部」京都帝大と奄美「人骨」 島の死生観踏みにじる収奪(栗原佳子)

    京都帝国大学の人類学者らが戦前、奄美群島から多数の人骨を運び出していた問題を考える学習会「知と骨ー京都帝大の奄美『人骨』調査と植民地主義」が10月5日、京大で開かれた。大学教員でつくる「人骨問題を考える連続講演会@京大」実行委員会の主催。「京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」の大津幸夫代表と原井一郎事務局長が講演、奄美の歴史をひもときながら、人骨「収奪」の背景をあぶりだした。  

  • 17面 「こちらうずみ火編集部」大阪「都構想」 外国籍も住民投票を(栗原佳子)

    来年秋にも実施見通しのいわゆる大阪「都構想」の住民投票をめぐり、外国籍の市民も投票できるようにと、大阪市在住者が国籍を超えたグループ「みんじゅう(みんなで住民投票!)」を設立した。外国籍の市民の投票には法改正が必要になるため、国会などへの請願に向け、署名活動をスタートさせた。

  • 18面~19面 読者近況(矢野宏、栗原佳子)

    ■第55回あみだ池寄席

    【大阪】露の吉次さんが会主を務める「第55回あみだ池寄席」が11月10日(日)午後2時から、西区北堀江の和光寺(地下鉄千日前線西長堀駅から東へ徒歩2分)の本堂1階で開かれる。…

  • 20面 「経済ニュースの裏側」消費増税 ますます広がる格差(羽世田鉱四郎)

    日本経済は、リーマンショックや東日本大震災の影響から脱して、2013年度から自律回復軌道に入ったとの指摘も。民主党政権(野田内閣)の頃です。
    法人企業統計(財務省)でも裏付けされています。全産業の売上高は、過去4年の低迷から(1400兆円弱)抜け出し1409兆円(対前年2・5%増)に。その後、2年間は横ばいですが、17年度は1544兆円(同6・0%増)に。大マスコミを中心に、まるでアベノミクスの成果「デフレマインドの一掃」のようなPRです。
    それでも、05年度、06年度の売上高を下回っています。製造業の海外生産が大きな原因かと。営業利益率も徐々に上がり、2~3%でしたが、13年度あたりから3%後半、4%台に上昇しました。生産効率のアップや付加価値の高い製品へのシフトが要因でしょう。
    目をひくのは、14年度からの税金(法人税・住民税・事業税)の低下と配当金、内部留保の増加です。税引前当期純利益(もうけ)を基準にすると、税金は2・9%と3%を下回って低下し続け、反対に、配当金の金額は税金を上回り、さらに「企業内部留保463兆円 過去最高 7年連続増」(9月3日付朝日新聞)につながっています。税金の低下は、法人税の減税が寄与しています。…

  • 21面 「会えてよかった」武村豊さん⑥(上田康平)

    逃避行は続いた。
    道から、ガジュマルなどの根をつかんで下に降り、岩陰で眠っていたが、また上に上がることになり、米軍に監視されているから一人ずつ、間あけて出ようとなった。
     最後になった豊さんは死んだ方がましと、とろとろまどろんでいた。するとそのとき、岩陰から水滴が口の辺に落ちた。「あっ、水だ」。水が欲しい。持っていたガーゼで受けて、しぼって飲んだ。飲んでいると、母の顔が見えて、「生きるんだよ」と母の声がしたような気がした。
    力を得た豊さん。岩陰から木の根を伝って上に上がったが、すでに誰もいない。もともと臆病なたちだったが、一人で前に進んだ。…

  • 22面 「落語でラララ」黄金餅 「業の肯定」政治は勘弁(さとう裕)

    戦さあるな 人喰い鮫の宴(うたげ)あるな(兜太)
    今年生誕100年の故・金子兜太の句である。第2次大戦で南洋の島へ送られ、「トラック島で水葬した戦死者の死体を漁りに来た鮫だ。獰猛残酷だが、ひたすらな生のひたすらな姿。その命の矛盾に立ち会わざるを得ない悲憤」(9月22日付朝日新聞)。俳人高野ムツオの寄稿を読んで、落語「黄金餅」が心に浮かんだ。
    「黄金餅」も凄惨な噺だ。
    下谷に住む西念という坊主、頭陀袋を下げて江戸中をもらって歩き、せっせと金をため、きわめてケチに暮らしていたが、ある時風邪で寝込んだ。隣家の金山寺味噌を売る金兵衛が見舞いに行くと、あんころ餅が食べたいというので買ってやる。人が見ていると食べられないという。金兵衛は家に帰り、壁の穴から覗くと西念はふところから胴巻きを出し、二分金や一分銀を出し、餅にくるんで食べ、のどに詰まらせて死んでしまう。金兵衛は長屋の連中に知らせ、その日のうちに麻布絶口釜無村の木蓮寺に持ち込み、生臭坊主に出鱈目な経を上げさせ、天保銭6枚を払って焼き場の切手をもらい、寺の台所から鯵切りを持ち出し、焼き場へ。遺言だからと、腹のところは生焼けにしてくれと頼む。翌朝、鯵切りで西念の遺骸を突くと金が出て来た。金兵衛はこの金で目黒に餅屋を出し、大層繁昌したという。黄金餅の由来。
    あらすじだけだと凄まじい噺だが、うまい噺家がやると、さほど抵抗なく聞ける。至芸のなせる技というのは簡単だが、「古今亭志ん生は一歩誤れば嫌味たっぷりになってしまうこの噺を、その飄逸な人柄と独自のくすぐりによって補い、十八番ものとした」と志ん生の工夫と苦労を、飯島友治はその解説で説明している(『古典落語』筑摩書房)。
    談志の「落語は人間の業の肯定」という言葉が、身に染む噺だ。死期を悟っても、貯めた金への執着が捨てきれない西念。死人が腹に収めた金をかすめ取る金兵衛。死肉を漁る鮫の如き所業ではある。さらさら肯定する気はないが、人間の業の深さ、強欲ぶり。しかし、そこまでしても生きていこうとする、底辺に生きる人々のある種のしたたかさを感じる。…

  • 23面 「100年の歌びと」DESIRE-情熱 心つかむ歌唱力と表現力(三谷俊之)

    そうみんな堕天使ね 汗が羽根のかわりに飛んでる/何にこだわればいいの/愛の見えない時代の恋人たちね/まっさかさまに堕ちてdesire

    ソ連のチェルノブイリ原発事故が起こった1986(昭和61)年、日本は狂乱のバブル経済に突入していた。テレビは音楽番組が全盛の時代だった。中森明菜は伝説のオーディション番組「スター誕生!」(日本テレビ)に3度挑戦した。3度目は81年、高校1年の夏。歌ったのは山口百恵の「夢先案内人」。審査員の中村泰士は「明らかに声に艶が出ていた。完璧だった」と舌を巻いた。100点をつけようとしたが、電光掲示板は99点までしか表示されない。中村の抗議に収録は中断する。他の審査員の評価は低かった。必死に明菜の良さをアピール。結果392点という「スタ誕」始まって以来の最高記録を出した。
    80年に山口百恵が引退、81年にはピンク・レディ解散後の時代、アイドルたちがしのぎを削った。そのなかでも中森明菜と松田聖子が熾烈にせめぎ合っていた。聖子はデビューから週間チャートで24週連続1位の記録を持つが、レコード大賞は獲得していない。一方の明菜は85年『ミ・アモーレ』、86年には『DESIRE』で2年連続レコード大賞を受賞。阿木燿子が初めて明菜に作詞提供をした曲だ。おかっぱに着物をアレンジした独特の衣装と、リズムに合わせた体全体の振り。そしてウィスパー唱法からサビにいたる爆発するようなダイナミックレンジの広い唱法が人々の心をつかむ。
    明菜に『SOLITUDE』という作品がある。『DESIRE』の前作にあたる。
    ♪25階の非常口で、風に吹かれて爪を切る――不条理でシュールな詞句。このSOLITUDE=孤独というタイトルの唄には優れた歌が多い。ビリー・ホリディ(レディ・ディ)の『ソリテュード』、アマリア・ロドリゲスの『ソリダン』、ガルデルの『ソレタード』…。ジャズ評論家の平岡正明はこう評する。…

  • 24面 「坂崎優子がつぶやく」消費税還元 効果はや疑問

    10月から消費税が上がり、それに伴って9カ月限定のキャッシュレス還元も始まりました。うちの近所でも新たに電子決済を取り入れる店が増えました。初期導入費用や手数料が無料または安かったこと、店から店への紹介キャンペーンがあったことなどから、若い店主を中心に広がったようです。
    ただ店の実態はさまざまです。事業や決済についてよく理解している、出入り業者に手続きしてもらい早く登録できたものの、決済については今一つわかっていない。さらには導入したのに還元事業のことを知らないという店主もいました。
    決済事業者は営業には力を入れるものの、面倒な申請に関しては手を貸さないところが多く、日々の仕事に追われ資料に目を通す余裕がない店舗は、申請が先送りになる状態です。
    消費税還元事業の開始時のデータでは、登録済み店舗は50万件で対象店舗の4分の1程度。申請しているのに10月1日に間に合わなかったのは30万件ほどです。「キャッシュレス・ポイント還元事業」のサイトを見ると、例えば9月26日までに申請した分は書類に不備がなければ10月21日から還元開始とあります。希望店舗がすべて登録完了する頃には事業が終わりそうです。
    登録店を探すアプリも、正しい住所で表示されない店があったり、一つの店が何度も出てきたりなど、不具合が指摘されています。私も何度か利用しましたが、使い勝手の悪さに辟易しました。
    その他、登録店の目印になるシールもなかなか届かなかったり、間違って届いたり。小さな店に「大量に送られてきた」などと聞くと無駄使いも気になります。
    この事業に当てられた予算は2798億円。ポイント還元はもとより、決済端末や加盟店の手数料などの事業者補助や広告費などにも使われているので、肝心のポイント還元の予算が途中で足りなくなるのではと危惧されています。
    消費税還元事業は景気対策が主な目的のはずですが、専門家の多くがその効果は期待できないと分析しています。還元の恩恵を受けられない人たちがいるのも問題です。私と同世代の人たちでさえ「何をどうするのかよくわからない」「なんだか面倒そう」と利用に消極的です。…

  • 25面~28面 読者からのお手紙&メール(文責・矢野宏)

    核兵器禁止条約
    批准求め意見書

    兵庫県芦屋市 千葉孝子
    一昨年、国連で採択された「核兵器禁止条約」は私たち被爆者にとって明るく大きな希望の光でした。しかし、核の傘を容認する日本政府は背を向けています。
    昨年6月の芦屋市議会に出した「国に『核兵器禁止条約』への署名・批准を求める意見書採択への請願書」は僅差で否決されてしまいました。4月の市議選で「非核平和宣言都市・芦屋の市議を目指すのなら」と、新人候補者の事務所にお願いに回りました。結果、当選議員9人のうち8人と落選した2人から家族・支援者を含めて38筆の署名が集まりました。
    8月後半から、9月議会への請願に向けて全会派にお願いと紹介議員への依頼に回りました。9月4日の民生文教常任委員会では、紹介議員さんの心のこもった口頭陳述、力強い弁論を経て4対2で可決。24日の本会議でも、公明党議員が12分間も執拗な反対討論を行いましたが、それにもめげず、12対8で可決しました。 長い長い道のりでしたが、また一歩前進しました。条約が発効し核兵器のない地球の実現まで、まだまだ頑張ります。
    (9月27日には青森市議会が「核兵器禁止条約への参加を求める意見書」を可決しました。黙っていたら、政府は背を向けたまま。一歩一歩頑張りましょう)

    停電で水が出ない
    災害への備え痛感

    千葉市若葉区 石井明美
    千葉はこれまで大きな災害に遭ったことがなく、県も政府も東電も油断していて台風15号を軽視していたのですね。県は被害規模や停電の実態さえ把握することなく、政府もメディアも組閣優先。東電は送電線の鉄塔周辺の整備を怠っていて鉄塔が倒れ、山道は倒木で修復作業の車が通れないというありさまでした。親族が住む房総半島南端は停電が長く続き、老人が一人で孤立していました。
    県内観測史上初という風速56㍍の台風通過で駐車場の屋根がはがれ、植木も倒れ、泥水とごみが流れて来て、その後始末も大変でしたが、幸い、私の住む房総半島の根っこ、千葉市の外れは3日か4日で停電が復旧しました。でも、我が家は自家水道で、地下水を利用しているため、これをくみ上げるポンプが動かなくなり、丸3日間、電気と水道が使えませんでした。電気が使えないと水道水も飲めないことを思い知らされ、「災害への備え」が全くなかったことを痛感しました。
    まさに身勝手で、今まで九州や関西方面で「台風による被害」などという報道があっても、被害を受けた方たちの大変さを思いやることもなく、過ごしていたことを強く反省させられました。いつも忙しく活動されている矢野さんが遠い関東の私にまで思いをかけてくださったこと、とてもうれしく、ありがたい思いで受け止めています。
    (私たちの生活が電気なしには成り立たないことを突きつけられました。停電だと夜は真っ暗でエアコンも使えず、テレビやスマホも見ることができず、情報も得ることができない。水道水も飲めなかったのですね)

  • 27面 「車イスから思う事」避難しなかった訳(佐藤京子)

    今回の台風19号は広い範囲で猛威をふるい、東日本の河川を氾濫させた。避難勧告情報がスマートフォンにたびたび届いた。幸い我が家は坂の途中にあるため、冠水することはなかったが、風で屋根が飛んだら……と不安だった。
    避難勧告のメールを眺めながら考えた。どのタイミングで避難すればいいのか。これまで避難したこともなかったが、テレビニュースで、屋根が吹き飛ばされた家屋や停電で真っ暗になった街を見て、本気で避難する気があるのか突き付けられた感じがした。 強くなる雨音を聞きながら時間が過ぎていく。結局、自宅に留まることにした。豪雨の中を避難して身体を冷やして体力を消耗することを恐れた。人の視線も気になる。自分で思うように行動できる自宅がいいと思った。それにニコル君もいる。介助犬とはいえ犬。避難者の中には犬の存在に疑問を持つ人も少なくないだろう。
    翌朝、テレビが映った。停電していない。屋根も見た限り異常なく、普段通りの一日が始まった。ニュース特番で、2階まで水浸しになったり泥水が入り込んだりした家屋を見て気持ちが痛んだ。同時に、丈夫な家を残してくれた亡き父に感謝した。…

  • 29面 「うずみ火掲示板」うずみ火への購読振込 ゆうちょ銀行の口座間送金で無料(編集部)

    いつも新聞うずみ火をご購読いただき、ありがとうございます。4月から新聞の振込手数料のご負担をお願いしていますが、消費生活アドバイザーでもある坂崎優子さんと「車いすから思う事」を連載中の佐藤京子さんから振込手数料が無料になるお得な情報を寄せていただきました。
    ゆうちょ銀行の口座をお持ちの方、購読料などを振り込んでいただく際、ゆうちょATM(現金自動預け払い機)を利用しての口座間送金なら振込手数料200円が無料になります。
    まず、ゆうちょATMに通帳かカードを入れて、画面の「ご送金」を選びます。次に「ゆうちょ口座へのご送金」をタッチすると、送金先(うずみ火の口座)の店番と口座番号を尋ねてきます。うずみ火口座の店番は「〇九九」。漢数字なので、画面に出てきたカタカナの中から「〇」(ゼロかレイ)の「セ」か「レ」を選んでください。次に画面を切り換えていき、「〇九九」を探しください。
    店番の次に口座番号を尋ねてきますので、「0279053」を入力してください。こちらは洋数字です。お送りした振込用紙をお持ちなら、そこに記された口座番号の頭に数字の「0」を付けたらOK。一度、送金すれば、口座情報を登録できますので、次回からもご利用ください。
    坂崎さんから「ゆうちょ銀行の口座同士なら無料ですが、他行でも、その銀行独自のサービスがあり、無料で送ることができる場合もあります」というアドバイスもいただきました。
    なお、10月1日から消費税が増税されましたが、うずみ火は当分の間、値上げせずにギリギリまで頑張ります。
    【ゆうちょ口座】
    店番「〇九九」 口座番号「0279053」
    【りそな銀行】
    梅田北口支店 普通1600090 うずみ火

  • 30面 「うずみ火掲示板」韓国はなぜ「徴用工」問題にこだわるのか 塚崎さん講演がDVDに(編集部)

    日韓関係が悪化するなかで、きちんとした歴史認識を持つため、9月の「うずみ火講座」で「韓国はなぜ『徴用工』問題にこだわるのか」と題して元大阪府立高校教員で関大非常勤講師の塚崎昌之さんに大阪の朝鮮人強制連行について語っていただきましたが、参加できなかった方のためにDVDを制作しました。
    韓国大法院の「元徴用工訴訟」判決から10月30日で1年。日本政府が韓国への輸出規制を強化したことで、観光や安全保障などにも暗い影を落としています。こうした対立を、一部メディアや政府があおるような対応をしていますが、対等で相互信頼の日韓関係を築くために私たちは何をなすべきか。塚崎さんが答えてくれています。
    塚崎さんは在日朝鮮人史が専門で、大阪の朝鮮人強制連行研究の第一人者。うずみ火講座では、戦中、戦後、現在の強制連行被害者への三つの加害について語り、「想像力豊かに被害者の思いに寄り添うことが求められている」と訴えました。
    当日参加できなかった人にも知ってもらいたいと、塚崎さんの了解を得て講演をDVDにまとめました(制作・DO―YAH企画)。職場や地域での学習会で役立てていただくため、レジュメもつけてお送りします。送料込みで1200円。申し込みは、新聞うずみ火まで。

  • 30面 編集後記(栗原佳子、矢野宏)

    「[10月22日が祝日なので、ゲラを前日までにいただけませんか」。あゆみ印刷さんからの電話で、新天皇の即位を祝う日が祝日であることを知った。新聞うずみ火の発送日は、恩師である黒田清さんの月命日の23日。台風19号による被災地取材を予定していたが断念せざるを得ない。5月1日に即位されたのに、なぜ、この時期に「即位礼正殿の儀」が…。元特攻隊員で立命館大名誉教授の岩井忠熊さんに取材した6月号を見返してみた。岩井さんはこう語っていた。〈戦前、天皇主権と国家神道に基いて践祚・改元・即位礼・大嘗祭などの儀式のあり方を決めた「登極令」という皇室令がありました。明治天皇が亡くなる3年前、代替わりを想定して制定され、今の憲法が施行される前日に廃止されたのですが、平成の代替わりで復活した。即位の礼と大嘗祭が秋に行われるのは、登極令に「即位の礼、大嘗祭は秋冬の間に行う」と規定されているからです〉。さらに、岩井さんはこうも言っていた。「天皇神格化と国家神道を徹底する立場からつくられたもので、国民主権と政教分離という原則に反するもの」。映画「新聞記者」の中で、内閣情報調査室のトップが言い放った台詞が蘇る。「この国の民主主義は形だけでいいんだ」。(矢)

  • 31面 うもれ火日誌(文責・矢野宏)

    9月2日(月)
     矢野 夜、MBSラジオ「ニュースなラヂオ」。毎日新聞外信部長の澤田克己さんに「悪化する日韓問題」について話を聞く。
    9月4日(水)
     矢野 午後、ラジオ関西「時間です!林編集長」出演。コメンテーターのトピックで「嫌韓報道に隠されたこと」について話す。
    9月6日(金)
     午後、クレオ大阪西でうずみ火講座。関西大非常勤講師の塚崎昌之さんが「韓国はなぜ『徴用工』問題にこだわるのか―大阪の朝鮮人強制連行から考える」と題して、戦中・戦後・現在の強制連行被害者への加害について語る。
     高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    9月7日(土)
     栗原 午後、クレオ大阪中央で9条連近畿主催の講演会。「南西シフトについて」
    9月8日(日)
     矢野 午後、大阪市大正区の大阪沖縄会館へ。MBS「ニュースなラヂオ」の収録で、「トークキャラバン」で大阪入りした沖縄県の玉城デニー知事にインタビュー。
    9月9日(月)
     矢野 夜、MBS「ニュースなラヂオ」で「玉城デニー知事に聞く 全国に訴えたいこと」。辺野古新基地建設をめぐり、なぜ民意が届かないのか、との問いかけに玉城知事は……。
    9月10日(火)
     矢野 夜、尼崎市内で「在日韓国研究所」所長の金光男(キム・グァンナム)さんを囲み、平石昇さん、荒木淳子さんと16日のシンポジウムの打ち合わせを兼ねて一杯。
    9月11日(水)
     西谷 昼過ぎ、ラジオ関西「ばんばひろふみ ラジオでしょ!」出演。午後から同じラジオ関西の「時間です!林編集長」に矢野が出演。千葉台風被害の最中の組閣に苦言。
     午後、読者の椎野昇次さんが今年もビール一箱を抱えて購読料の継続に。
    9月12日(木)
     栗原 陸自配備半年を迎えた宮古島を取材。14日帰阪。
    9月13日(金)
     高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    9月16日(祝)
     矢野 午後、エルおおさかで開かれた緊急集会「どうする日韓 どうなる米朝」で、コメンテーター発言した後、在日韓国研究所の金さんと中北龍太郎弁護士とのシンポジウムの司会を務める。夜、MBS「ニュースなラヂオ」。ファイナンシャルプランナーの、いちのせかつみさんに消費増税について話を聞く。
    9月17日(火)
     夕方、北海道新聞編集委員の辻岡英信さんが来社。
    9月18日(水)
     午後、工藤孝志さんが新聞チラシのセット作業に。
    9月20日(金)
     新聞うずみ火10月号の発送日。澤田和也さん、小泉雄一さん、樋口元義さん、友井健二さん、西村勝さんがお手伝いに。ありがたい。
     高橋 朝、和歌山放送ラジオ「ボックス」出演。
    9月22日(日)
     西谷 午後、大阪市西区民センターで開かれた西区平和展で「こんなものいらない!消費税、戦争、そしてカジノ」
    9月23日(祝)
     矢野 夜、MBS「ニュースなラヂオ」。東京電力旧経営陣の無罪判決を受け、TBSラジオ記者の崎山敏也さんに話を聞く。
    9月25日(水)
     午後、ラジオ関西「ばんばひろふみ ラジオでしょ!」に西谷が、「時間です!林編集長」に矢野が出演。消費税増税は必要なのかを訴える。
     午後、事務所で茶話会。「窓友新聞」の読者だった高槻市の岸田典子さんが初参加。
     夕方、鈴木祐太さんが来社。
    「就職が決まりました」
    9月26日(木)
     矢野 昼過ぎ、ラジオ大阪「早起き情報スタジオ」収録。
    9月27日(金)
     夜、事務所で定岡由紀子弁護士による「憲法BAR」
    9月28日(土)
     矢野、栗原 午後、名古屋へ。愛知芸術文化センターなど4会場で開催中の「あいちトリエンナーレ」を取材。
    9月29日(日)
     西谷 午後、吹田の事務所で「路上のラジオ」収録。
    9月30日(月)
     矢野 夜、MBS「ニュースなラヂオ」。甲子園球場で行われた阪神―中日戦の中継で2時間遅れのスタート。第一声は「阪神ファンの皆さん、おめでとうございます」。時事通信社解説委員の山田恵資さんに10月4日からの臨時国会のポイントを聞く。

  • 32面 うずみ火講座・忘年会のお知らせ(文責・矢野宏)

    11月の「うずみ火講座」は15日(金)、大阪市此花区西九条のクレオ大阪西で開講します。
    日韓関係が悪化するきっかけとなった「元徴用工訴訟」の韓国最高裁判決は10月30日で1年。相互不信に出口はあるのか。韓国の文大統領が進める「検察改革」で世論が二分する中、4回目の米朝首脳会談の開催がささやかれている。日本の取るべき道について、金光男さんに解説していただきます。
    【日時】11月15日(金)午後6時半~
    【会場】クレオ大阪西2階の研修室(JR・阪神「西九条駅」から徒歩4分)懇親会あり
    【資料代】読者1000円、一般1200円、学生・障害者700円

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