新聞うずみ火 最新号

2019年10月号(NO.168)

  • 1面~3面 関東大震災96年 朝鮮人犠牲者を追悼(栗原佳子)

    1923年9月1日に発生し、死者・行方不明者10万5000人を数えた関東大震災。混乱の中で流言が広がり、「自警団」や軍によって多数の朝鮮人が虐殺された。それから96年。東京・墨田区の都立横網町公園では市民による朝鮮人犠牲者追悼式典が行われた。小池百合子都知事は今年も追悼文送付を拒否。目と鼻の先では史実否定派が「慰霊」名目の集会を同時並行的に実施、静かな追悼の場をかき乱した。

  • 4面~5面 塚崎昌之さん講演「韓国はなぜ『徴用工』」問題にこだわるのか」(文責・矢野宏)

    新聞うずみ火主催「うずみ火講座」が9月6日、大阪市此花区のクレオ大阪西で開かれ、元大阪府立高校教員で関西大非常勤講師の塚崎昌之さんが「韓国はなぜ『徴用工』問題にこだわるのか」と題して講演した。塚崎さんは在朝鮮人史が専門で、大阪の朝鮮人強制連行研究の第一人者。戦中戦後、現在の強制連行被害者への三つの加害について語り、「想像力豊かに被害者に寄り添おう」と訴えた。講演要旨をお届けする。 

  • 6面~7面 オモニと夜間中学「療養中の兄励ます 向学心に燃える母」(矢野宏)

    「兄の容態が良くないとの連絡が入りました。これから上京します」。大阪市東成区の会社員、金春実さん(60)から連絡が入った。在日2世の金さんは7人きょうだいの末娘。上の6人は男ばかりで、66歳の5男が胆管がんを患い、長い闘病生活の末に東京都練馬区の自宅で療養している。 「その兄を励ましたい、せめてもの思いをかなえてあげたい」と、ファクスが届いたのは8月中旬のことだった。…

  • 8面~9面 柔道世界選手権観戦記(粟野仁雄)

    久しぶりに日本で行われた柔道の世界選手権。取材証を受け日本武道館に8日間、通った。まずは関西勢から。阿部詩(19)は2連覇。決勝の開始30秒、仕掛けた釣り込み腰は腰高で無理かと思ったが、ロシアのベテランは吹っ飛んだ。準決勝の寝技も見事だった。兄妹で五輪出場を目指すが、同じ日に試合があった兄の一二三(21)は黄信号がともった。…

  • 10面~11面 「ヤマケンのどないなっとんねん」1強にあぐら 鈍感内閣(山本健治)

    周知のとおり、安倍首相は9月11日午後、伊豆諸島、鎌倉・横浜など神奈川県下、千葉県で、想定以上に大規模で強力な台風による被害が発生していたにもかかわらず、それへの対応をしないで、自民党役員人事を行い、第4次安倍再改造内閣を発足させた。「安定と挑戦の強力内閣」、政治が安定し、時代が要請する課題に果敢に挑戦することは国家・国民にとって必要なことだと言いたかったようだが、今回の党人事・内閣改造は前日にすべて決まっていたように、国民のことより、自らの体制維持のためのスケジュール消化のようなものでしかなかった。…

  • 12面~13面 「ゴジラと憲法」台風対応よりも組閣(高橋宏)

    今月9日未明、過去最高クラスの勢力で千葉県に上陸した台風15号は、伊豆諸島や千葉県を中心に甚大な被害を与えた。15日現在で、式根島などは未だに被害の全容は明らかではなく、千葉県では南部を中心に14万戸が停電している。直接的被害で2人が死亡し、その後の停電の影響による熱中症で3人が亡くなった。今後は、大雨などでさらに被害が広がる恐れが出ている。…

  • 14面~15面 「世界で平和を考える」タリバンの本音(西谷文和)

    2010年2月、アフガニスタン首都カブールは大雪に見舞われていた。アフガンというと「砂漠の暑い国」というイメージだが、カブールの冬は寒い。5000㍍級のヒンズークシュ山脈を見上げる高原都市カブールの冬の気温は氷点下20度まで下がる。難民たちの多くは冬に死ぬ。布切れ一枚のテントでガスなし電気なし暖房なし。風邪をこじらせ、肺炎で亡くなる子供たちをたくさん見てきた。…

  • 16面 「こちらうずみ火編集部」宮古陸自配備「迫るミサイル弾薬庫着工」(栗原佳子)

    政府が進める南西諸島の防衛力強化に伴い沖縄・九州への陸上自衛隊部隊増強が加速している。半年前、駐屯地が開設された宮古島(沖縄県宮古島市)もその一つだ。

  • 17面 「こちらうずみ火編集部」京都の金さん再審無罪「スパイでっち上げ 大統領謝罪」(栗原佳子)

    朴正熙政権下の韓国で1975年、中央情報部(KCIA)=現・国家情報院=がねつ造した「在日同胞学園浸透スパイ団事件」で逮捕された在日韓国人、金五子(キム・オジャ)さん(69)=京都府=の再審公判で、8月22日、ソウル高裁は金さんに無罪を言い渡した。事件から44年。無罪を勝ち取った在日元政治犯は35人になった。

  • 18面 「こちらうずみ火編集部」玉城・沖縄県知事に聞く「『自分ごと』思い共有」(矢野宏)

    沖縄の米軍基地問題を知ってもらおうと、玉城デニー知事による「トークキャラバン」が9月8日、大阪市大正区の大阪沖縄会館で開かれ、300人が詰めかけた。強引に進められる辺野古新基地建設をめぐり、民意がなぜ政府に届かないのか、本土の人間はどう向き合えばいいのか、知事にインタビューした。 

  • 19面 「こちらうずみ火編集部」空襲記録する会全国大会「体験が示し語る恐怖」(矢野宏)

    全国各地で空襲を語り継ぐ活動をしている人たちが集う「第49回空襲・戦災を記録する会全国連絡会議・山梨大会」が8月31日と9月1日、甲府市の山梨学院大で開かれた。21都道府県から参加した約100人が甲府空襲の体験者による講演や各団体の実践報告に聞き入った。

  • 20面 「こちらうずみ火編集部」ワンコリアフェスティバル「アジアの未来を共に」(矢野宏)

    日韓関係が冷え込む中、朝鮮半島の統一と東アジアの平和を願う音楽イベント「ワンコリアフェスティバル2019」が8月25日、大阪市中央区のドーンセンターで開かれた。在日コリアンの歌手のほか、韓国を中心にアジアで活躍するK‐POPアイドルが迫力ある歌やダンスを披露し、会場から大きな歓声や拍手が寄せられた。

  • 21面 「経済ニュースの裏側」原爆症認定 厳格なまま(羽世田鉱四郎)

    8月12日と13日に夫婦で広島に行きました。私事ですが、「母を探す旅」でした。日赤の看護師だった妻の母は、原爆投下直後の広島に派遣され、被爆者の救護活動にあたりました。20歳そこそこだったかと。その後、終戦となり、帰還命令があり、後に帰省し、結婚しましたが、13年後に、幼い2人を残して旅立ちました。妻は、長い間、母のことを語ることが少なく、悲しみと沈黙の深さを間近で再認識させられました。…

  • 22面 「会えてよかった」武村豊さん⑤(上田康平)

    やがて首里の攻防戦が激しくなり、学徒も24時間勤務に。「壁にもたれ、立って眠った」と豊さん。米軍がせまり、病院管理ができる状態ではないと、6月4日、山第一野戦病院が解散。学徒隊に解散命令が言い渡された。…

  • 23面 「落語でラララ」珍芸四天王(さとう裕)

    いつの時代も芸人は売れてなんぼ。若手は特に知恵を絞る。どんなことをしても人気者になりたい。明治初年頃は三遊亭圓朝を頂点に、落語の名人上手が綺羅星のごとくいた。だが、政府は寄席を厳しく取り締まった。風紀が乱れるというのだ。権力は往々にして笑いを目の敵にする。自分たちが笑いの標的にされるのを嫌って。役人も政府高官も、自堕落な生活をしながら庶民には厳しかった。…

  • 24面 「100年の歌びと」北の宿から(三谷俊之)

    都はるみが一時引退をしたのは1985年12月末だった。引退は子どもを生みたいという思いや、歌手として一番いい状態で幕を閉じたいということ。それにもう一つ理由があった。『北の宿から』は76年の日本レコード大賞、日本歌謡大賞、日本有線大賞と史上初めてトリプル受賞だったが…

  • 25面 「坂崎優子がつぶやく」中途半端な「深い学び」改革

    お盆に帰省した息子が「この国はもうダメかもしれないなあ」とつぶやきました。未来の自分に期待し、わくわくした気持ちで社会に出たはずなのに何があったのか。就活時から交流があったメンバー数人と就職後初めて会ったといいます。それぞれの仕事の話を聞くのが楽しみだったのに、そんな話はほとんど出てこなかったとか。…

  • 26面~29面 読者からのお手紙&メール

  • 28面 車イスから思う事(佐藤京子)

    普段、移動の際には自分で車を運転している。車は大好きだが、運転の技術は十人並みである。ほぼ毎日運転しているので、同乗者が自分の運転に恐怖を覚えるほど下手ではないと思っている。だが、ある日を境に、どうもあおられているのではないかと思うことが多くなった。法改正で、「クローバー」のマークを貼るようになってからだ。幅寄せされたり、これ見よがしに追い越されたり。マークの本来の意味はクローバーマークの運転者を「保護」するはずであった。…

  • 30面 編集後記(栗原佳子、矢野宏)

    普段、移動の際には自分で車を運転している。車は大好きだが、運転の技術は十人並みである。ほぼ毎日運転しているので、同乗者が自分の運転に恐怖を覚えるほど下手ではないと思っている。だが、ある日を境に、どうもあおられているのではないかと思うことが多くなった。法改正で、「クローバー」のマークを貼るようになってからだ。幅寄せされたり、これ見よがしに追い越されたり。マークの本来の意味はクローバーマークの運転者を「保護」するはずであった。…

    8月に日本を訪れた韓国人旅行者数が前年同月と比べて半減したことが、観光庁の調査で明らかになった。韓国人客に人気だった観光地を抱える地方への影響は全国に広がっているという。そもそも、この責任は誰にあるのか。…

  • 31面 うもれ火日誌(矢野宏)

    8月1日(木)
    矢野 午前、岐阜県大垣市へ。1945年7月24日の空襲で父親を亡くした戦災遺族会会長の安田寛さん、「空襲体験を語り継ぐ大垣の会」の高木正一さんに話を聞く。…

  • 32面 うずみ火講座 10月12日(土)午後3時~生野コリアタウン散策

    深刻化する日韓関係、私たちはどう向き合えばいいのか。まずは知ることと、10月の「うずみ火講座」は12日(土)、大阪市生野区「生野コリアタウン」をフィールドワークします。

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