戦時中、山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」で落盤・水没事故が起き、183人の労働者が亡くなった。その7割が朝鮮半島出身者だった。事故から82年、海底に眠る遺骨の発掘・返還を目指す地元の「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会(刻む会)」の活動が本格化した。炭鉱の出入り口(坑口)を掘削、プロのダイバーが潜水調査を実施し、遺骨収集の可能性が見えてきた。地方の小さな市民団体の取り組みが、本来責任を果たすべき国を揺さぶっている。
長生炭鉱は周防灘に面した床波海岸にあった。海に突き出した2本のコンクリート製のピーヤ(排水・排気筒)が海底炭鉱の名残をとどめる。そのピーヤにつながる坑道の入り口から10月30日、初の潜水調査が行われた。
坑口は幅2・2㍍、高さ1・6㍍。左側はトロッコが走り、人間はその横をかがんですれ違うのがやっとと。水中探検家の伊佐治佳孝さん(36)は花を供え黙とうすると、「刻む会」共同代表の井上洋子さんらが見守る中、坑口へと向かっていった。
伊佐治さんは閉鎖環境でのダイビングをインストラクターとして指導するプロダイバー。自身の経験が役に立てばと、ボランティアを申し出ていた。
前日の29日は2本のピーヤのうち、陸に近い「岸のピーヤ」を調査した。この日は82年ぶりに坑口から坑道に入り、実際に坑道に潜れるのか、可能ならどこまでいけるかなどを確認し、坑口からの遺骨収集の可能性を探る狙いがあった。
伊佐治さんは約40分後、真っ暗な坑道から帰還。「木片や構造物が散乱し、視界は手元がギリギリ見える程度」だが、懸念された崩落などはなく、200㍍地点まで入れたと説明した。2本のピーヤのほぼ中間。坑道の中で最も深く、多くの遺骨があるとみられる場所まであと100㍍だ。
「命綱が約200㍍だったので引き返しましたが、もっと奥まで入れます。ここから継続して潜水作業をすることで遺骨回収につながると思います」
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11月17日に投開票が行われた兵庫県知事選は、議会の不信任決議を受けて失職した前知事の斎藤元彦氏(47)が再選された。劣勢から押し上げたのがSNS(交流サイト)での発信だ。「斎藤氏は陥れられた」との真偽不明の情報が拡散され、有権者に同情論と支持が広がった。誹謗中傷が相次ぎ、「ネットの暴力」は告発文書問題を検証する県議会の調査特別委員会(百条委員会)の委員にも向けられた。兵庫県の分断と対立はまだ続きそうだ。
選挙戦の序盤は、自民党県連の多数派や立憲民主党系の団体、連合などが推した稲村氏がリードしていた。出直しを決めた斎藤氏だったが、マスコミ報道や世間の目も厳しいものだった。
ところが、SNSで「斎藤氏は既得権益と戦う改革派知事で、むしろ被害者だった」との言説が広がり、形勢は大きく変わっていった。それを積極的に仕掛けたのが「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)だ。
終盤の11月13日、神戸市東灘区の阪神御影駅前。平日の夕方にもかかわらず、数百人の聴衆が集まっていた。
午後4時過ぎ、斎藤氏が姿を見せると、大きな拍手が湧き起こった。
「斎藤元彦を引きずり下ろそうとした県議会、メディアの偏向報道に負けるわけにはいかないのです」。支持を訴えた斎藤氏が去った後も、ほとんどの聴衆はその場を離れようとしない。ほどなく、黄色い選挙カーが滑り込んできた。マイクを握った立花氏は、集まった数百人の聴衆に向けてこう問いかけた。「斎藤知事のパワハラってあったのでしょうか」
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南西諸島の防衛力を強化するとして政府が推し進めてきた自衛隊の「南西シフト」。一昨年末に閣議決定した安保3文書の改定以降、「台湾有事」の名の下で配備・増強が一気に加速、宮古・八重山諸島の住民の島外避難計画へとエスカレートしている。宮古島で取材した。
宮古島では2019年3月、島中央のゴルフ場跡地に陸自駐屯地が開設され警備部隊が駐屯、翌20年にミサイル部隊も配備された。19年に北部の保良地区で弾薬庫建設が始まり、21年に弾薬搬入。いまは3棟目の弾薬庫建設が進む。
「この島からいつでも戦争を始められるための準備が進んでいる」。市民で作る「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」共同代表の清水早子さん(75)はそう強い危機感を示す。
駐屯地ではいまも工事が続く。ヘリパッドに転用されるグラウンド整備。隣接する畑地には測量の痕跡があった。昨年、突然浮上した電子戦部隊の追加配備。駐屯地にも近い畑の中には数カ月前、謎のレーダー群も出現した。
政府は宮古・八重山諸島の5市町村を対象にシェルター整備も進める。宮古島では市の新総合体育館の建替えに合わせ、地下に避難設地を整備するという。しかし人口5万5千人に対し「4500人が3日間」という設定だ。
「武力攻撃予測事態」になった場合、民間機やフェリーなどで九州・山口の8県に避難させる計画の策定も進む。宮古島は鹿児島、福岡、熊本、宮崎の4県に分散するという。
「もし避難したとして、島に帰れるの? 避難先で生活するとしたら、収入はどうするの? 仕事はあるの? 本当におかしな話だと思います」
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「台湾有事」を名目に自衛隊増強が進む南西諸島。中でも与那国島(沖縄県与那国町)は台湾との距離が111㌔と最も近く、急速に防衛力強化が進められてきた。与那国島在住の山田正幸さん(72)が11月16日、うずみ火講座で実情を訴えた。
山田さんは元高校教諭で2017年に京都から移住。10月末からは東北、関東、関西の13カ所で島の実情を伝える行脚を実施、この日もその一環で、戦跡ミニツアーとの共催で開いた。
与那国島には16年に陸上自衛隊与那国駐屯地が開設され、沿岸監視隊が駐屯した。今年は電子戦部隊が発足、ミサイル部隊配備も既定路線となっている。駐屯地と一体の「軍港」整備、空港の滑走路延長計画は航空自衛隊配備を想定した動きともみられている。
冒頭、山田さんが紹介したのは陸自の輸送機オスプレイの事故映像。駐屯地内で日米共同統合中の10月27日、離陸時に左翼が地面に接触し、機体を損傷した。
「陸自のオスプレイなのに米軍が現場検証していました。04年に宜野湾市の沖縄国際大学に普天間基地のヘリが墜落した際は米軍が県警を締め出し、捜査が難航しました。オスプレイの事故は一つ間違えれば大惨事。しかし町は関わろうともしません」
いま、住民たちが強く案じているのが有事の島外避難。国は宮古・八重山の5市町村計12万人を、九州や山口の8県で受け入れる構想を発表。与那国島は佐賀が避難先とされている。
今年8月、一昨年に続いて2度目の住民説明会があった。電気、水道、石油、ガス、航空機や船を動かす人がいなくなる想定が示された。「残りたくても現実には難しい」
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太平洋戦争末期、本土決戦に備えて長野県松代町(現・長野市松代町)に構築された「松代大本営」地下壕。工事に従事した7割は朝鮮人労働者だった。10年前には市の説明板の「強制的に」の表記を、市がテープで隠したことが発覚、問題化した。着工の発破がさく裂して80年となった11月11日、現地では、朝鮮人犠牲者らを追悼し、史実の継承を誓う集会などが開かれた。
三方を山に囲まれた静かな城下町・松代。1944年11月11日、「松代倉庫工事」と称した極秘の工事が始まった。国の主な機関を移す計画で、松代の山々を中心に、地下壕が掘り進められた。
11月10日、地下壕保存やガイドなどを行うNPO法人「松代大本営平和祈念館」の北原高子さんが松代大本営について講演した。「ヒロシマ講座」(竹内良男さん主宰)が企画した首都圏からの平和ツアーの一環。北原さんは構築の目的をこう説明した。「当初は米軍の空襲を避けるため。45年に入ると本土決戦の備え。6月21日、視察した阿南惟幾陸軍大臣は第32軍の牛島満司令官に『貴軍の奮闘により、今や本土決戦の準備は完整せり』との決別電報を打ちました。牛島司令官らは翌日か翌々日に自決。敗戦必至となった、7月は三種の神器を祀る『賢所』の構築が命じられました。国体護持が目的だったのです」
地下壕は長野市管理の500㍍区間が公開されており、翌11日、ガイドが一行を案内した。入口には市が設置した2代目の説明板があった。
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10月23日朝、名古屋高裁金沢支部。決定書交付は午前10時、女性弁護士が庁舎からゆっくり歩いてきたので「ダメだったか」と思ったら再審開始決定の垂れ幕を広げた。拍手と歓声の中、裁判所から両手を突き上げて現れたのは前川彰司さん(59)。「ありがとうございました。今日は一つの区切りになります」と喜んだ。
女子中学生を殺したと逮捕されてから37年以上が流れていた。会見では「冤罪に苦しむ人はたくさんいますが、簡単には再審にはなりません。弁護士さんや支援者の皆さんのおかげで再審を勝ちとることができました」と話した。嘘の証言をした仲間について問われると「恨みがないと言えば嘘になりますが、仕返しはしません」と安心させた。 1986年3月20日未明、福井市の市営住宅で、中学3年の高橋智子さん(当時15歳)が殺されているのを帰宅した母親が見つけた。シングルマザーの母親はスナックの仕事に出かけていた。
智子さんが殺されたのは19日午後9時40分頃。2本の文化包丁で顔面や首、胸をめった刺しにされるなどしていた。争ったような跡はなく凶器は智子さんの家にあった。福井県警捜査本部は、夜、智子さんが一人になることを知る顔見知りの怨恨による犯行とみて、交友関係者やシンナー中毒の若者も捜査対象とした。当時、若者のシンナー中毒が社会問題だった。21歳だった前川さんも聴取を受けたが無関係とされていた。
有力な物証もなく捜査は難航したが、1年後の87年3月29日、捜査本部は車に残されたO型の血痕が智子さんと一致したとして前川さんを殺人容疑で逮捕した。決め手は遊び仲間の暴力団員Aの「事件の夜、血だらけの前川を見た」との証言だった。警察と検察は、遊び仲間の証言から次のようなストーリーを作った。
……
今月号ではアメリカ大統領選挙、日本の総選挙、そして我々関西人としては兵庫県知事選を取り上げないわけにはいかない。大阪で全勝したが地方で負け、代表が辞任した維新の代表選もあるが、これは次号で取り上げる。
まずは兵庫県知事選。斎藤知事による職員に対するパワハラ、視察先からの贈答品の私物化、ねだりなどが告発され、さらに内部通報保護制度で告発されたにもかかわらず保護法をまったく無視して懲戒処分し、内部通報した職員が自殺したことなどから県議会100条委員会で追及される中、全議員の賛成で不信任案が可決され、失職を選んで出直し選挙となり、斎藤前知事が立候補し当選したが、県民は何を考えてこんな結果にしたのか、とりわけネットで騒いだ連中に問いたい。
知事を失職に追い込んだ政党、各会派がバラバラで県政刷新、パワハラ・贈答品私物化をさせない統一候補を立てられなかっただけではなく、不信任したはずの自民党は候補を立てることができず、選挙になると斎藤支持OKのようなことをしたことが返り咲きを許してしまったのだ。こうなればミソギは終わったと言って、トランプ次期アメリカ大統領のように過去はすべてチャラ、これからはやりたい放題させてもらうという知事になってもらいたくないと願うばかりであるが、今後、県民の信託結果が厳しく問われる。
これは総選挙でも同じで、せっかく与党の自民・公明を少数派に追い込んでも、野党がバラバラではどうしようもない。これは選挙前からわかっていたことだが、それを理解せずバラバラに闘った結果、政治腐敗を根底から明らかにして根本的刷新することにならないのである。
みんなの生活を豊かにするためには賃金、収入をもっと引き上げることが肝心なのに103万円、130万円、173万円の壁が問題だと、これをすれば税金・社会保険料を払わないですむなどとチマチマしたことを言っているからどうしようもないのである。 いま日本の平均所帯収入は統計では約430万円だが、シングル家庭の女性たちは300万円以下であり、貧困家庭はもっと厳しい。石破首相は賃金引き上げが大事だと言いながら教員給与引き上げは棚上げし、自衛隊員の給与引き上げは実施するとした。結局は石破首相は以前からずっと憲法を変え、自衛隊を軍隊にし、国防を強化すると言ってきたが、それが首相が言う「日本の国を守る」で、改憲と軍国化である。
……
パレスチナ自治区、ヨルダン川西岸の「首都」ラマラに入った。西岸でもイスラエル軍に殺害された人々が約600人(2024年3月時点)もいることを知った。ユダヤ兵士がアラブ人を殺しても捕まらないし、国際的なニュースにもならない。ロシア軍が侵攻したウクライナであれだけ大騒ぎした欧米は、イスラエルの大虐殺には目をつぶる。見事なダブルスタンダード。その大虐殺の現場、ガザはどうなっているのか? いよいよ最後のガザ編を書き記す。
3月19日、ドライバー兼通訳はユダヤ人のロニー。18歳で徴兵され、1982年のレバノン戦争に従軍している。彼はユダヤ社会の多数派で「ハマスをせん滅するまで戦争を続けるべき」と考えている。30年前のレバノン戦争でアラブ軍と戦い、死にそうな目にあっているので「アラブ許すまじ」と思っているのだ。軍では徹底的にユダヤへの愛国心とアラブへの敵愾心を叩き込まれる。実際の戦争になれば、殺すか殺されるか。徴兵制が恐ろしいのは、人々から「寛容な多文化共生」の心を奪っていくこと。いったん戦争を経験してしまうとなかなか相手を許すことができない。トゲトゲ、ギスギスの社会になってしまう。
エルサレムは大雨。雷鳴が轟く中、高速道路を突っ走ること1時間半。ガザに近づくにつれて晴れ間が見えてくる。ガザはネゲブ砂漠に近いので、エルサレムより降雨量が少ない。ガザから約5㌔の地点、とあるバス停前で車を止める。日常的にハマスのロケット弾が飛んでくるので、バス停の隣には必ずシェルターが付随している。
昨年10月7日、ハマス戦闘員がこの街、スデロット市にやって来た。キブツ(集団農場)での大量殺人から逃げて来た人々、約40名がこのシェルターに隠れる。やがて発見され、手榴弾が投げ込まれて全員が殺されてしまう。シェルター内部には多数の銃痕、そして死を悼むロウソクと犠牲者の写真。
……
10月29日、東北電力の女川原発2号機が再稼働した。東京電力の福島第一原発と同じ沸騰水型であること、東日本にあること、そして被災した原発であるということでも、再稼働は初めてのことだ。再稼働後まもなく、11月3日に発送電の準備中に発生したトラブルのために、原子炉を停止。原因はナットの緩みであると判明し、13日に再起動している。最大の課題である住民避難について懸念が解決されないままの再稼働だった。
先の総選挙でも、一部の現地を除いて原発問題はほとんど争点にならなかった。与党が過半数割れを起こしたとはいえ、原発推進を掲げる政党が相変わらず過半数を占めている。そして11月14日、国内で稼働する原発で最も古い関西電力の高浜原発1号機が、運転から50年を迎えた。福島第一原発事故の教訓が忘れ去られたかのように、原発回帰が進む日本。原発事故の被災者たちは、どのような思いで見ているのであろうか。
今一度、この夏に福島市で開催された「第63回社会教育研究全国集会」に話を戻す。私が世話人を務めた「平和のための学習・文化活動分科会」で、福島県立福島東高校教諭の渡部純さんの報告を紹介したい。渡部さんは「原発事故と〈記憶のケア〉・原発事故を教えることをめぐる困難の〈現在〉」というタイトルで、事故後13年余りの自身の経験を報告した。
渡部さんはまず、事故の年に小学校に入学した高校生が、昨年開催されたイベントで行った発言を紹介した。小学校入学後、集団下校をしていると、数十社のメディアが取材に来て、翌日の新聞に「春から新しい風」という見出しとともに、写真を掲載された経験を振り返り、「私たちのことが『復興』の宣伝に使われたような気持ちがしました」と述べたという。
事故直後から、福島県では「復興」が声高に叫ばれていて、それにそぐわない小さな声は語りづらくなっていた。その傾向は年を追うごとに強まり、最近では「汚染水」という言葉一つとっても、学校現場では使えないぐらいの抑圧があるという。渡部さんは「復興にあらがうような、抵抗するような話はなかなかしにくい。そのような中で被災経験を後世に伝えていけるのでしょうか」と問題提起した。
その上で渡部さんは原発事故後の福島では、政治が子どもの主体的な学習活動を手段化する「教育の政治化」といえる状況があったと指摘する。もともと、原発PRのために、子どもを手段化するような例は、事故前から枚挙にいとまがなかった。双葉町に掲げられていた「原子力明るい未来のエネルギー」という標語は、当時の小学生が応募して表彰されたものだ。
……
安田さんに野火賞
【兵庫】韓国の光州事件で民主化運動の指導的役割を果たし、軍による弾圧の犠牲になった「野火夜学」の講師や学生ら7人の精神を称える「第19回野火賞」をJR西日本労働組合元執行委員長の安田昌史さん=姫路市在住、写真㊧=が受賞した。韓国の民主主義の発展に貢献した人に贈られる野火賞が日本人に授与されるのは初めて。
韓国の「野火烈士記念事業会」は授賞理由について、「2003年の韓国・大邱(テグ)地下鉄事故慰霊祭に参加して大邱地下鉄労組と交流協定を結び、国民の生命権のための連帯を進め、セウォル号の遺族をJR福知山線脱線事故の慰霊活動に招くなど、慰労共同体の形成に貢献するなど、労働運動が進むべき新しいモデルを提示した」ことが評価された。
10月28日に大阪市淀川区の韓国料理店「セント」で祝う会が開かれ、同事業会のキム・サンホ常任理事から「不義に立ち向かって闘う勇気と、すべての弱者たちとともにする連帯精神を通じて、野火運動が歩むべき道を学ぶことができた」とのメッセージが送られた。 (矢野)
12月1日「運命」演奏
【大阪】高槻市の衛藤和彦さんがコンサートマスターを務める「高槻室内管弦楽団」の第19回定期演奏会が12月1日(日)午後2時~高槻城公園芸術文化劇場南館トリシマホールで開かれる。
高槻室内管弦楽団は「高槻市に市民のオーケストラを」の呼びかけで、2006年8月に誕生した。高槻市や周辺に住む学生や主婦、会社員らが年齢・性別・職業に関係なく誰でも参加できる楽団で、月2、3回の合奏練習を行い、定期演奏会を年1回開催している。
19回目を迎える定期演奏会では、ベートーベンの「運命」やモーツアルトの「ジュピター」などを披露する。入場無料(先着1000名)。問い合わせは奥村さん(090・3844・8461)。(矢野)
田中正造カレンダー
【埼玉】NPO法人「田中正造記念館」が、田中正造の言葉から新しい年にふさわしい一言を選んで載せる「田中正造カレンダー」を4年ぶりに復活させた。「渡良瀬川研究会」顧問で「田中正造とその周辺」の著書もある赤上剛さん(83)=草加市在住=が、その言葉の背景や活動内容などに詳細な解説を別刷りでつけている。
2025年版に選ばれた言葉は「天の監督を仰がざれば凡人堕落 国民監督を怠れば政府盗(とう)を為す」。赤上さんは、「しっかりした国民が政治家を日々監督しないと、政治家は不正を働くとの意味で、まさに現代にぴったりの警句ではないでしょうか」と話している。
カレンダーはB2判一枚。一部500円。問い合わせは同記念館(0276・75・8000、ファックス75・8013)まで。 (矢野)
2019年6月のG20大阪サミットで、日本は「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提案し、各国間で共有されました。それに関して、国内では「海岸漂着物処理推進法」の改訂などの法整備、海洋プラスチックごみ研究の促進と情報の共有などが進められてきました。東京農工大の高田秀重教授や九州大の磯辺篤彦教授をはじめとする非常に高いレベルの研究や、環境省の調査レポートなどがあります。
しかし、20年初頭からのコロナ感染症拡大に伴い、海洋プラスチック問題はフェードアウトした感があります。その中で、それらの大規模な調査報告とは別に、身近な海岸のプラスチックごみ問題の実態はどうなのかと疑問を持ち、昨年から個人で調査を行っています。
環境省のデータで、海外由来が多いとされる山口県下関地域の漂着ペットボトルの製造国別割合は、韓国55%、日本22%、中国21%というものがあります。ところが現場に行ってみると、7~9割はラベルがはがれ落ちていて、ラベルから製造国は判別できません。長い時間漂流したものほどラベルがはがれるとすると、海外由来のペットボトルの割合はもっと多い気がします。
一般社団法人「プラスチック循環利用協会」はペットボトルのリサイクル率が85%以上、発泡スチロール協会では発泡スチロールのマテリアルリサイクル率51%、エネルギーリカバリー率41%で、有効利用率92%としています。データを見る限り、ほとんどがきちんと廃棄物処理が行われているようですが、海岸の場所によっては膨大な量のペットボトルや発泡スチロールが打ち上げられています。5㍍四方に数十本のペットボトルがあったり、岩陰に直径60㌢ほどの発泡スチロールがゴロゴロしているところも珍しくありません。もちろん、海外由来の可能性はありますが、現実にプラスチックごみが身近な海岸にあるのです。
観光地の海岸は、自治体やボランティアにより、ごみの量は少なくなっています。ところが、人が海岸に入りにくい崖下など、場所によって大量に漂着し、堆積しているところがあります。そういう場所は岩場など足場の悪い所が多く、回収は危険かつ困難で、船で回収するしかないのでは、と感じています。また、危険な薬品や農薬の容器、プロパンガスボンベなどもあり、作業は細心の注意が必要だと考えます。
一方で、ペットボトルや樹脂製のブイなど、回収分別すると再資源化や燃料化が可能と思われるものもあり、その道筋ができると良いなとの興味に支えられて調査を続けています。(山口県光市 飯田伸仁)
憲法・法律学習会から
宜野湾市平和な空を守る条例
制定請願運動へ
宜野湾市平和な空を守る条例制定
請願運動については、時間がなく、
ほとんどお聞きできなかったが、取
材といただいた「宜野湾市平和な空
を守る条例制定請願運動の記録」を
もとに運動の経過や先生の考えをこ
れから書かせていただく。
2016年の米軍元海兵隊員によ
る沖縄女性に対する暴行致死遺棄事
件を契機に課題となった住民保護条
例について、字の学習会でも取り上
げられていた。そうしたところ、17
年12月7日に大型輸送ヘリCH53E
の部品(円筒)が市内の緑ヶ丘保育
園の屋根の上で見つかり、13日には
普天間第二小学校の校庭に同型ヘリ
の窓(約1㍍四方、7・7㌔)が落
下。体育授業中の児童たちの至近の
ところに落下し、大惨事寸前だった。
そのため米軍機の横暴を規制し、
住民の生命を守るため、住民保護条
例の具体化の第一課題として、日米
地位協定の賛否を超えて、すべての
市民が一致できる「平和な空を守る
条例」の制定をめざして、取り組む
ことになった。そしてその手段とし
て請願の方法をとることにした。
条例と請願について
住民の権利保護は自治体の存立意
義である。その住民の権利保護のた
めに自治体が条例を制定することは
憲法、地方自治法のもと、何ら問題
はない。
国防は国の専管事項だから米軍に
関する条例はできないとよく言われ
るが、そうではない。
国防は国と役割分担し
ていても、住民の権利
保護が自治体の存立意
義。そうであるなら当
然、発言し、反対もで
きる。専管事項論はこ
の条例制定の障碍とは
ならない。
請願は憲法上の権利
である。受理した官公
署は誠実に処理する義務を負い、請
願者はいかなる差別待遇も受けない。
請願運動の経過
18年6月、条例制定請願の会設立。
7月8月、署名活動。9月8800
余名の署名を得、請願書を市議会議
長に提出。請願に添えた条例案は直
接に米軍を規制するものではないが、
市長と市議会が米側に学校・病院な
ど人口稠密地域での飛行をやめるよ
う申し入れ、合意を取り付けるため
に最大限の努力をするなどで、日米
安保・地位協定は持ち込まず誰もが
賛同できるものを目指した。しかし
19年3月、市議会で請願は不採択と
なり、納得のいく説明はなかった。
※※※
最後にハーグ陸戦法規について、
お聞きした。同法規は占領した私有
地は戦後、返さなければならないと
いうもの。
先生は、その立場に立たないと基
地問題は解決しないと言われた。や
っぱり、そうなんやと私は納得した
のである。
玄関ドアのところで失礼しようと
していると、下に用事があるからと
いっしょに出られて、関西弁につい
て話しながら、階段を下りた。駐車
場の私の車のところに来たとき、先
生が普天間基地の方を見て、基地を
なくしたいと思っているが、1ミリ
も動かないと言われた。私は心の中
でうなずいて、車に乗った。駐車場
の角で窓を開け、挨拶して、ゆっく
り前へ進めたのであるが、ふとルー
ムミラーを見ると先生が手を振って
くださっていた。
日活争議が伊藤大輔、内田叶夢、田坂具隆らの退社を経て収束した頃、笹井末三郎のいた宝塚キネマは倒産寸前だった。1932(昭和7)年11月の設立から3カ月で給与遅配が始まり、34年1月には撮影所休業、4月には倒産に到った。翌35年9月、京都・太秦にマキノトーキー撮影所が設立された。
かつてマキノ映画の倒産で、長男である雅弘は多額の借財を抱え、日活に勤めた。横田社長に嫌われて首となり京都を離れ、東京で映画トーキー化の技術を習得。末三郎の勧めで牧野家の悲願でもある撮影所を開いた。社員には雅弘の腹違いの弟で、戦後の東映オールスター映画の常連監督である松田正次。後の名カメラマン宮川一夫はまだ助手だった。末三郎のアナキスト同志の詩人・岡本潤の名前もあった。末三郎とアイデアを出し合って映画制作を進め、オールトーキー22本の映画が作られた。残念ながら粗製濫造の娯楽作品が多く、ヒット作はない。そのため借金は増える一方で、末三郎が多くを背負った。実父の三左衛門が所有する嵯峨の土地建物を無断で売却、所員の給与や債務にあてた。三左衛門は烈火の如く怒り狂ったという。結局、債務がかさみ、末三郎は京都を出奔し、下高井戸や戸塚、高田馬場などの安アパートを転々とした。
雨後の竹の子のように映画会社ができ、また潰れていく。俳優やスタッフの引き抜きも常態化していた。マキノトーキーは日活期待のスター、黒川弥太郎の引き抜きを図った。末三郎が説得して契約までたどりつく。ただ清瀬英次監督の『大久保彦左衛門』だけは撮り終えてからという条件があった。撮影に入ってすぐ、清瀬監督が吐血して倒れ、児井英男監督に代わった。映画はヒットし、すぐに続編制作となり、マキノトーキー入りはその終了後となった。
ところが撮影が終わると、黒川は所在不明となった。末三郎は子分を総動員して行方を追った。耳に入ってきたのは「児井監督が隠している」というのだ。末三郎はあいくちをふところに忍ばせ、児井に迫った。ところが児井も雅弘に誘われてマキノ入りを決めていた。両人とも黒川と日活にだまされていたわけだ。
36(昭和11)年、トーキー研究所から発足したPCL(フォト・ケミカル・ラボトリー)を母胎に東宝映画が設立された。ここに月形龍之介らが大量に引き抜かれた。2・26事件が勃発。軍部が台頭する。5月には大臣の現役武官制が復活、11月には日独防共協定調印、国家全体に軍事色が濃厚になる。
柏木隆法は、その著『千本組始末記』で、「歩調を合わせるように政争の道具に利用されてきたやくざや院外団が政界から見捨てられ」「博徒の全国的な規模による検挙が始まった」と記した。国家にとってやくざの協力は必要なくなった。「文化・文政から幕末にかけて一つの伝統として完成をみていた俠客の歴史は昭和11年8月の弾圧で終焉したと断言してもいいだろう」。柏木は、そう強い調子で書いている。
関西に住んでいた知人が、孫の世話をするため自宅を売却して夫婦で東京に引っ越しました。いつまで東京に住むかはわからないので賃貸物件を探したそうですが、70歳を超えていたため借りられなくて苦労したそうです。
高齢者には貸さない賃貸物件が社会問題化していますが、民法改正がこの年齢制限に拍車をかけているようです。2020年に改正された民法では、不動産の賃借人の債務保証に関するルールが見直されました。これまで保証人はどれだけの金額の債務を負うのかわからないまま契約していましたが、改正によって、契約の際には債務の上限額を示さなければいけなくなりました。定めた額以上は請求できなくなったため、貸主がこれまで以上に高齢者を敬遠するようになっているようです。
知人はその後、UR(都市再生機構)の物件に無事入居することができました。URは自立した生活が送れる方ならば年齢制限がありません。また保証人や保証会社を通す必要もありません。ただ人気の地区では空きがないことが難点です。
高齢者をはじめ、障がい者や低所得者、子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な人に賃貸住宅の供給を促進するために「住宅セーフティネット制度」が07年に制定されました。17年に大幅改定し、さらなる改正案が今年6月に可決されました。とはいえ制度の存在自体を知らないという方が多いのが現状です。
物件を登録するオーナーは、要配慮者のみが入居できる「専用住宅」と、要配慮者以外でも入居を認める「登録住宅」のどちらかを選ぶことができ、受け入れ範囲も、高齢者のみなど選択も可能です。また集合住宅の1部屋からでも登録ができます。ただし「新耐震基準の物件」「床面積が原則25平方㍍以上」など条件もあります。また「専用住宅」では住宅改修時に補助金が利用できますし、低額所得者などには家賃補助や住み替えにかかる費用の補助などもあります。
今回の改正では「安否確認や見守りを行う(居住サポート住宅)の創設」「生活保護者の家賃を貸主に直接支払う(代理納付)の原則化」「居住支援法人による故人が残した物の処理の推進」「生涯住み続けられる(終身建物賃貸借)契約の促進」など、大家や借主の不安軽減が強化されています。
登録物件は「セーフティネット住宅情報提供システム」で誰でも閲覧することができます。私も地元にどんな物件があるか見てみました。物件数は思ったよりもあるように思いましたが、条件で絞ると選択肢は限られます。また家賃は安いものの、契約時にクリーニング費5万円など様々な料金が加算される物件もありました。セーフティ住宅であっても詳細情報をしっかり確認することが大事です。
登録住宅の数はもっと増やす必要がありますが、それにはまず制度が広く知られなければなりません。ただ補助金は国と自治体とで負担するため、財政的に厳しい自治体が普及に二の足を踏む現実もあります。役立つ制度に育つには、まだまだ課題は多そうです。
(消費生活アドバイザー)
大衆が大衆「洗脳」
ネットの怖さ露呈
大阪府 山本信彦
兵庫県知事選挙が驚きの結果に終わった。再選など無理と見られていた斎藤元彦氏が形勢を逆転し、当選を果たした。
その背後にはSNS(交流サイト)による様々な情報の拡散があったと言われているが、中には多くの偽情報や恣意的なストーリーが含まれていたと報道されている。なぜ、嘘が出回った時点で指摘しなかったのか、今になって言っても時すでに遅しである。
プロの記者が書く記事ならば、実際に情報源に当たり、複数の人のチェックを経て発表されるので、信用性が担保されている。しかし、ネット上の情報は、何に基づいて、どんな確認をして、そしてどんな意図をもって発信されたものなのか、一見しただけではわかりにくい。
有権者が選んだ結果なのだから結果が覆ることはないものの、こういうことを「洗脳」と言うのではないのか。オウム真理教のように、カリスマ的なリーダーが大勢を洗脳したものとは異なり、大衆が大衆を洗脳したのが今回の選挙だったように見える。
情報の扱いという点で、今まで経験したことのない時代に入ったのではないか。ネットを見る時は、眉に唾をつけるよう心掛けたい。
(SNSでは「斎藤氏は既得権益と戦う改革派知事だった」とのストーリーが出来上がり、積極的に拡散したのが「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏です。ユーチューブの登録数は64万人で、地元神戸新聞の発行部数のほぼ倍。さらにそれが拡散されるわけですから巨大なマスコミ、いや「マスごみ」です)
歌通して平和を
来年も続けます
奈良県 友井健二
「戦争反対で何が悪い! ネット情報は真実なのか?」をテーマに平和を訴えるコンサートを開催し、昨年を上回る80名の参加がありました。読者の皆様のご協力ありがとうございました。
戦争反対とアピールすると、ネット上で攻撃される世の中。2022年12月10日の中国新聞によると、当時の防衛省がAIを使って、ネットで影響力のある「インフルエンサー」が無意識に防衛省に有利な情報を流すように仕向け、防衛政策への支持を広げたり、国民の反戦意識を奪ったりするような研究を行っていたというのです。私たちはその記事を参加者と共有しました。
矢野さんからは、水の入ったコップに赤鉛筆を入れると曲がって見える事象に例え、曲がって見える報道が多い世の中で、真実(鉛筆はまっすぐ)はいくつもの事実(いろんな角度から見て)を積み重ねてたどり着くものと話されました。空襲体験者の貴重な証言DVDも見ました。壮絶な体験をされた方の言葉は大変重たく、私たちの胸に突き刺さりました。
今回、若い世代の参加者があり、さらに増やすことを目指し、来年も開催しようと仲間と誓いました。読者の皆様、次回もよろしくお願いします。
(兵庫県知事選も立花孝志氏という「インフルエンサー」に牛耳られました。成功例として、次回は改憲のための国民投票に使われるのではないでしょうか。あきらめることなく、歌を通して平和を訴えていきましょう)
……
11月も半ばを過ぎたのに、しつこい暑さが続いている。まいった。暑い日が続き、急に気温が低くなると喘息が出る。 咳をし始めると止まらない。咳を3回して息を吸うことを繰り返していると、息が吸えなくなった。口先に集中して「咳では死なない」と言い聞かせて息を吸う。その夜は「こんこん」「スゥー」を意識して仮眠を取った。
翌日からできるだけ咳が出ないよう、そっと息をするようにしている。咳が昨晩よりひどい。水を飲んで座っているしか思いつかない。息を吸えない! 恐怖がじわじわと迫ってきた。自家用車が壊れているので、電車で30分のかかりつけ医に行くことを考えたが、体が重く感じて動けないし、ぐったりして良いアイデアも浮かばない。時間だけが経過している。仕方ないので「救急安心センター事業」(#7119)に相談してみることにした。
「どうしましたか?」と尋ねられ、状況を話そうとしても言葉が出ない。咳も「がはがは」とした苦しいものに変わってきた。うまく説明ができずにいると、「救急」に電話を転送してくれた。救急隊員と話をしても対応できない。ほどなく、救急車が自宅にやってきた。
なんで、それぐらいで救急車を呼んだの? と後ろ指をさされたくないが、今回は厚意に甘えることにした。
「どこか行きたい病院はありますか?」と言われて驚いた。こちらが病院を選べるとは思ってもいなかった。特に希望する病院もないので、救急隊員に任せた。救急医療体制は、比較的軽症な人を対象とした「1次救急」、緊急の治療や入院が必要な重症患者を対象とした「2次救急」、救命救急センターとしての「3次救急」に役割分担して対応している。
病院に着くと、まずコロナとインフルエンザの有無を確認してから検査を受けた。結果は喘息。レントゲンフィルムを見ると、自分でもわかる影ができていた。
車に続いてパソコンも壊れ、救急車で運ばれるなど、この2、3カ月のうちにいろいろと波乱が起きた。とどのつまりは、お腹に穴をあけてチューブを留置します。心配しないでください。車イス業界では、よくあることですから。(アテネパラリンピック銀メダリスト 佐藤京子)
ここ数年、絵本を通して出会った素敵な作家の一人がこしだミカさん。彼女の好きな物がナマコ。そう、あの棘皮(きょうひ)動物です。「ナマコのばあちゃん」は、ナマコの生物学的な紹介で終わらない、不思議で素敵な話です。
表紙には「ナマコ」と「ばあちゃん」の文字が赤いナマコで描かれています。ヘリコプターには空から海のナマコを撮影するカメラマン。さあ、何が始まるのか。
おおきなうみのはしっこで ナマコのばあちゃんはのんきにくらしていた
ふにゃーとしてぽてーっとしてみのまわりにあるもんをゆーっくりたべて、おしりからだして……
ナマコは口から海水と砂を吸い取って、砂についた微生物を腸が消化し、お尻からきれいになった砂を海水に出す。海の生き物が速く泳いだり、鋭い歯でかんだりかまれたりしていても、「ふにゃー、ぽてー」。陸の上では人間がもっと便利に豊かにと科学技術を発達させようが、「ふにゃー、ぽてー」。マイペースのナマコのばあちゃんの生き方をうらやましく思ってしまいます。
ある日、海の底が身震いしてもんどり打つほどの自然の猛威に襲われます。大嵐? 台風? 海水は陸上の物も引きずり込みます。めちゃくちゃになった海の中で、ナマコのばあちゃんは身を固くします。次の瞬間、身の回りに猛烈な勢いで流れて来たものを食べ始めます。「たべてだして、たべてだして」。汚れた海水は、ばあちゃんの身体を通り、きれいになってお尻から出てきました。救世主の出現に人間たちは色めき立ちます。勢いは止まらず、ばあちゃんは、どんどん巨大化していきます。
ミカさんは大きくなったばあちゃんのことを「みっちりいっぱいいっぱいおおきくなってしもうた」と表現しています。海岸の端から端までみっちり大きくなったばあちゃんの身体の周りを船やヘリコプターが囲んでいます。最初は、海がきれいになると喜んでいた人間も巨大化したばあちゃんを化け物扱い。科学者たちは「取り除くべきだ」と。ばあちゃんは体を切り刻まれ、あちこちの海へバラまかれてしまいます。
さて、バラバラにされたばあちゃんはどうなったと思いますか? 人間たちはすっかりばあちゃんのことは忘れてしまっていますが……。
ミカさんがナマコ研究者の本川達雄さんと一緒に描いた作品「ナマコ天国」を読むと、奇想天外のナマコの生態がよくわかります。
(元小学校教諭 遠田博美)
11月はありがたいことに講演依頼が相次ぎ、それも、「ネットは真実を伝えているか」「差別用語とは」「沖縄戦を取材して」などとテーマも様々。さらには月刊「地平」から大阪ジャーナリズムについての原稿依頼(1月号掲載予定)、兵庫県知事選の取材もあり、能登半島取材の時間が取れませんでした。来月は雪が降る前に現地に入り、被災者の声をお届けしたいと思います▼11月号で能登半島「二重被災」の悲劇と題し、石川県輪島市の町野町(まちのまち)で唯一のスーパーマーケット「もとや」の惨状を報告しました。近くの鈴屋川から濁流が押し寄せ、直径1㍍ほどの流木がドアガラスを突き破って一気に泥水が店内に。浸水は高さ2㍍に及び、水が引いた後は冷蔵庫や棚が散乱し、20㌢ほどの泥が積もっていた…。豪雨発生から20日後に訪ねた時はボランティアがスコップで泥をかき出し、一輪車で運び出していました。その折、話を聞いた従業員の朝川英則さんからうれしい知らせが。「11月30日の本格的なオープンに向けて店舗設営中です」。添付されたチラシには「復活! 町野のロッキーもとや」とあり、思わず苦笑してしまいました▼現在は通常の6分の1のスペースで、食品や生活雑貨などおよそ100種類の商品を販売しており、11月30日からは、店頭に並べる商品を通常の8割程度の1500種類ほどまで増やすことにしているとか。地元の人たちを支え、支えられている「町野のロッキー」復活に拍手! (矢)
10月10日(木)
矢野 夜、大阪市北区の天満天神繁昌亭で開かれた桂花団治さんの独演会で大笑い。打ち上げに招かれ、来年2月に真宗大谷派で予定されている空襲講演&落語会の確認。
10月11日(金)
矢野 夜、来社した水嶋勇さんと証言DVD「空襲と模擬原爆」の打ち合わせ。
10月13日(日)
矢野、栗原 午後、「じんけんスコラ」のフィールドワーク「船でめぐる大阪渡辺村の歴史」に参加。木津川や道頓堀を船で進み、かつての刑場跡などを巡る。
10月18日(金)
矢野 午前、来社した朝日新聞の瀬戸口和秀記者から大阪空襲の体験者について取材を受ける。午後、竹腰英樹さんがチラシのセット作業に。夜、日本平和学会理事の木戸衛一さん、関西学院大教授の中川慎二さんが来社。
10月22日(火)
午後、長谷川伸治さんが「明日の発送に行けないから」と、チラシのセット作業に。
10月23日(水)
午後、鈴木くみ子さん、柳田充啓さん、金川正明さん、大村和子さん、康乗真一さんがチラシのセット作業に続いて、新聞の発送作業。仕事を終えて多田一夫さんも駆けつけてくれ、郵便局の回収に何とか間に合う。
10月25日(金)
夜、うずみ火事務所で定岡由紀子弁護士を囲んで憲法バー。
10月26日(土)
午後、大阪市北区のPLP会館で自民党の裏金事件を告発した神戸学院大の上脇博之教授を講師に「うずみ火講座」。総選挙の投開票を翌日に控え、「裏金事件を終わらせるな」。
栗原 日帰りで山口県宇部市の長生炭鉱へ。遺族を招いての追悼集会。
10月28日(月)
矢野 夜、JR西労元委員長の安田昌史さんの「第19回野火賞」受賞を祝う会が大阪市淀川区の韓国料理店「セント」であり、祝辞を述べる。
10月29日(火)
栗原 夜 宇部市へ。再び長生炭鉱での潜水調査を取材。30日まで。
10月30日(水)
午後、うずみ火事務所で茶話会。堀田直樹さん、小倉雄二さん、大矢和枝さんが参加。矢野が取材の裏話を話した後、参加者から会員近況。
10月31日(木)
矢野 午後、大阪府立藤井寺高校で3年生対象の人権ホームルームで、「空襲と人権」と題して講演。
11月3日(日・文化の日)
矢野、栗原 午後、北大阪朝鮮初中級学校の秋祭りへ。
11月5日(火)
矢野、栗原 午後、上杉聰さんに同席してもらい、大阪市港区の解放同盟中央本部で赤井隆史書記長、総務部長の大西聡さんと会談。
11月6日(水)
栗原 早朝の飛行機で宮古島へ。牡丹社事件150年、台湾・牡丹郷の郷長ら友好使節団の来島、陸自配備の現場などを取材。9日帰阪。
11月8日(金)
矢野 夜、大阪・九条の「モモブックス」で開かれた「大阪・関西万博『失敗』の本質」刊行記念トークショーを取材。ノンフィクション作家の松本創さんと西岡研介さんの対談を取材。
11月9日(土)
矢野 午後、大阪市立大正会館で開かれたJR西労大阪分会主催の「第28回平和を訴えるコンサート」に出演。能登半島「二重被災」、大阪大空襲などについて講演したあと、新井英一さんの「清河への道」を熱唱。しゃべり過ぎて、トリをつとめる友井健二さんらの「フレンズⅡ」の曲数を減らしてしまう。
11月10日(日)
矢野 午後、兵庫県知事選「ラストサンデー」取材。「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が神戸新聞社前で「知事へのパワハラはかなった」などと斎藤元彦氏を援護射撃。夜、阪急塚口駅で行われた斎藤氏の街頭演説は大盛況。「斎藤コール」が起きる、こちらも異様な雰囲気。
栗原 夕方、長野・松代へ。竹内良男さん主宰の「ヒロシマ講座」のフィールドワークに合流。
■12月14日(土)兵庫県知事選と告発文書問題を考える
兵庫県知事選では、県議会から不信任を突きつけられた前知事の斎藤元彦氏が再選しました。だが、選挙中から斎藤氏のパワハラ疑惑などを調査していた県議会の百条委員会関係者に脅迫的な抗議が続いています。SNSでは「斎藤氏は陥れられた」とのストーリーが作られ、その黒幕の一人と名指しされているのが丸尾牧県議(無所属)。デマや誹謗中傷が拡散され、「命の危険さえ感じた」と言います。
今年最後の「うずみ火講座」は12月14日、丸尾さんを講師に迎えて開講します。
県知事選で何が起きたのか、百条委は今後どうなるのか、そもそも告発文書問題の真相とは何なのか。
講座のあと、淀川区の韓国料理店「セント」で忘年会を開きます。
【日時】12月14日(土)午後2時半~4時半
【場所】貸会議室ラミ新大阪Msite3階(淀川区西中島7-6-12 新大阪駅前和光ビル302)
【交通】JR、地下鉄の「新大阪駅」⑦出口から徒歩4分)
【資料代】1200円(読者1000円)
■東京忘年会
東京忘年会は12月8日(日)午後5時~新宿2丁目の中華料理店「隋園別館・新宿店」(都営線「新宿3丁目駅」C4出口から徒歩3分)二次会は近くの「海森2号店」(「新宿3丁目駅」C5下車、03・3355・5183)。
■埼玉忘年会
翌9日(月)は埼玉忘年会。午前10時55分に西武新宿線「新所沢駅」西口改札に集合してください。徒歩5分の「パスタ・デルフィーノ」で開催します。会費は4000円。申し込みは幹事の根橋さん(090・9245・0531)まで。
■大阪忘年会
大阪忘年会は14日(土)午後5時半~淀川区宮原の韓国料理店「セント」(地下鉄御堂筋線「東三国駅」から徒歩3分)で。会費は4500円(予定)。参加ご希望の方はうずみ火までご連絡ください。初めての方も大歓迎です。