編集長ブログ

【編集長のぼやき】自衛隊はどこに行った?

地震に続き、記録的な大雨に見舞われた石川県輪島市の中でも大きな被害を出した町野町。町唯一のスーパーマーケットに流れ込んだ泥をかき出すのに延べ300人を超すボランティアの人海戦術で、1カ月近くかかった。泥だけではなく、町には無数の流木も流れ込んでおり、これらをすべて撤去するのはボランティアだけでは難しい。

今回の取材で復旧作業に当たる自衛隊員の姿を一人も見かけなかった。石川県は派遣要請もしていないのだという。その理由などを県庁にメールで問い合わせているが、まだ返答はない。

数年前から日本の防衛を想定した大規模な日米共同統合演習が2年に1度行われている。今年は日米合わせて4万5000人が参加して、10月23日から10日間の日程で実施される。被災者の一人がこう漏らしていた。「自衛隊は完全に闘う部隊になった」と。

【編集長のぼやき】斎藤知事を生出演させる在阪局

能登半島地震の被災地取材から帰阪した翌9月21日、石川県奥能登地方を記録的豪雨が襲った。これまで取材した被災者の顔を思い浮かべながらの安否確認。「振り出しに戻り、心が折れそう」「何で能登だけがこんな目に遭うのか」。ふるさとに踏みとどまり、再建への一歩を踏み出した人たちにかける言葉もないあきれてものが言えないのは兵庫県議会から不信任決議を受けた斎藤元彦知事のテレビ生出演。NHK大阪「かんさい熱視線」、MBS「よんチャンTV」、それに読売テレビ「ウェークアップ!」。出演理由は「自分の思いを伝えきれていないから」。告発文書については「誹謗中傷性のある文書と認識している」。しかも「ウェークアップ!」ではスタジオから元大阪府知事で維新代表だった松井一郎氏が出演し、「イチから出直すという覚悟でやるんなら斎藤さんを応援してあげたらいいのに」やて。出る方も出る方だが、出す方も出す方やわ▼その維新の不祥事が止まらない。椎木保元衆院議員が中学1年の女子生徒に性的暴行。元兵庫県西播磨県民局長から押収したパソコンにあった個人情報を掘井健智衆院議員が流布。誰が漏らしたのか。さらには千葉市議4人が市民からの請願文書を不正作成……。立憲民主党はその維新と手を結ぶ?アホちゃうか。開いた口がふさがらんわ。 (矢)

 

【編集長のぼやき】頭をよぎる「棄民」の二文字

この夏も能登半島地震の被災地に入った。大阪から特急サンダーバードで敦賀を目指し、北陸新幹線に乗り継いで金沢に入る。サンダーバード1本で金沢まで行けた時と比べ、片道2150円アップ。往復で新聞うずみ火の年間購読料に匹敵する。

被災地に入るたび、約240棟が焼失した「輪島朝市」を訪ねているが、解体・撤去作業は徐々に進んでいるようだ。先月まで赤褐色に焼けたガレキに覆われていたが、ようやく焼失した建物の基礎部分が見えるようになった。だが、川一本へだてた同市鳳至町(ふげしまち)に入ると、言葉を失う。公費解体は進んでおらず、倒壊した建物は手つかずのままだ。この惨状を見れば、日本が「先進国」とは誰も思わないだろう。

石川県内最大の水揚げを誇る輪島港で70代の漁師に声をかけた。港の海底が2㍍ほど隆起し、漁船200隻ほどが閉じ込められている。漁協の製氷施設も壊れ、元日から漁のできない日々が続いている。海底を掘り下げる工事を行っているが、11月6日はズワイガニの解禁日。水揚げの7割を占めていたが、間に合いそうもない。「わしらは陸に上げれば何もできん」

岸田首相退陣で後任を決める自民党総裁選のニュースが過熱し始めた。能登半島地震の被災地は忘れ去られるのか。「棄民」の二文字が頭をよぎる。明日はわが身……。 

【編集長のぼやき】兵庫県議会の百条委員会を傍聴しました

自殺に追い込まれた兵庫県の元西播磨県民局長が出席する予定だった7月19日の百条委員会を傍聴した。元局長が「一死を持って抗議する」とのメッセージとともに残した陳述書の内容が明らかにされた。伝聞情報が多いが、聞いたことは聞いた、覚えていないことは覚えていないと正直に書かれており、その誠実な人柄が偲ばれた

斎藤知事によるパワハラ、おねだりの数々もさることながら、気になるのは、昨年11月の阪神・オリックスの優勝パレードの件。優勝パレードに名を借りた大阪万博のPRで、維新の肝いりイベントだ。告発文書では「必要経費を補うため、信用金庫への件補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせた」とあり、事実ならば公費の違法支出であり、犯罪だ。陳述書には「百条委員会の場で究明してほしい」と書かれた。パレードを担当した課長も自殺している。何としても真相を解明してもらいたい

それにもう一つ。元局長は県の公益通報窓口に通報したにもかかわらず、県は内部調査だけで懲戒処分に踏み切った。知事は「窓口で受理する前の告発は保護の対象ではない」と説明していたが、委員の一人、庄本悦子県議は「公益通報者保護法は報道機関など外部への通報も認めている」と反論する。県の対応に違法性はなかったのか検証してもらいたい

県知事選は来年夏。それまでに斎藤知事は辞職するのか、居座るのか。「県政の私物化」を許してはいけない。正すためにも声を上げ続けよう。

 

※写真は、百条委に先立ち、県庁前で行われた斎藤知事に辞職を求める集会

【編集長のぼやき】改正地方自治法は「緊急事態条項」?

自民党の裏金事件を受けた改正政治資金規正法が成立した6月19日、国が地方自治体へ指示できるようにする改正地方自治法も成立した。緊急時を口実にして憲法で保障された自治体の権限を奪う悪法であり、自民党が改憲の一つに掲げている緊急事態条項の事実上の導入である。

政府はコロナ禍を例に必要性を強調し、「大規模な災害、感染症のまん延などの国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」で限定的だと主張する。だが、どんな事態に指示を出すのか、具体的なことは何一つ明らかにしておらず、時の政府が恣意的に乱用する危険もある。それに、改正の根拠とする大規模災害やコロナ禍については、災害対策基本法や感染症法などの個別法で国の指示権が規定されおり、思惑は別のところにあるのではないかと勘繰ってしまう。

かつて、この国は内務省の地方支配を通じて中央集権国家を築き上げ、軍国主義に国民を駆り立てた挙句、国家を破滅させた。その反省から、国と地方の関係は「上下・主従」から「対等・協力」へと改められた。今後、国の恣意的な介入を許し、対等なはずの国と地方が主従関係の時代へと逆戻りさせられるのではないか。

敵基地攻撃能力の保有、武器輸出三原則の廃止、防衛費GDP比1%越えと、「戦争する国」にまい進する岸田政権。国家権力の暴走を止める憲法という「足枷」がまた一つ外されてしまった。次の狙いは何か。徴兵制の復活かもしれない。そういえば、こんな声をよく耳にするようになった「国のために尽くすことは尊いことだ」と……  (矢)

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