編集長ブログ

【編集長のなげき】郵便局からの非情な通知

▼まさに現代の大岡裁き、胸のすくような報告内容だった。兵庫県知事の告発文書をめぐり、県議会特別調査委員会(百条委員会)に続いて、県が設置した第三者委員会が公表した調査報告書。「告発文書は公益通報」「知事の告発者探し『違法』」などと斎藤知事への厳しい評価が並ぶ。だが、第三者委の藤本久俊委員長は記者会見で「厳しい批判ではない。これがスタンダードだ」と語った。さて、どう出る斎藤知事。議会が閉会する3月26日以降、何らかの発表をする見込みだというが、「これも一つの見解」などと開き直るようなら、議会はもう一度、不信任案を出すべきだろう。   ()

▼そうこうしているうちに春4月。夢洲での大阪・関西万博の開幕が迫る。大阪府は小中高の児童・生徒を学校単位で紹介する事業を進めているが、保護者や学校関係者から不安の声が高まっている。万博会場に含まれる1区にはダイオキシンやPCB、下水汚泥などの有害物質が埋められ、メタンガスなどがいたるところから発生。緊急時の避難経路も限られている。豊中市の「万博校外学習を心配する親の会」は中止を求める署名2万5100筆を市長に提出する。私も強制反対!  (野)

▼郵便局からの通知にうずみ火事務所に衝撃が走った。印刷代に続き、ゆうメールの値上げ。昨年秋の郵便料金の値上げで多少の覚悟はしていたが、1通につき96円だったのが、4月から129円と33円もアップする。創刊20年目を迎え、最大の危機かも。いい知恵があれば教えてください。(宏)

4月12日(土)午後2時~トークセッション「万博のツケは誰が払うの?」

大阪・関西万博を取材・研究しているジャーナリストや財政学者、建築士によるトークセッション「万博のツケは誰が払う!」が開幕前日の4月12日(土)午後2時~、大阪市都島区の大阪私学会館で開かれる。

昨年8月にちくま新書から刊行された「大阪・関西万博『失敗』の本質」で、政治・建築・メディア・経済・都市の視点から検証し、問題点を浮き彫りにした5人の執筆者が一堂に集まる。万博の課題の「現在地」をあらためて洗い出し、万博後の跡地開発やその後に控えるカジノ問題に警鐘を鳴らす。

一般1500円、チラシ持参の方は1200円。

私学会館はJR東西線「大阪城北詰駅」③出口から西へ徒歩2分。 

【編集長の怒り】「仲間」を売った維新の2県議

日本維新の会の岸口実、増山誠氏、白井孝明の兵庫県議3人が2月23日に神戸市内で記者会見し、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に情報提供したことを事実上認めた。斎藤元彦知事の疑惑を追及する百条委員会の委員だった竹内英明元県議がSNS上での誹謗中傷を受け、自殺に追い込まれて1カ月。その一因とみられるデマ情報を漏らした罪は深いが、音声データと元西播磨県民局長(故人)の真偽不明の私的情報が書かれた文書を手渡した増山氏は「立花氏がデマを言っていたとは認識していない」と語るなど、悪びれた様子はない。立花氏に頼ってまで斎藤氏再選を目指したのはなぜか。元県民局長が告発した七つの疑惑の中で気になるのが、2023年11月の阪神・オリックスの優勝パレード資金について「必要経費を補うため、信用金庫への補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせた」との告発。県の金融機関向け補助金を当初の1億~4億円に増額。引き換えにパレードへの寄付を信用金庫に要求したのではないかというのだ。パレードは、県と大阪府がクラウドファンディングで費用を賄うことにしたが、目標額の5分の1にも届かなかった。というのも、大阪万博のPRにとの思惑が透けて見えたからだ。▼この還流疑惑を百条委で調べられたら困る輩がうごめいた。3県議のほか、県信用保証協会の理事長だった片山前副知事も。▼そういえば、斎藤氏再選を受けて、大阪府の吉村知事はこう語っていた。「知事に不信任決議を出した議会が、百条委を継続する正当性はあるのか」。目的を達成するためには手段を選ばない維新の卑劣さ、モラルのなさが垣間見えた事件。もうだまされたらあかん。 (矢)

 

【編集長の怒り】「事実ではなかった」ですむか

阪神・淡路大震災の発生から30年を迎えた翌1月18日、目を疑う事件がネットニュースに流れた。兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題を調査してきた県議会百条委のメンバーだった竹内英明・前県議の自殺である。「竹内氏は斎藤知事を陥れた黒幕の一人」とSNS(ネット交流サービス)で発信され、ネット上で誹謗中傷を受けていた。その張本人の「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏は動画投稿サイト「ユーチューブ」で「逮捕されるのが怖くて自ら命を絶った」などとデマ情報を発信。Ⅹ(旧ツイッター)でも同様の投稿をした▼さすがに、これは放置できないと判断したのか、20日には兵庫県警のトップが「全くの事実無根だ」と述べ、拡散されている情報を明確に否定した。これを受け、立花氏は「県警本部長が否定したので、私が言ったことは事実ではなかった」と投稿を削除したが、「動画投稿はやったもん勝ち」の世界。立花氏のデマ動画は再生回数を稼ぎ、収益を得ている▼米大統領に返り咲いたトランプ氏のXのフォロワー数は1億を超え、韓国では突然の戒厳令宣布で弾劾訴追案が可決された大統領が、ユーチューブの情報に影響を受けていた可能性が伝えられている。今、インターネットの世界では次々に過激な主張が登場しては拡散され、安易に信じてしまう人の心の動きが注目されている。自分は正しく、相手は間違っているのだから攻撃して当然と思う人が増えている。社会全体が貧しくなり、車にたとえれば、ハンドルの遊びのない世の中になってしまったようだ▼それでも現場を訪ね、愚直に訴えていくしかない。今年、新聞うずみ火は創刊20年。小さな小さな新聞ですが、今年もよろしくお願いします。 (矢)

【副編集長の誓い】沖縄・辺野古の今

駆け足の沖縄取材。12月7日にはキャンプシュワブ前で毎月第1土曜日に行われる「辺野古大行動」に参加した。46回目だという。小雨模様だが、キャンプ・シュワブ前はのぼりや横断幕、そして人、人、人。各地から700人が集まったという。沖縄選出の野党議員でつくる「うりずんの会」の5人も全員参加、玉城デニー知事のメッセージも読み上げられた。テント前の看板の数字は「3807日」。辺野古の海でボーリング調査がはじまり、座り込みが始まってからの日数だ。

キャンプシュワブ前に来たのは一昨年10月の「ひろゆき」発言以来だった。夕方、テントに人がいない時間帯にわざわざ訪れた彼は、抗議行動を揶揄する書き込みをSNSに投降。ピースするその傍らに写っていた看板には「3011日」とカウントされていた。ここでは連日、座り込みの市民が機動隊にごぼう抜きされている。そんな中、この10月にも、漫画「社外取締役 島耕作」で、抗議の市民がアルバイトで日当をもらっている、と、使い古されたフェイクがまことしやかに再生産された。お金など出るわけがない。みな自腹だ。

「辺野古大行動」は県庁前発着の「辺野古バス」で往復した。17年から抗議行動の市民を運び続け、辺野古、名護市安和、本部町塩川へも向かう。貸し切りバスの料金が値上がりし、毎日の運行が厳しくなったとも聞いていたが、特に高齢の市民にとっては貴重な足。車内ではカンパ袋が回る。一時期より参加人数が減る一方で、抗議の現場にはうるま市の宮城島、中城湾港も加わっている。来年は辺野古新基地建設問題の取材も続けなければと思う。(栗)

定期購読のご案内 定期購読のご案内

フォローする

facebook twitter