開幕1週間後に取材して以来、2度目の大阪・関西万博だった。2カ月後の6月12日夕方。その日は昼までの小雨も上がり、曇り空が広がっていた。最高気温は30度以下だったが、それでも熱中症と思われる人が相次いで救急搬送されていった▼三つある診療所の拠点である西ゲート診療所の看護師がいくつかの留意事項を伝えてくれた。「寝不足の子どもは要注意」「吐いた場合の着替えを持参してほしい」「親が自家用車で迎えに来ても会場内まで入れません」「先生がタクシーで市内まで連れ帰ると1万円近くかかります」……。やはり、夢洲で万博をやるべきではなかったのだ▼大阪は梅雨を通り越して夏本番のような猛暑が続く。テントやパラソルの設置、日傘の提供など、小手先の熱中症対策では「焼け石に水」。暑い日には行かないことが一番なのだが、大阪府は、学校単位での校外学習が見送られた子どもたちを無料で引率するツアーを開催する。家庭での来場が難しい子どもたち約1万人を上限に募集し、夏休み中に開催する予定だという。そのための補正予算約1億5000万円も府議会で可決された。吉村洋文知事は記者団にこう言ったという。「子どもたちが万博来場を諦めて閉幕を迎えることなく、未来社会を体験してもらう取り組みが大きく前進した」(6月17日産経新聞)。夏場の来場者が減ることが予想されるので、来場者目標2820万人を達成するために子どもたちを穴埋めに使うことではないのか▼万博テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だが、パビリオン建設の作業員の命を削り、子どもたちの命まで……。会場の隣ではIRカジノの工事が急ピッチで進んでいた。