ついに来るべきものが来てしまった。夢洲カジの認定。「大阪ダブル選」を維新が制して5日後のこと。当初、昨秋には認定されるのではと言われつつ年を越したのは、夢洲の地盤問題をめぐり国の審査が長引いたから。市は土地改良工事費として約790億円の支出を決めたが、地盤沈下対策は含まれていない。▼昨年5月の「うずみ火講座」で講師を務めた立命館大教授の森裕之さんの話は衝撃的だった。「夢洲は超軟弱地盤。建物をつくれる場所ではない。大阪港周辺は海底深く存在する固い『洪積層』が沈没する地盤。1本1億円ともいわれる杭をいくら打っても建物の安全は確保できないと言われている。土地に関する課題は市が対処することになっており、税金がどんどん消えていく底なし沼に入り込んだようなもの」▼カジノ用地の賃料をめぐる疑惑も浮上した。市が所有する用地約49万平方㍍をカジノ事業者対し、35年間にわたって年約25億円で貸すというが、1平方㍍あたり月額428円。賃料の根拠となった不動産鑑定では4社中3社で土地価格などの金額が一致。しかも、鑑定時には「IRが考慮外」にされたため、賃料が安くなったことも判明した。35年間で500億円もの賃料値引きにつながる談合疑惑に明確な説明もない。IR計画に出てくる数字がIR事業者の試算で根拠すら明らかにされていないのに、「シンガポールのIRを上回る初期投資額」などが認定の決め手となったとは……▼と、落ち込んでばかりもいられない。これからも忖度することなく、おかしいことはおかしいと訴える紙面をお届けします。福島在住のジャーナリスト平舘英明さんに続いて、4月号に元朝日新聞記者の阿久沢悦子さんが原稿を寄せてくれました。ご高覧下さい。