共同通信社と時事通信社が相次いで2019年の国内の十大ニュースを発表したが、一位はともに「天皇代替わり、平成から令和へ」だった。

そういえば、今年1年の世相を漢字ひと文字であらわす「今年の漢字」は「桜」ではなく、「令」だった。「新元号に新たな時代の希望を感じた1年」というのが理由だそうだが、本当にそうなのか。

皇位継承に伴う一連の行事としての費用は166億円。平成の代替わりの時と比べて3割増だという。とりわけ、天皇家の宗教行事である大嘗祭に対し、秋篠宮が「宗教色の強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と疑問を呈したが、大きな議論もないまま「公的な皇室行事」と位置づけられ、結果、安倍政権に政治利用されたというのは言い過ぎか。

元特攻隊員で立命館大名誉教授の岩井忠熊さん(96)の言葉をあらためて思い返す。

「戦前、天皇主権と国家神道に基づいて践祚・改元・即位礼・大嘗祭などの儀式のあり方を定めた『登極令』がありました。明治天皇が亡くなる3年前、代替わりを想定して制定されたものだから、即位の礼などは皇室の伝統でも何でもありません。天皇の神格化と国家神道を徹底する立場から作られ、日本国憲法が施行される前日に廃止されましたが、平成の代替わりで復活したのです」

皇室の伝統行事と言うが、天皇主権と国家神道の時代である明治以降のこと。

今回の代替わりで、国民主権と政教分離を定めた憲法がさらに骨抜きにされた。まさに「令」の時代か。(矢野)