原発の危険性を指摘し続けた京大原子炉実験所の研究者たち「熊取6人組」の一人、小林圭二さんが5月27日にすい臓がんなどのため亡くなられた。80歳だった。
訃報はその日の夜、6人組の今中哲二さんからメールで伝えられた。
〈すでにご存知かも知れせんが、小林圭二さんが今朝亡くなられたとの連絡がありました。先の病院から3月に同じ系列の介護施設に移られて、「結構回復されたな」と思っていたのですが、先週くらいから調子が悪くなられたようです。お通夜と告別式は「家族とお見舞いに来ていただいた方とで済ませたい」とのことでした〉
今中さんらと一緒にお見舞いに伺ったのは昨年10月末のこと。この時、小林さんはすでに視力を失っていた。
原子力の世界とは無縁だった私が小林さんらと親しくさせていただくきっかけは、新聞うずみ火が2014年夏から秋にかけて開講した「連続講座『熊取6人組』」。高速増殖炉「もんじゅ」研究の第一人者の小林さんに先陣を切ってもらい、「最近の原子力政策をめぐって」と題して講演していただいた。パーキンソン病を患い、13年2月にはすい臓がんの摘出手術を受けていたが、講演の冒頭で安倍政権による集団的自衛権の行使容認に触れ、「心底、怒っています」と切り出されたのを今も覚えている。
この時の連続講座は「熊取6人組 原発事故を斬る~3・11後をいかに生きるか熊取6人組からのメッセージ」というタイトルで岩波書店から刊行された。
きょう30日の午後、告別式が大阪市阿倍野区内の葬儀場で営まれる。うずみ火を代表して、私も最期のお別れをしてこようと思う。(矢野)