野球が大好きだった黒田清さんは、セリーグは阪神タイガース、パリーグでは阪急ブレーブス(現オリックス・バファローズ)の熱烈なファンだった。阪神が18年ぶりのリーグ優勝、オリックスがリーグ3連覇を達成し、今年の日本シリーズは59年ぶりの関西決戦としても盛り上がった。黒田さんが生きていたら、仕事に手がつかなかっただろう。

この号がお手元に届く頃には大阪と神戸で優勝パレードも終わっているだろうが、姫路の谷野勉さんもお怒りのように、運営費を賄うクラウドファンディングも低調だ。21日時点で1万1600人以上から約9000万円が集まったが、目標額5億円の2割に満たない。

低迷の理由は、パレードに絡めて大阪万博をPRするような姿勢が批判を招いたからだ。大阪府の吉村知事は、パレード開催を発表した記者会見で、万博のキャラクターとともに登場し、「万博を一緒に盛り上げたい」と強調。府が開催費用を集めるため、府教委を通じて教職員にクラウドファンディングの周知を要請したことも「寄付の強制だ」と反発を招いた。

府市がパレード来場者の誘導などをする要員として職員計3000人にボランティアを募り、スタッフジャンパーを支給するのみ。一方、兵庫県と神戸市は休日勤務扱いとなることから、待遇差に不満が漏れる事態を招いている。

府関係職員労働組合の小松康則委員長は「知事のトップダウンで職員の多くが長時間労働を強いられている。府には絶対評価で毎年約15%の職員を下位評価にする人事制度があり、ボランティア要請に『強制』と感じる職員は少なくない」と語っていた。ある川柳を思い出した。「黒田記者 存命ならば 何と書く」