トランプ米大統領のツイッターでの呼びかけで実現した3回目の米朝首脳会談。現職の米大統領が初めて北側の地を踏んだこともあり、翌7月1日付の全国紙はそろって1面トップで伝え、読売新聞を除く4紙が社説でも取り上げている。
朝日新聞は〈非核化の進展が肝心だ〉という見出しとともに「米朝首脳の個人的な友好ムードだけで時を浪費するようであれば、朝鮮半島の永続的な和平づくりはほど遠い」と主張し、毎日新聞は〈派手な演出よりも内実だ〉として「ひょうたんから駒のような形で実現したこの会談を、外交成果と呼ぶには慎重であるべきであろう」と呼びかける。
もっとストレートなのが産経新聞で、〈「非核化」はどこへ行った〉と題して「米国と北朝鮮との緊張緩和ばかりが強調され、東アジアの平和にとって最大の懸案である非核化が置き去りにされていないか強い不安を覚える」と訴え、日本経済新聞は〈米朝は政治ショーより実務協議重ねよ〉と主張するなど、いずれも米朝首脳会談に厳しい目を向けている。
敵対国の首脳が対話を重ねることが悪いことなのか。「型破りな即興の首脳外交」とか、「ひょうたんから駒のような会談」などと批判されようとも、昨年6月の初会合以降、朝鮮半島には「平和」がもたらされ、北朝鮮の長距離ミサイルが日本上空を飛ぶこともない。
一方、圧力一辺倒から「前提条件なしの対話」へと舵を切った安倍首相だが、今回もはしごを外された格好だ。無理もあるまい。G20で米朝の仲介役の韓国大統領に対してどんな態度でのぞんだか。首脳会談を見送ったばかりか、首脳夕食会でも別のテーブルを割り当て遠ざけた。さらに1日付の読売新聞によると、元徴用工問題での腹いせか、韓国への半導体材料を禁輸するという。
こちらにこそ、厳しい目を向けていただきたい。