開幕が危ぶまれている大阪万博の会場と同じ、大阪湾の人工島・夢洲に計画されている大阪IR・カジノで、大阪府・市が、事業者の大阪IR株式会社と実施協定を結んだ。カジノ開業までの工程などを定めたもので、従来、2029年秋~冬の開業を目指していたが、30年秋ごろに先延ばしとなった。「国の整備計画認定が半年ほど遅れたから」との説明だが、夢洲の地盤対策などで、さらに1~2年遅れる可能性もあるという。何と甘い見通しか。
最大の問題が、事業者側が違約金なしで一方的に事業から撤退できる「解除権」を3年間延長して26年9月まで認めたこと。10月8日に生野区民センターで開かれた「夢洲IR・カジノ公聴会」で桜田照雄・阪南大教授が説明していたが、事業者はいつでも逃げ出せるのだという。事業者はMGMとオリックス連合だけなので、府・市にすれば逃げられては困る。土壌汚染などの対策費に788億円を公費投入したように、何とか引きとめるために最大限の優遇措置を取ることになるだろうと。
大阪カジノは当初、世界の金持ちをターゲットにしていたが、中国国内の賭博規制強化で中国の富裕層は消えた。狙うは国内客。開業は7年後だから、今、携帯でゲームに熱中している児童・生徒たちだ。夢洲には6400台のスロットマシンが並び、パチンコや賭けゲームになじんだ日本のギャンブラーを呼び込むための賭博場となる。市民が泣き、笑うのは事業者とゼネコン、推進した維新か。あかんものはあかんと声を上げ続けるしかない。