12月13日、関西電力の役員らの金品受領問題で大きな動きがあった。弁護士らでつくる市民グループが関電の前の会長ら幹部ら12人に対する告発状を大阪地検特捜部に提出した。金品を受け取って、特定の業者に工事を優先的に発注したのは「会社法」の特別背任や収賄などにあたるというもので、この市民グループの呼びかけに応じた告発者は3272人。それだけたくさんの市民らが「不正を働く関電幹部を許さない。きちんと捜査してほしい」と訴えたのだ。
大阪地検特捜部では、この告発状を受理するかどうかを検討し、事件として捜査するかどうかを判断する。
この市民グループは、反原発団体や弁護士らが10月に設立した「関電の原発マネー不正還流を告発する会」。
告発状によると、関電の八木元会長ら12人は、福井県高浜町の元助役が顧問を務めた「吉田開発」に、正当な発注価格を超える金額で業務を発注して会社に損害を与えた会社法の特別背任の疑いと、元助役から吉田開発などに業務を発注するなどの便宜を図るよう求められて金品を受け取った収賄の疑いがあると主張している。
告発状を提出したあと、大阪市北区のエルおおさかで市民グループによる報告会があり、告発者や支援者50人あまりが参加した。
「原子力発電に反対する福井県民会議」事務局長の宮下さんがこれまでの経緯を報告。設立した10月から告発者を募ったが、目標は1000人だった。ところが、関西だけで半数近い1598人が集まるなど、47都道府県から目標の3倍以上が集まり、異例の多人数による告発となった。
添えられた手紙の中には「告発する会を立ち上げてくれて嬉しい」という声多く寄せられ、なかには関電OBから「不正を正し、一日も早く良い会社に立ち直ってほしい」というメッセージもあったという。
12月10日の締め切りに間に合わなかった人たちからも「今からでも良いのか」という問い合わせが相次ぎ、告発状の追加提出を行うという。
市民グループの代理人、河合弘之弁護士は「第三者委員会には強制権限がなく、調査には限界がある。問題を明らかにするには強制捜査できる検察しかない」と語った。(矢野)