参院選の演説中に銃撃され死亡した安倍元首相の「国葬」が927日、東京の日本武道館で行われることになりそうだ。

国葬とは、国家の儀式として、国費を持って行われる葬儀のこと。対象となるのは、国家に功績があった人、国家に貢献した人などで、戦前は天皇をはじめ皇族関係などがその対象者となっている。戦前、国葬された首相経験者は伊藤博文、山県有朋、松方正義、西園寺公望の4人。

戦後、国葬について定めていた「国葬令」(1926年公布)が政教分離の観点から47年に廃止され、皇族以外で国葬となったのは67年の吉田茂元首相のみ。当時の佐藤栄作内閣の閣議決定による特例で国葬となったが、80年に死去した大平正芳元首相以降は「内閣・自民党合同葬」が慣例化していた。なぜ、国葬か。

岸田首相は「首相在任期間が憲政史上最長となることや内政・外交の実績、国際社会の評価」をあげたが、その実績が吉田氏に比肩するとは思えない。ましてや、森友・加計・桜を見る会などの負の遺産、ここにきて旧統一教会との関係に疑惑の目が向けられている。そもそも国会で118回も嘘の答弁をするなど、民主主義を軽んじた安倍氏をなぜ、国葬にしなければならないのか。

国葬ともなれば、安倍氏と親交のあった世界各国の首脳がこぞって参列するとみられている。ロシアのプーチン大統領も来るかもしれない。その中で、岸田首相が「国葬外交」の主役となればその名が一躍世界にとどろくことだろう。

さらに、安倍元首相の選挙区・山口4区では補欠選挙が行われる予定だ。後継に昭恵夫人の名前がささやかれている。安倍氏国葬を仕切るのは電通か…。

2020年の中曽根康弘元首相が内閣・自民党合同葬となった時の費用は約2億円。国葬の場合、国の全額負担となる。全ての省庁で弔旗を掲揚、公務員の黙祷も強いられる。断固反対の声を上げ続けたい。