新聞うずみ火1月号の1面は「改正入管難民法を考える」

写真は、若くして亡くなったベトナム人の技能実習生や留学生らを供養する
尼僧のタム・チーさん=東京都港区の日新窟

東京都港区の芝公園にある寺院「日新窟」の1室にベトナム語で書かれた100あまりの真新しい位牌が並べられている。
「現地のブローカーに100万~200万円ほどの手数料を払い、多額な借金をする。ベトナムの賃金水準では返済できないほどです。それでも日本で働くことを夢見てやってくるのだが、現実は厳しい。低賃金で過酷な労働を強いられ、なかには暴力を振るわれたり、いじめに遭ったりして自らの命を絶つ若者もいます。今年に入って突然死や自殺などで40人が亡くなっています」
外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案が強行採決され、12月8日に成立した。「特定技能」という資格を新設し、人手不足とされる業種を外国人労働者に担わそうというものだが、具体的な業種名や受け入れ人数さえも明記されていない。何より、低賃金で劣悪な労働環境を強いられる「技能実習制度」を温存したまま、法務省は特定技能への移行を見込んでいる。
弁護士で「外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク」代表の丹羽雅雄さんは問題点について、「一番の問題点は、出入管理法制の枠内で外国人労働者の受け入れを語っていること。人材ではなく、人として受け入れるためには、日本に共生社会をつくろうという意識があるかどうか。今回の入管法改定は、その意識が欠落している」と指摘する。(矢野宏)